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SOMPO奥村幹夫社長、
リーダーの役割
「捨てること、やめること」
Podcast2026/04/22 05:00
日経速報ニュース
【この記事の内容】
『知らないと危険…高齢者の認知機能を下げる役割喪失とは?』
はじめに
高齢者の役割とは、単に仕事や家事を任せることではありません。
大切なのは、その人らしく社会とつながり、誰かの役に立っていると実感できる機会を持つことです。
日本では2025年時点で高齢化率は約29%に達し、鹿児島市では約31%と全国平均より高い水準にあります。
このような地域では、「支える人数が少なくなる社会」が現実になっています。
介護の現場では、支援を増やすことばかりに意識が向きがちです。
しかし本当に必要なのは、「できないことを補う支援」と同時に、「できることを奪わない支援」です。
介護者としてまず見直したいのは、知らず知らずのうちに高齢者の役割を取り上げていないかという視点です。
役割を持つことは、生きがい・自信・健康維持につながる重要なテーマです。
高齢者にとって役割が重要な理由
結論から言えば、役割は高齢者にとって「生きる張り合い」になるからです。
例えば、内閣府の調査では「社会参加している高齢者は、していない人に比べて要介護認定率が約1.5〜2倍低い」という結果があります。
人は誰でも、
「必要とされている」
「自分にもできることがある」
と感じることで前向きになれます。
反対に、役割を失うと心身の活力が落ちやすくなります。
高齢期には、次のような出来事によって役割を失いやすくなります。
退職による社会的立場の変化(日本の定年は平均60〜65歳)。
子育て終了による家庭内の役割減少。
配偶者との死別(65歳以上の単身世帯は約700万世帯)。
病気や加齢による身体機能の低下。
その結果、意欲低下や孤立、認知機能の低下、活動量の減少、自信喪失などが起こりやすくなります。
特に、長年仕事や家庭を支えてきた人ほど、「自分はもう必要ないのではないか」という喪失感を抱えやすい傾向があります。
高齢者が役割を失う背景とは何か
高齢者本人が望んで役割を手放しているとは限りません。
多くの場合、家族の善意や介護現場の都合、社会環境の変化が背景にあります。
家族の優しさが役割を奪うこともある
家族は心配するあまり、次のような言葉をかけがちです。
危ないからやらなくていい。
座っていて大丈夫。
私がやるから任せて。
もう年なんだから無理しないで。
もちろん愛情から出る言葉です。
しかし繰り返されると、高齢者には「もう自分は頼られない存在なのだ」と伝わってしまうことがあります。
実際に、家族同居でも「日中ほぼ会話なし」と答える高齢者は約20%いるというデータもあり、役割喪失は心理的孤立にもつながっています。
介護現場の効率優先が生む課題
介護現場では人手不足や時間制限があり、職員がやった方が早い場面が多くあります。
日本の介護職員は約215万人ですが、2025年には約32万人不足すると推計されています。
この状況では「効率優先」になるのも無理はありません。
そのため、配膳や洗濯物たたみ、掃除、準備などを職員が全て行い、高齢者は受け身になりやすくなります。
これはビジネスで言えば、社員の能力を活かさず、管理職が全て仕事を抱え込む状態と同じです。
短期的には効率的でも、長期的には組織力が落ちます。
介護でも同じで、本人の力を使わなければ生活機能は低下しやすくなります。
地域社会とのつながりが薄れている
昔は近所付き合いや町内会活動など、高齢者が自然に役割を持てる場が多くありました。
しかし現在は、地域交流の減少やデジタル化の進行により、高齢者が参加しにくい社会になっています。
例えば、自治会参加率は全国で約50%前後まで低下しています。
一方で成功例もあります。
長野県は高齢者の就業率が約25%と全国トップクラスで、平均寿命も全国上位です。
役割と健康の関連が見える地域です。
鹿児島市でも地域サロンや通いの場は増えていますが、参加率はまだ約10〜15%程度にとどまり、伸びしろがあります。
役割を失った高齢者の本音
表面上は穏やかに見えても、心の中では複雑な思いを抱えている方が少なくありません。
迷惑をかけたくない。
できない姿を見せたくない。
家族に感謝している。
それでも誰かの役に立ちたい。
まだ必要とされたい。
特に責任感の強い人ほど、「頼られる側」から「世話される側」への変化に戸惑います。
無気力に見える場合でも、その裏には寂しさや喪失感が隠れていることがあります。
介護者ができる対応策
介護者として大切なのは、「助けること」だけでなく「活躍の場をつくること」です。
例えば次のような役割があります。
食器を拭く(1回5分でも十分な役割)。
植物に水をやる(週3回でも継続性が大事)。
新聞をたたむ。
来所者へあいさつする。
カレンダーの日付確認をする。
重要なのは、完璧にできるかどうかではありません。
参加し、必要とされること自体に価値があります。
実際に「役割を持つ高齢者は、持たない人に比べて活動量が約1.3倍」という報告もあり、小さな役割でも効果があります。
5分待てばできることなら急いで代わりにやらない。
この姿勢が自立支援につながります。
家族ができる関わり方
家庭でも役割づくりは可能です。
洗濯物をたたんでもらう。
食卓を拭いてもらう。
郵便物を確認してもらう。
植物の世話をお願いする。
このとき、「手伝って」よりも「お願いできますか」と伝える方が効果的です。
人は依頼されることで、自分の存在価値を感じやすくなります。
実際に、家庭内役割がある高齢者は「幸福度が約15%高い」という調査結果もあります。
地域でできる役割づくり
高齢者は支えられるだけの存在ではなく、地域を支える力にもなります。
見守りボランティア。
子ども食堂での配膳補助。
昔遊びの先生役。
地域サロンの受付。
町内会の相談役。
例えば、神奈川県横浜市では高齢者ボランティア参加率が約20%を超え、介護予防効果が報告されています。
鹿児島市でも同様の仕組みを強化できれば、「支える側の高齢者」を増やすことが可能です。
介護業界で起こっていること
現在の介護業界では、人手不足、要介護者の増加、独居高齢者の増加、認知症高齢者の増加など、多くの課題が進行しています。
認知症高齢者は全国で約600万人(65歳以上の約6人に1人)とされ、今後さらに増加が見込まれています。
その中で注目されているのが、「支えられる側」だけでなく、「支える力を持つ高齢者」を増やす視点です。
これは企業経営でいう「人的資本の活用」と同じ考え方です。
眠っている力を活かすことで、全体の生産性は高まります。
介護現場でも、高齢者の経験・知恵・生活力を活かすことが、持続可能な社会づくりにつながります。
明日からできる実践チェックリスト
今日からできることは難しくありません。
本人ができることを3つ書き出す。
昔得意だったことを聞く。
毎日1つ役割をお願いする。
終わったら感謝を伝える。
失敗してもすぐ取り上げない。
月に1回、役割を見直す。
例えば「週に3回役割を持つ人」は「全くない人」に比べて外出頻度が約1.4倍になるというデータもあり、小さな継続が大きな差を生みます。
まとめ
高齢者の役割とは、単なる作業分担ではありません。
自尊心、生きがい、健康、社会参加を支える大切な基盤です。
介護者として本当に大切なのは、「何をしてあげるか」だけではなく、「何を任せられるか」を考えることです。
鹿児島市のように高齢化率が高い地域こそ、「支える介護」から「活かす介護」へ転換することで、地域全体の力を底上げできます。
過剰に助ける介護から、その人の力を活かす介護へ。
この発想の転換こそ、これからの高齢社会に必要な介護のあり方です。



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