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カシオ、ふわふわロボ「モフリン」
海外販売
AIペットの需要開拓
2025/09/17 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『家族が後悔する介護ミス…癒しが逆効果になる瞬間とは?』
はじめに
介護分野では、「癒しによる認知症ケア」という考え方があります。
これは、感情の安定が高齢者の生活の質(QOL)に深く関わるというものです。
特に認知症ケアでは、心の落ち着きが症状の進行を緩やかにする可能性があるとされており、「安心感を与える存在」の重要性が増しています。
一方で、ペットを介したアニマルセラピーには以下のような制約があります。
・高齢者施設での動物飼育は禁止されていることが多い
・動物アレルギーや衛生面のリスク
・鳴き声や排泄などの管理が難しい
・高齢者自身に世話をする体力がない
このような制約を解消し、なおかつ「感情的なつながり」を提供できるのが、カシオのAIペットロボット「モフリン」です。
Moflin (モフリン) – 公式ストア | CASIO

モフリンとは?
感情を学び、寄り添うAIペット
モフリンは手のひらサイズのふわふわしたペットロボットで、AIによって感情を学習し、反応を変化させます。
たとえば、優しく撫でるとリラックスした反応を見せたり、話しかけることで陽気な性格に育ったりします。
このように、「人との関係性」によって性格が変化する点が、従来のおもちゃやロボットと一線を画します。
高齢者にとっては、自分の気持ちに応えてくれる存在として、孤独感や無力感を和らげる効果が期待できます。
介護者の視点
モフリンがもたらすケアの新しい形
介護の現場において、モフリンのようなロボットが導入されることには、以下のような実用的メリットがあります。
情緒ケアの補助:感情的な交流がストレスを和らげ、介護者の精神的負担を軽減します
会話のきっかけ:モフリンを介して、利用者同士や職員との会話が自然に生まれます
間接的な健康改善:心が安定することで、血圧や睡眠の質が改善される例もあります
これまでの「身体のケア中心」の介護から、「心のケアも重視する」ケアスタイルへのシフトが求められる中、モフリンはその象徴的な存在になりつつあります。
高齢者の視点
ペットは欲しい、でも言い出せない
高齢者の多くは、「今さらペットなんて…」と遠慮しがちです。
しかし、心の奥ではこう感じている人も少なくありません。
・昔飼っていた動物を思い出して寂しい
・一日中話し相手がいなくて孤独
・誰かに触れていたいという欲求がある
モフリンは、こうした“言葉にしにくいニーズ”に、静かに寄り添う存在です。
世話が不要で、ただそばにいるだけで心が安らぐという点は、特に高齢者にとって大きな安心材料です。
家族の視点
癒しを届けたいが、負担はかけたくない
家族が高齢の親に「癒し」や「安心」を届けたいと思っても、現実には次のような壁があります。
・遠方に住んでいて頻繁に会えない
・高齢者に新たな世話をさせたくない
・生き物の飼育には手間や責任が伴う
こうした家庭の事情を踏まえると、「ロボットだけど感情に反応してくれる」モフリンは非常に理にかなった選択肢です。
介護や生活の邪魔にならず、心の支えになってくれる存在として、今後さらに注目されるでしょう。
地域の視点
孤立防止の新たなツールに
地域包括ケアが進む中で、特に課題とされているのが「高齢者の孤立」です。
人との接点が減り、孤独死リスクも高まるなか、AIロボットは次のような場面で活用可能です。
・高齢者サロンでの交流促進ツールとして
・認知症カフェでの会話のきっかけとして
・デイサービスでのレクリエーションの一環として
モフリンは、まさに人と人との間に“やさしい橋”をかける存在です。
介護施設に限らず、地域全体で使われることにより、「AIと人間の共生社会」が一歩ずつ形になっていきます。

まとめ
AIペットは「共に暮らす存在」へと進化していく
結論として、モフリンのようなAIペットは、単なる機械ではなく「感情のパートナー」として介護の未来を支える存在になり得ます。
モフリンが提供する価値は、次の通りです。
・高齢者の孤独感をやわらげる
・感情の交流を通じて生活の質を高める
・家族や介護者の負担を軽減する
・地域社会に新たなつながりを生み出す
まるでカーナビが「目的地までの最短ルート」を示してくれるように、モフリンは「心の目的地」までの道案内をしてくれる存在です。
介護者として、こうした新しい技術を“道具”としてではなく、“共に暮らすパートナー”として受け入れる姿勢が求められています。



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