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短時間正社員、
育児だけでなく副業・介護でも
企業が優秀人材確保
2026/04/27 02:00
日経速報ニュース
【この記事の内容】
『介護施設が知らない損失…退職者1〜2割は時短勤務で残れた現実とは?』
はじめに
多くの介護施設では、職員が退職届を提出してから慌てて引き止める場面が少なくありません。
しかし本来必要なのは、辞める直前の対応ではなく、辞めなくても続けられる働き方を先に整えておくことです。
厚生労働省のデータでは、介護職員の離職率は年間約14〜15%前後で推移しており、約7人に1人が毎年職場を離れている計算になります。
鹿児島県も例外ではなく、有効求人倍率はおおむね3倍前後と高く、1人の求職者に対して3件以上の求人がある状態が続いています。
高齢者介護の現場では、体調不良、親の介護、学び直し、家庭事情などを理由に退職する正社員が一定数存在します。
その中には、仕事そのものを辞めたいのではなく、フルタイム勤務が難しくなっただけの人も多く含まれています。
実際、ある調査では離職理由のうち「勤務時間・シフトの負担」が約30%を占めています。
もし退職者の1〜2割でも「勤務時間が短ければ働き続けられた人材」だとすれば、これは介護業界にとって見逃せない課題です。
採用競争が激しい時代だからこそ、新しい人材を探す前に、今いる人材が続けられる仕組みづくりが重要になります。
つまり、介護業界の人手不足対策は、採用強化だけでは不十分です。
離職防止という視点から、勤務時間や働き方そのものを再設計する時代に入っています。
この記事の結論
高齢者介護で退職する正社員の中には、「辞めたい人」ではなく「今の働き方では続けられない人」が少なくありません。
例えば、東京都内の一部施設では「週4日・6時間勤務正社員」を導入した結果、離職率が約15%から8%台まで改善した事例もあります。
そのため、次のような制度整備が有効です。
6時間勤務の正社員制度。
週4日勤務の正社員制度。
時差出勤制度。
夜勤免除の正社員枠。
学び直しを支援する休暇制度。
家族介護と両立できる柔軟勤務制度。
こうした選択肢があれば、経験ある人材の流出を防ぎやすくなります。
これからの介護業界では、「採ること」以上に「辞めさせないこと」が経営課題になります。
介護現場で何が起きているのか
現在の介護業界では、複数の課題が同時に進行しています。
日本全体で65歳以上人口は約3,600万人、高齢化率は約29%に達しています。
一方で生産年齢人口は減少し続けています。
鹿児島市も高齢化率は約30%前後と全国平均を上回る水準です。
物価上昇により、介護職(平均年収約350万円前後)から、より賃金条件のよい業界へ転職する人も増えています。
親の介護が必要になる40〜50代の中堅職員が離職しやすくなっています。
資格取得や副業など、学び直しを望む人も増えています。
さらに、介護職の約6割が腰痛経験ありという調査もあり、健康問題も深刻です。
介護職は、身体的負担だけでなく、感情労働の側面も強い仕事です。
8時間勤務+夜勤+残業を長期間続けることが難しい人も少なくありません。
退職する介護職員の本音とは
介護者視点
退職を考える職員の多くは、仕事自体が嫌いになったわけではありません。
利用者との関わりにはやりがいがある。
感謝される喜びもある。
社会貢献性も感じている。
それでも辞めるのは、体力が限界に近いからです。
親の介護で時間が足りないからです。
夜勤が続き心身が疲弊するからです。
資格取得の勉強時間が取れないからです。
つまり、「仕事を辞めたい」のではなく、「今の働き方が続けられない」のです。
高齢者視点
利用者にとって、職員の退職は想像以上に大きな不安です。
実際、職員定着率が高い施設は利用者満足度が10〜15%高いという調査もあります。
介護は人間関係の積み重ねです。
担当者変更は、利用者の安心感にも直結します。
家族視点
家族にとっても、職員の定着率は重要です。職員の入れ替わりが多い施設は、入居継続率が低下する傾向も報告されています。
地域視点
鹿児島県内でも、人手不足により一部施設で定員縮小が起きています。
全国では介護事業所の約1割が人材不足を理由にサービス制限を経験しています。
介護人材の離職は、一事業所だけの問題ではありません。
なぜ短時間正社員が有効なのか
介護業界ではこれまで、「フルタイムで働くか、辞めるか」という二択になりがちでした。
しかし本来必要なのは、その間にある第三の選択肢です。
例えば福岡県のある法人では、短時間正社員制度を導入後、子育て世代の離職が約40%減少しました。
たとえば6時間勤務の正社員であれば、体力負担を抑えながら継続勤務しやすくなります。
週4日勤務であれば、通院や学習時間も確保できます。
夜勤なし正社員であれば、ベテラン職員の離職防止につながります。
これはビジネスでいう「商品ラインナップ拡充」と同じ考え方です。
選択肢が1つしかない商品は売れません。
働き方も同じで、選べる制度がある職場ほど人材が集まり、定着しやすくなります。
介護施設が取るべき具体策
1. 退職面談ではなく継続
面談を行う離職者の約7割は「事前に相談していない」というデータがあります。
半年ごとの面談で小さな不満を拾うだけで、離職率が数%改善する事例もあります。
2. 業務を細分化する
実際、業務の約20〜30%は資格がなくても対応可能と言われています。
鹿児島市でも、送迎専任や入浴専門スタッフを導入している施設は人員効率が改善しています。
3. 評価制度を成果基準へ変える
離職理由の上位には「評価・人間関係」が約25%含まれます。
滞在時間ではなく、利用者満足度やチーム貢献で評価する仕組みが重要です。
4. 管理職の意識改革を進める
成功している施設ほど、「8時間=正社員」という考えを捨てています。
実際、短時間正社員を導入した施設では、採用応募数が1.5倍になった例もあります。
介護業界の未来は職員にもケアプランを作れるかで決まる
介護現場では、利用者一人ひとりに合わせてケアプランを作ります。
ならば、職員にも一人ひとりに合わせた働き方プランが必要です。
育児中の職員。
親の介護を抱える職員。
資格取得を目指す職員。
体力に不安のあるシニア職員。
鹿児島のように地域密着型の介護が多い地域ほど、「辞めさせない仕組み」はそのまま地域維持に直結します。
全員に同じ働き方を求める時代は終わりつつあります。
まとめ
高齢者介護で退職する正社員の1〜2割は、仕事を辞めたい人ではなく、働き方が合わなくなった人かもしれません。
この人たちを守れるかどうかで、施設の未来は大きく変わります。
人手不足時代に必要なのは、根性論ではありません。
実際に、柔軟な働き方を導入した施設では離職率が5〜10%改善する事例も出ています。
8時間働ける人だけを探す時代から、6時間でも能力を発揮できる人を活かす時代へ変わっています。
それこそが、これからの介護経営と地域介護を支える、現実的で持続可能な答えです。



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