介護の関連記事
介護保険証の交付、
要介護認定申請時に
65歳到達時から変更
2025/09/08 17:30
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『まだ介護は早いと思ったら要注意!65歳から始まる落とし穴とは?』
はじめに
介護の現場では、「必要なときに、必要なものを届ける」という「適時適切」の考え方が重視されています。
これは、医療の「トリアージ(優先順位づけ)」と似た発想で、限られた資源を本当に必要とする人に届けるための判断基準です。
今回、厚生労働省が提案する「介護保険証の交付時期を65歳から要介護認定の申請時に変更する案」は、この考え方に基づいた重要な制度見直しと言えるでしょう。
介護保険証の交付はどう変わるのか?
現在
65歳になると自動的に交付・現在は、65歳の誕生日を迎えたすべての人に、介護保険証が送られてきます。
・この保険証は、介護サービス利用時の本人確認に使う重要な書類です。
・しかし、実際に介護サービスを使うのは、数年後という人がほとんど。
その間に保険証を紛失してしまうケースが多く、再発行や手続きが負担になっていました。
今後
要介護認定の申請時に交付
・今後は、介護保険証は「必要になったとき」、すなわち要介護認定の申請時に初めて交付される方向に見直される見込みです。
・初回のサービス利用時にはマイナンバーカードなどで本人確認を行い、2回目以降の確認は簡略化される方針です。
利用者・家族・介護者・自治体の視点から見た影響
高齢者の視点
突然の「保険証」に戸惑い65歳で届く保険証に、「まだ元気なのに」「もう介護?」と不安になる人も少なくありません。
この変更によって、介護が現実的になった時点で保険証を受け取れるため、心理的負担が軽くなる可能性があります。
家族の視点
手間の削減と混乱の回避保険証を保管し忘れてしまう高齢の親に代わって、再発行の手続きを担う子世代も多くいます。
必要なときに交付されることで、こうした手間を減らせるのは大きな利点です。
自治体の視点
業務効率の向上すべての高齢者に保険証を送る作業は、自治体にとって大きな負担です。交付対象を限定することで、事務コストと人的リソースの削減につながります。
介護者の視点
サービス導入がスムーズに介護の現場では、「保険証がないためにサービス開始が遅れる」といった問題が発生していました。
今後は、要介護認定の申請と同時に保険証が交付されるため、スムーズな導入が可能になります。
「保険証=運転免許証」
介護保険証は、例えるなら運転免許証のようなものです。
運転する人だけが免許証を必要とするのと同じように、介護サービスを利用する人だけが保険証を必要とします。
これまでの制度は、「将来運転するかもしれないから」という理由で、全員に免許証を配るようなもの。
結果的に、使わない人の保険証が無駄になったり、管理が煩雑になる問題を招いていました。

現場で起きている課題と期待される効果
介護福祉の現場では、以下のような課題が日常的に発生しています。
保険証の紛失
本人も家族も場所が分からず、再発行に時間がかかる。
初回利用時の負担
本人確認のための書類確認や説明に時間がかかる。
事業所の管理負担
保険証コピーの保管・管理が手間。
家族の時間的負担
手続きのサポートで、生活や仕事への影響も大。
制度見直しによって、これらの負担が軽減され、現場の効率と質の向上が期待されます。
制度変更に伴う今後の課題と対策
1. マイナンバーカードの普及支援
高齢者の中には、マイナンバーカードを持っていない人や、使い方に不安を感じる人が多くいます。
地域包括支援センターや自治体によるサポート体制の整備が急務です。
2. 「介護=ネガティブ」という意識の見直し
介護を受けることへの抵抗感を持つ高齢者もいます。
啓発活動や地域の介護予防教室を通じて、「介護は前向きな備えである」という認識を広めていくことが重要です。
3. 地域格差の是正
自治体ごとに対応のスピードやサポート体制にばらつきが出ないよう、国による共通ガイドラインの策定が求められます。

結論
介護者として「必要なときに交付」を支持する理由
介護者としての立場から見ても、「介護保険証は65歳で一律交付」よりも「必要なタイミングで交付」の方が理にかなっています。
この変更により、
・保険証の紛失リスクが減る
・利用開始までの流れがスムーズになる
・心理的な負担が軽減される
・家族や自治体の手間も削減される
という多くのメリットが期待されます。
今後、制度の詳細や運用の進み具合を注視しつつ、現場としても柔軟に対応できる準備が必要です。



コメント