介護職の離職が止まらない本当の理由…制度があっても現場が崩れるワケとは?

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職場の女性活躍「1年で前進」

4割 国際女性デー、1000人調査

2026/03/08 02:00

日経速報ニュース

職場の女性活躍「1年で前進」4割 国際女性デー、1000人調査 – 日本経済新聞
今日は国際女性デー。性別や国籍を問わず公平に活躍できる社会を推進する「DEI」の動きは、育児・介護休業法や女性活躍推進法の改正などを経て、徐々に浸透しつつある。日本経済新聞の男女1000人調査では、DEIの中でも「職場の女性活躍が直近1年で…

【この記事の内容】

『介護現場が崩壊する前に知るべき真実…制度と現場のギャップとは?』

はじめに

介護職員にはさまざまな生活背景があります。

育児をしながら働いている人もいれば、親の介護を担っている人もいます。

自身の健康問題を抱えながら働いている人もいれば、キャリアアップを目指して専門性を高めようとしている人もいます。

このように、同じ職場で働く職員であっても置かれている状況は大きく異なります。

そのため、すべての職員が安心して働き続けられるようにするには、多様な背景を前提とした制度や職場環境が必要になります。

近年、社会全体ではDEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)と呼ばれる考え方が広がっています。

これは、多様性を認め、公平性を保ち、誰もが社会の一員として参加できる環境をつくる取り組みです。

企業を対象とした調査でも、職場の制度が改善されていると感じる人は約6割にのぼり、直近1年でも約4割の人が変化を実感しているといわれています。

しかし、介護現場では制度の整備だけでは解決できない問題も多く残っています。

人手不足や長時間労働、家庭との両立など、現場特有の課題が存在するためです。

そこで本記事では、介護現場の現状を踏まえながら、介護者視点、高齢者視点、家族視点、地域視点の4つの視点から課題を整理し、男女を問わずライフワークバランスを保ちながら働ける制度のあり方について考えていきます。

介護分野で起きている働き方の課題

まず、現在の介護業界でどのような問題が起きているのかを整理してみます。

介護業界では長年、人材不足が大きな課題となっています。

高齢化が進むにつれて介護サービスの需要は増え続けていますが、それに対して働く人材は十分に確保できていません。

その結果、現場では一人あたりの業務負担が大きくなり、働き続けることが難しくなるケースも増えています。

また、介護職は夜勤やシフト勤務があるため、生活リズムが不規則になりやすいという特徴があります。

家庭生活との両立が難しくなることも多く、特に子育てや家族介護を担っている職員にとっては大きな負担となります。

さらに、介護業界には「女性が多い職種」というイメージが強く残っています。

実際に現場では女性職員の割合が高い一方で、管理職になると男性の割合が増える傾向があります。

このような状況は、無意識のうちに役割分担が固定化されている可能性を示しています。

また、男性職員の中には育児休業や介護休暇を取得しにくいと感じている人も少なくありません。

制度は存在していても、職場の雰囲気や人手不足の影響で利用しづらいという問題があるのです。

このように、制度が整っていても実際の現場では使いにくいという「制度と現場のギャップ」が、介護業界の大きな課題となっています。

介護職におけるライフワークバランスの重要性

結論から言えば、介護職こそライフワークバランスが重要な職種です。

その理由の一つは、介護の仕事が感情労働である点にあります。

感情労働とは、相手の感情に配慮しながら仕事をする働き方を指します。

介護や医療、接客などの分野で多く見られる働き方です。

介護職員は、高齢者の不安や孤独に寄り添いながら支援を行います。

そのため、身体的な負担だけでなく、精神的な負担も大きくなりやすい特徴があります。

さらに、介護は身体を使う仕事でもあります。

移乗介助や入浴介助など、体力を必要とする業務が多く、慢性的な疲労を感じる職員も少なくありません。

加えて、介護職員自身が家族の介護を担うケースも増えています。

日本では高齢化が進んでいるため、働きながら家族の介護を行う「ダブルケア」の状況に置かれる人も増えているのです。

もし介護職員が疲弊してしまえば、サービスの質にも影響が出てしまいます。

だからこそ、職員が無理なく働き続けられる環境を整えることが、結果的に高齢者へのケアの質を守ることにつながります。

高齢者が感じている社会変化

社会制度や働き方が変化すると、高齢者の心理にも影響が現れます。

多くの高齢者は、自分の介護が家族の負担になっているのではないかと感じています。

「自分の介護のために家族が仕事を辞めてしまったらどうしよう」

「施設の職員が忙しそうで申し訳ない」

といった気持ちを抱く人も少なくありません。

このような不安の背景には、社会全体の高齢化や介護人材不足があります。

介護を必要とする人が増える一方で、支える人材が不足している状況が続いているためです。

また、家族介護の負担が増えていることも、高齢者の心理に影響を与えています。

家族が仕事と介護の両立に苦労している姿を見ることで、自分の存在が負担になっているのではないかと感じてしまうのです。

つまり、高齢者自身も介護職員や家族の働き方の影響を受けながら生活していると言えます。

介護者視点の課題と対策

介護職員の立場から見ると、いくつかの重要な課題があります。

まず、シフト勤務による生活リズムの不規則さです。

夜勤や早番・遅番などが続くと、体調管理が難しくなります。

また、家庭生活との両立も課題になります。

さらに、キャリア形成の難しさも指摘されています。

専門性を高めたいと考えていても、日々の業務に追われて学習時間を確保できないケースもあります。

また、性別による役割意識が無意識のうちに残っている場合もあります。

男性は長時間働くことを期待され、女性は家庭との両立を前提とした働き方を求められることもあるのです。

こうした課題を解決するためには、制度面と組織面の両方から改善を進める必要があります。

制度面では、男性の育児休業取得を促進したり、介護休暇を柔軟に利用できるようにすることが重要です。

また、介護記録などの業務をテレワークで行えるようにするなど、新しい働き方を導入することも有効です。

組織面では、業務分担の見直しやICTの活用によって業務負担を軽減することが求められます。

さらに、短時間勤務や多様な勤務形態を取り入れることで、さまざまな生活背景を持つ職員が働き続けられる環境を整えることができます。

高齢者視点の課題と対策

高齢者の立場から見ると、職員の働き方の変化はサービスの質にも影響します。

例えば、人手不足の影響で担当職員が頻繁に変わると、高齢者は安心感を持ちにくくなります。

また、忙しい現場ではケアにかけられる時間が短くなり、十分なコミュニケーションが取れなくなることもあります。

このような状況が続くと、高齢者は心理的な孤立を感じやすくなります。

そのため、チームケアの体制を整え、職員同士が情報を共有しながら支援を行うことが重要になります。

ICTを活用した記録共有や地域交流活動なども、高齢者の孤立を防ぐ取り組みとして効果的です。

まとめ

介護の仕事は、人を支える仕事です。

そして、人を支える仕事を続けるためには、働く人自身が支えられている環境が必要です。

利用者中心ケアの考え方を働き方に応用すれば、職員一人ひとりの生活背景を尊重する職場づくりが重要であることが見えてきます。

男女の違いだけに注目するのではなく、育児、家族介護、健康状態、キャリアなど、さまざまな背景を考慮した制度を整えることが必要です。

誰か特定の人のための制度ではなく、すべての人が使える制度を整えること。

それが、差別を生まない働き方を実現する第一歩になります。

そして、職員が安心して働ける環境が整えば、その効果は高齢者のケアにも必ず反映されます。

男女を問わずライフワークバランスを保ちながら働ける介護制度を整えることこそが、これからの持続可能な介護社会を実現する鍵になるのです。

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