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九州・沖縄
2026/03/13 11:00
日経速報ニュース
【この記事の内容】
『約87%が使えていない…高齢者が電子申請を避ける本当の理由とは?』
はじめに
介護分野では「環境を整えることで本人の能力を引き出す」という考え方があります。
これはリハビリや認知症ケアの場面でよく使われる発想です。
例えば、階段を安全なスロープに変えることで、高齢者が自分の力で移動できるようになります。
この考え方は、市役所の行政手続きにも当てはめることができます。
手続きの方法や環境が変われば、高齢者でも行政サービスを利用しやすくなるからです。
近年、多くの自治体では行政手続きのデジタル化が進んでいます。
行政手続きの多くがオンラインで申請できるようになり、窓口に行かなくても手続きを進められる仕組みが増えてきました。
利用件数の多い手続きのうち、約8割程度を電子申請に対応させる自治体もあり、年間のオンライン申請件数は10万件を超える地域もあります。
しかし、その一方で高齢者の利用率はまだ高くありません。
ライフイベントに関する行政手続きの電子申請利用率は、全国平均で約13%程度にとどまっています。
つまり、行政が便利な仕組みを整えても、高齢者が使えなければ意味がないという課題が残っています。
介護者として高齢者と関わる中で、市役所手続きの負担を感じる場面は少なくありません。
本記事では、介護者の視点から高齢者の行政手続きの課題を整理し、その対応策について具体的に考察していきます。
高齢者と市役所手続きの課題
高齢者が市役所の手続きを行う際には、いくつかの共通した課題があります。
これらの課題は単に「手続きが難しい」という問題だけではなく、高齢者の生活環境や心理的な背景とも深く関係しています。
ここでは介護者の視点から、特に重要な課題を整理していきます。
高齢者のデジタル化に対する抵抗
結論から言うと、高齢者にとって最大の障壁は「デジタル機器への不安」です。
スマートフォンやインターネットは便利な道具ですが、高齢者にとっては必ずしも身近なものではありません。
若い世代にとっては当たり前の操作でも、高齢者にとっては大きな心理的ハードルになります。
特に次のような不安がよく聞かれます。
・操作を間違えてしまうのではないか
・個人情報が漏れるのではないか
・トラブルが起きたときに自分では対応できない
このような不安から、高齢者は「窓口で直接手続きした方が安心」と考える傾向があります。
実際に行政手続きのオンライン化は進んでいますが、高齢者の利用率はまだ低い水準にとどまっています。
若い世代に比べてインターネット利用の経験が少ないことが、大きな理由の一つです。
手続きの複雑さ
もう一つの大きな課題は、行政手続きの複雑さです。
市役所の手続きは種類が多く、それぞれ必要書類や申請方法が異なります。
特に次のようなライフイベントでは、多くの手続きが必要になります。
・引っ越し
・介護保険の申請
・家族の死亡手続き
・福祉サービスの申請
例えば家族が亡くなった場合、年金、保険、税金、公共料金など複数の手続きが必要になります。
こうした手続きを高齢者が一人で進めることは簡単ではありません。
その結果、多くの場合は家族や介護者がサポートすることになります。
介護者としての対応策では、介護者はどのように高齢者の行政手続きを支援すればよいのでしょうか。
ここでも介護分野の考え方が参考になります。
介護では「本人ができないことを全て代わりに行う」のではなく、「できる部分を支えながら支援する」という方法が重視されます。
行政手続きのサポートでも同じ考え方が重要です。
高齢者向けのデジタル支援
まず重要なのは、デジタル機器に慣れる機会をつくることです。
多くの自治体では、高齢者向けのスマートフォン相談会やデジタル講座を開催しています。
こうした場では次のような内容が説明されています。
・スマートフォンの基本操作
・インターネットの使い方
・行政サービスのオンライン申請方法
このような機会に参加することで、高齢者の不安は徐々に軽減されていきます。
介護者としては、単に操作を代行するのではなく、一緒に操作しながら理解を促すことが大切です。
オンライン手続きの活用
行政手続きの中には、オンラインで簡単に申請できるものも増えています。
例えば次のような手続きです。
・住民票の写しの申請
・各種証明書の取得
・ペット登録
・行政相談の予約
これらは自宅から申請できるため、移動が難しい高齢者にとって大きなメリットがあります。
特に介護が必要な高齢者の場合、外出そのものが負担になることも多いため、オンライン手続きは生活の負担軽減につながります。
代理手続きの活用
高齢者本人が手続きを行うことが難しい場合は、代理手続きを活用する方法もあります。
行政手続きの多くは、委任状などを用意すれば家族や介護者が代理で申請することができます。
例えば次のような手続きです。
・介護保険申請
・福祉サービス申請
・各種証明書取得
代理手続きを上手く利用することで、高齢者の負担を大きく減らすことができます。
分かりやすい情報提供
行政手続きが難しく感じる理由の一つは、情報が分かりにくいことです。
専門用語や制度の説明は、高齢者にとって理解が難しい場合があります。
そのため次のような工夫が重要になります。
・手続きの流れを簡単に説明する
・必要書類を事前に整理する
・一つずつ手順を確認する
介護者が情報を整理して伝えるだけでも、高齢者の不安は大きく減ります。
高齢者・家族・地域それぞれの視点
行政手続きの課題は、高齢者だけの問題ではありません。
家族や地域社会にも関係する課題です。
ここでは三つの視点から整理します。
高齢者の視点
高齢者にとって最も大きな問題は「手続きへの不安」です。
・操作方法が分からない
・制度の内容が理解できない
・外出が負担になる
こうした理由から、行政手続きを避けてしまうケースもあります。
家族の視点
家族にとっての課題は、時間的な負担です。
仕事をしながら高齢者の手続きを支援することは簡単ではありません。
特に複数の手続きが同時に必要になる場合、家族の負担は大きくなります。
地域の視点
地域社会にとって重要なのは「デジタル格差」の問題です。
デジタル格差とは、インターネットやデジタル技術を利用できる人とできない人の差のことを指します。
高齢者の多くはこの格差の影響を受けやすく、地域全体で支援する仕組みが求められています。
結論
結論として、行政手続きのデジタル化は高齢者にとって大きな可能性を持っています。
窓口に行かなくても手続きができる仕組みは、移動が難しい高齢者にとって大きなメリットです。
しかし、デジタル機器に不安を感じる高齢者が多いことも事実です。
そのため、次の三つの支援が重要になります。
・デジタル機器の使い方を支援する
・オンライン手続きを活用する
・代理手続きを上手く利用する
介護分野では「環境を整えることで本人の力を引き出す」という考え方があります。
行政手続きも同じです。
制度や環境を整えることで、高齢者でも安心して行政サービスを利用できる社会に近づいていきます。
介護者としては、高齢者が置き去りにならないように支援しながら、地域と行政の橋渡し役を担うことが重要です。



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