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広島銀行、
単身高齢者サービス拡充へ
身寄りない人への身元保証
2025/09/16 19:30
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『家族はいる。でも頼れない!高齢者の孤立を招く誤解とは?』
はじめに
介護分野には、「家族機能の代替」という考え方があります。
これは、これまで家族が自然に担ってきた役割、入院時の保証、認知症時の意思決定、そして死後の対応までを、第三者が代わりに担うというものです。
たとえるなら、家族という“システム”が機能しなくなったとき、その代替システムとして企業や地域が稼働するイメージです。
銀行や民間事業者が、法的・生活的な支援を引き受けることで、高齢者が一人でも安心して暮らせる社会を支えます。
この流れの中で、広島銀行が新たに始めた高齢者支援サービス「おひさぽ」は、注目すべき取り組みです。
おひさぽ|身元保証で安心の生活を支える

なぜ「身寄りのない高齢者支援」が必要なのか?
現代の日本では、高齢者の「単身化」が進んでいます。
2040年には、高齢者世帯の約4割が一人暮らしになると見込まれています。
一人で暮らすということは、以下のようなリスクを同時に抱えることを意味します。
・緊急入院時に保証人がいない
・介護施設に入りたくても契約できない
・財産の管理が難しくなる
・死後の葬儀や遺品整理を頼む人がいない
つまり、制度の利用には「家族がいること」が前提になっている場面が多く、家族がいない高齢者は支援を受けにくい構造的な問題があるのです。
介護現場の声:「身元保証がない」ことの現実的な影響
介護の現場では、「保証人がいないこと」が原因で、次のような深刻な問題が起きています。
・入院が決まっても手続きが進まない
・施設への入所が断られる
・認知症の進行により、財産管理ができず混乱
・利用者が亡くなっても誰も引き取りに来ない
介護職は、こうした状況に直面するたびに、「本当にこのままでいいのか」と感じています。
「おひさぽ」がもたらす安心と具体的サポート
「おひさぽ」は、こうした現場の課題に対し、包括的な支援を提供するサービスです。
具体的には以下のような支援を行います。
・身元保証(入院・施設入所などの契約支援)
・定期連絡による見守り(孤独死の防止)
・財産管理の補助や後見的支援(認知症対策)
・死後の葬儀や遺品整理(終活支援)
介護職にとっても、こうしたサービスは大きな支えになります。
日々の業務負担が減るだけでなく、高齢者自身が「安心感」を持って生活できるようになり、結果としてケアの質も向上します。
高齢者の本音:「家族はいるけど、迷惑はかけたくない」
多くの高齢者は、「家族がいない」わけではありません。
実際には、「家族はいるけど、迷惑をかけたくない」と感じている人が増えています。
・子どもに負担をかけたくない
・遠方に住んでいて頼れない
・長年の確執で疎遠になっている
こうした心情の中で、高齢者が第三者サービスを選ぶのは、ごく自然な流れです。
「誰かに頼る」のではなく、「お金を払ってプロにお願いする」ことで、最後まで“自分らしく”生きたいという願いが感じられます。
家族側の視点:「支えたくても支えられない家族」が増えている
介護の現場では、「親を支えたいけど、それができない」という家族の姿も多く見られます。
・地理的に遠くに住んでいる
・自分自身も仕事や育児で余裕がない
・親との関係がうまくいっていない
こうした状況では、「支援ができない家族」に罪悪感を持たせるのではなく、第三者がその役割を引き受ける仕組みが必要です。
「おひさぽ」のようなサービスは、まさにそうした“心の余白”をつくってくれる存在です。
地域全体の課題としての“高齢者の孤立”
独居高齢者の増加は、地域社会にも影響を与えています。
・一人暮らしで誰にも見つけられずに亡くなる
・身元が不明のまま病院に搬送される
・ゴミ屋敷化により近隣住民とのトラブルが増える
こうした課題は、もはや「個人の問題」ではなく、地域全体の福祉課題です。
民間のサービスと地域包括支援センター、民生委員などの公的支援が連携することが、今後ますます重要になるでしょう。

介護福祉現場で直面している課題
現場で直面している主な課題は次の通りです。
・緊急時に連絡できる家族がいない
・死後の対応を担う人がおらず施設が困る
・認知症で通帳や印鑑が行方不明になり、手続きが進まない
・後見人の選任に時間がかかり、重要な判断が先送りされる
これらは日々の業務の中で繰り返し起こっており、職員や関係者にとって深刻な負担となっています。
結論
介護者こそ「第三の支援」を肯定的に捉えるべき
介護者は、今こそ「家族以外の支援者」が必要だという現実を受け入れるべきです。
なぜなら、
・現場の混乱を解消できる具体的な解決策であり
・高齢者が自分らしく生きるための選択肢を広げるものであり
・家族・地域社会の負担も軽減できるからです。
介護者としての行動提案
・利用者に対して「おひさぽ」などの支援を提案できるよう知識を持つ
・地域の包括支援センターや民間企業との連携体制をつくる
・高齢者が「頼れる相手がいる」と実感できるよう、日常的な声かけや対話を大切にする
最後に:これからの介護は“制度外の安心”がカギになる
介護とは、「制度の中だけで支えるもの」ではなくなっています。
私たちの役割は、制度の隙間に落ちそうな人に気づき、つなぐことです。
「おひさぽ」のようなサービスは、これからの介護の“当たり前”になるかもしれません。
高齢者一人ひとりが、最期まで安心して生きられる社会を目指して。
介護者として、私たちにできることを一つずつ実践していきたいと思います。



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