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2026/04/19 05:00
日経速報ニュース
【この記事の内容】
『親が70歳で働きたい…家族が後悔する対応ミスとは?』
はじめに
年齢を重ねると、体力の低下や職場環境の変化によって、「もう働けないのではないか」「今から新しい挑戦をするのは遅い」と感じる方は少なくありません。
実際、日本では65歳以上の就業率は約25.2%(総務省2024年)と、4人に1人は働いている一方で、裏を返せば約75%は働いていない現状があります。
特に定年後や再雇用の時期になると、これまで当たり前だった働き方が通用しなくなり、不安を抱える高齢者は増えていきます。
しかし一方で、高齢者には若い世代にはない大きな強みがあります。
それは、長年の経験、人とのつながり、現場で培った判断力、継続してきた忍耐力、そして多くの困難を乗り越えてきた実績です。
つまり、高齢者の仕事の問題は「終わり」ではなく、「役割を再設計するタイミング」と言えます。
実際、70歳までの就業機会確保が企業努力義務となり、再設計の流れは制度的にも進んでいます。
介護者としても、できなくなったことだけを見るのではなく、まだ活かせる力に目を向けることが重要です。
介護分野では「残存能力を活かす」という考え方があります。
これは失った機能ではなく、今ある力を活かして生活を整える支援方法です。
この考え方を仕事に転用すると、高齢者支援の質は大きく変わります。
なぜ高齢者は仕事との向き合い方に悩むのか
結論から言えば、身体面・心理面・社会面の3つが同時に変化するからです。
身体面の変化 加齢により、若い頃と同じように働くことが難しくなる場面があります。
例えば、体力は20代と比較して60代では約30〜40%低下するとされ、疲れやすさや回復力の遅れが顕著になります。
疲れやすくなる、長時間勤務がつらくなる、視力や聴力が低下する、通勤そのものが負担になるなど、これまで問題なかったことが負担へ変わります。
鹿児島市のように公共交通が都市部より限られる地域では、高齢者の約3割が「移動が就労の壁」と感じている調査もあります。
そのため、以前と同じ働き方を続けると、無理が積み重なり、体調を崩す原因になります。
心理面の変化
年齢を重ねると、出世競争への関心が薄れたり、人間関係のストレスに疲れたりすることがあります。
また、「仕事こそ自分の価値だった」という方ほど、退職後に自信を失いやすくなります。
内閣府調査では、仕事をしている高齢者の約60%が「生きがいを感じる」と回答しており、逆に離職による心理的影響の大きさが見て取れます。
社会面の変化
社会全体も大きく変わっています。
日本の生産年齢人口は1995年の約8,700万人から2025年には約7,400万人へ減少し、人手不足が深刻化しています。
一方で、鹿児島市では高齢化率が約30%を超えており、地域の担い手不足が顕著です。
対照的に、長野県などでは高齢者就業率が約30%を超え、「生涯現役社会」を掲げた地域づくりが進み、地域活動と就労を結びつける成功例となっています。
つまり、高齢者本人が悩んでいる一方で、社会は高齢者を必要としているというギャップが起きています。
高齢者視点で見る仕事の課題と対策
高齢者が仕事を続けるうえで重要なのは、「働けるかどうか」ではなく、「どう働くか」です。
体力に不安があるなら、短時間勤務や週2〜3日勤務に切り替える方法があります。
実際、シルバー人材センターの平均就業日数は月10日前後(週2〜3日)で、継続率が高い働き方とされています。
やりがいを失ったなら、過去の経験を活かせる仕事に移ることも有効です。
例えば、元営業職が地域の相談員として活動することで、月5万円程度の収入と社会的役割を両立しているケースもあります。
孤独感がある方は、地域活動や軽い就労を通じて社会との接点を持つことが心の健康につながります。
週1回の地域参加でも、抑うつリスクが約20%低下するという報告もあります。
収入不安がある場合も、無理なフルタイムではなく、負担の少ない働き方で補う選択肢があります。
大切なのは、昔の働き方を基準にしないことです。
介護者視点での課題と対応
介護者は、高齢者の「働きたい気持ち」と「安全面」の両方を見る必要があります。
働くことで元気になる方も多くいます。
実際、就労している高齢者は非就労者と比較して要介護認定率が約1.5倍低いというデータもあり、生活機能維持に寄与しています。
しかし一方で、疲労の蓄積、転倒リスク(高齢者の約20%が年1回以上転倒経験)、金銭トラブル、判断力低下などには注意が必要です。
そのため介護者は、次のような視点で支援することが大切です。
通勤方法に無理はないか。
勤務日数は多すぎないか。
帰宅後に極端な疲れが出ていないか。
仕事内容が本人に合っているか。
周囲に相談できる環境があるか。
ここで注意したいのは、「もう高齢だから辞めた方がいい」と頭ごなしに否定しないことです。
高齢者にとって仕事は、収入源である以上に、誇りや尊厳、生きる意味になっていることがあります。
家族視点での課題と対応
家族は、本人の挑戦を応援したい気持ちと、無理をして倒れてほしくない気持ちの間で揺れやすい存在です。
たとえば、詐欺被害や契約トラブルに遭わないか(高齢者の特殊詐欺被害は年間約3万件)、家事との両立は大丈夫か、体調悪化しないかなど、現実的な不安があります。
そのため家族は、反対する前に対話を重ねることが重要です。
何のために働きたいのか。
収入目的なのか、生きがいなのか。
週何日なら無理がないのか。
もし体調が悪くなったらどうするのか。
このように事前に話し合っておくことで、安心して挑戦しやすくなります。
地域視点での課題と可能性
地域では今、多くの課題が起きています。
商店街の後継者不足、介護人材不足(全国で約69万人不足予測)、見守り不足、空き店舗増加などです。
鹿児島市でも空き店舗率は中心部で10%前後とされ、地域活力の低下が課題です。
ここで注目すべきなのが、元気な高齢者の力です。
長野県飯田市では、高齢者の地域参加率が約40%と高く、買い物支援や見守り活動に関わることで、地域課題の解決と健康維持を両立しています。
店舗の手伝い、配食の見守り、送迎補助、地域サロン運営、子どもの見守り活動など、高齢者の就労や社会参加は地域課題の解決につながります。
善策としては、
・週1回から参加できる「超短時間就労」の仕組みづくり
・移動支援(送迎・乗合サービス)の整備
・役割を明確にした地域マッチング制度
が効果的です。
ビジネス思考で考える高齢者就労
企業では、人材不足になると新規採用だけでなく、既存人材の再配置を行います。
適材適所で戦力を最大化する考え方です。
この考え方を高齢者支援に転用すると、「年齢で引退させる」のではなく、「経験が活きる場所へ再配置する」となります。
実際、定年後再雇用者の約70%が賃金減少を経験していますが、役割再設計によって満足度が向上するケースも多く報告されています。
元営業職なら相談役。
元経理職なら事務補助。
元調理職なら食事レクリエーション。
元教員なら学習支援。
元運転手なら送迎補助。
これは単なる仕事紹介ではありません。
社会資源の再活用です。
高齢者は支えられる側だけではなく、支える側にもなれる存在なのです。
高齢者が仕事と向き合う現実的な対策7選
1.まずは週2〜3日勤務から始めることです(継続率が最も高い働き方)。
2.通勤時間は30分以内を目安にすると負担が軽減されます(通勤満足度が約1.4倍向上)。
3.人間関係の良い職場を優先して選ぶことも重要です(離職理由の約35%が人間関係)。
4.過去の経験を活かせる仕事を選ぶと、自信につながります。
5.収入だけでなく、やりがいも基準にしましょう(生きがい実感率約60%)。
6.健康診断の結果や主治医の意見を参考に調整することも大切です。
7.そして、合わないと感じたら辞める勇気も必要です。
まとめ
介護者として高齢者の仕事との向き合い方を考えると、答えは「働くか辞めるか」の二択ではありません。
本質は、「どう働けば、その人らしく生きられるか」です。
高齢者には、長年積み上げてきた経験という大きな資産があります。
介護者は弱った部分だけでなく、まだ活かせる力を見ることが大切です。
家族は安心と挑戦の両立を支え、地域はその力を受け入れる場をつくる必要があります。
人生100年時代において、高齢者の仕事は老後の延長ではなく、第二の社会参加です。
介護者として最も重要なのは、その可能性を閉ざすことではなく、安心して挑戦できる環境を整えることです。



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