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2026/05/31 05:00
日経速報ニュース
【この記事の内容】
『65歳以上3,619万人時代…生きがいを失った高齢者に起こる危険な変化とは?』
はじめに
近年、高齢者が接客を担当する飲食店や人生相談を行うサービスが注目を集めています。
その代表例ともいえるのが「レンタルおばあちゃん」のような取り組みです。
日本では65歳以上の高齢者が3,619万人に達し、総人口に占める割合も29%と過去最高になっています。
鹿児島市でも令和4年10月1日時点で高齢化率が29%を超えており、地域としても高齢者の力をどう活かすかが大きなテーマになっています。
これらの活動は単なる仕事ではありません。
高齢者自身の生きがいづくりであると同時に、若い世代や地域社会にも価値を生み出す新しい社会参加の形なのです。
実際、65歳以上の就業率は26%、働く高齢者は930万人で過去最多となっており、高齢者が「支えられる側」だけではなく「支える側」にもなっている現実があります。
本記事では介護者の視点から、高齢者の生きがいと役割づくり、そしてレンタルおばあちゃんに象徴される新しい高齢者活躍の可能性について考察します。
なぜ高齢者は孤立しやすいのか
高齢者が社会との接点を失う背景には複数の要因があります。
定年退職によって長年続けてきた仕事を離れると、人との関わりや責任ある役割が一気になくなります。
また、配偶者や友人との死別、子どもの独立、身体機能の低下なども重なり、社会との距離が広がっていきます。
さらに、2024年には自宅で誰にも看取られず亡くなった「孤立死」が2万1,856人と推計され、その7割が65歳以上でした。
数字で見ると、孤立は決して珍しい問題ではありません。
さらに近年ではデジタル化が進み、人との交流がオンライン中心になっています。
スマートフォンやSNSに慣れていない高齢者にとっては、新しいコミュニケーション手段に参加しづらい状況もあります。
鹿児島市のように高齢化率が高い地域では、対面で話せる場や地域のつながりが、これまで以上に大切になります。
その結果、多くの高齢者が次のような気持ちを抱えるようになります。
「自分はもう必要とされていない」
「家族に迷惑をかけている」
「誰とも話さない日が増えた」
「毎日が同じことの繰り返しだ」
介護現場でも、身体機能の低下以上に、このような心理的な孤立感が意欲低下や認知機能低下につながる場面を数多く目にします。
高齢者の孤立は、本人の気持ちだけでなく、家族や地域の負担にもつながっていくのです。
生きがいが最高の介護予防になる理由
介護者として強く感じるのは、生きがいほど効果的な介護予防はないということです。
人は目的があるから動きます。
仕事があるから外出する。
会いたい人がいるから身だしなみを整える。
役割があるから頭を使う。
この一連の流れが自然な介護予防になります。
実際、65歳以上の就業率が26%まで上がり、就業者の7人に1人が高齢者という時代になっています。
高齢者が働くことは、収入のためだけでなく、生活リズムや社会参加を守る意味でも大きいのです。
例えば地域活動やボランティアに参加している高齢者は、活動場所まで歩き、人と会話し、予定を管理し、社会とのつながりを維持しています。
鹿児島市でも高齢化率が28.3%から29%超へと進む中で、こうした「役割のある生活」を地域の中で増やすことが重要です。
これは介護予防教室や運動プログラムだけでは得られない効果です。
つまり介護予防の本質は運動そのものではなく、「生きる理由」を持つことなのです。
なぜレンタルおばあちゃんが支持されるのか
おばあちゃんのようなサービスが注目される背景には、現代社会特有の課題があります。
現在の社会は効率性やスピードが重視されています。
SNSでは短い言葉が飛び交い、AIが瞬時に回答を出し、何事も最短距離で解決することが求められています。
しかしその一方で、人々はゆっくり話を聞いてもらう機会を失っています。
とくに孤立死が2万1,856人にのぼり、65歳以上が7割を占める現状を見ると、「誰かに話を聞いてもらうこと」の価値は想像以上に大きいと感じます。
若い世代の中には、
家族との関係が希薄になった人
相談相手がいない人
将来への不安を抱える人
孤独感を抱える人
が少なくありません。
そんな時、高齢者の持つ包容力や人生経験が大きな価値になります。
友人からの助言よりも、何十年もの人生経験を積み重ねてきた高齢者の言葉に安心感を覚える人は多いでしょう。
鹿児島のように地域のつながりが暮らしの支えになりやすい場所では、この「聞いてもらえる安心感」がさらに意味を持ちます。
若者が求めているのは答えではありません。
「大丈夫だよ」と受け止めてくれる存在なのです。
高齢者が役割を持つことで生まれる好循環
高齢者が役割を持つことは本人だけでなく社会全体に利益をもたらします。
高齢者本人は自己肯定感が高まり、生きがいを感じやすくなります。
身体を動かす機会も増えるため、筋力や認知機能の維持にもつながります。
家族にとっても、高齢者が前向きに活動することで介護負担感の軽減につながります。
地域にとっては人材不足の解消や世代間交流の促進というメリットがあります。
つまり役割づくりは高齢者支援ではなく、社会全体への投資なのです。
実際、全国で65歳以上の就業者が930万人に達していることは、高齢者がすでに地域経済や生活の現場を支えている証拠でもあります。
介護者が見直すべき支援の考え方
介護現場では「安全第一」が重視されます。もちろん重要な考え方です。
しかし安全を優先するあまり、高齢者から役割を奪ってしまうことがあります。
「危ないからやめましょう」
「失敗するから職員がやります」
「座っていてください」
このような対応は本人の自立心を低下させる場合があります。
鹿児島市のように高齢者が地域の中で大きな割合を占める場所では、とくに「できないこと」より「できること」を増やす視点が必要です。
介護者が本当に考えるべきなのは、「できないこと」ではなく「できること」です。
お茶出しでも構いません。
花の水やりでも構いません。
他利用者との会話でも構いません。
重要なのは誰かの役に立ったという実感です。
人は「ありがとう」と言われることで自分の価値を再確認できるからです。
これは介護予防の一番の土台になります。
家族と地域に求められる視点
家族は高齢者を心配するあまり活動を制限しがちです。
しかし過保護な支援は時として役割を奪います。
高齢者本人ができることまで家族が代わりに行うと、自信や意欲が失われてしまいます。
また地域社会も高齢者を福祉の対象として見るだけではなく、地域を支える担い手として考える必要があります。
鹿児島県内でも高齢化率は32.5%と全国より高く、鹿児島市でも29%を超えています。
だからこそ、子ども食堂、見守り活動、読み聞かせ活動、地域サロンなど、高齢者が活躍できる場を地域の中で増やしていくことが大切です。
これからの時代は「高齢者を支える社会」から「高齢者と共に支える社会」への転換が求められるでしょう。
これからの介護福祉で起こる変化
今後の介護福祉分野では、高齢者の役割はさらに多様化していくと考えられます。
オンライン相談員として人生経験を伝える人。
子育て世代を支援する人。
地域コミュニティを運営する人。
AIやデジタル技術を活用しながら若い世代と交流する人。
高齢者は支援されるだけの存在ではなく、社会課題を解決する重要な資源になっていくでしょう。
東京都では2025年に65歳以上が約328万人、高齢化率23.0%と見込まれていますが、鹿児島のようにすでに高齢化が進んだ地域では、この変化を先に体感しているとも言えます。
まとめ
高齢者の生きがいづくりや役割づくりは、単なる介護予防ではありません。
それは高齢者本人の幸福だけでなく、家族、地域、社会全体を支える重要な取り組みです。
全国では65歳以上が3,619万人、就業率は26%、孤立死は2万1,856人という数字が示すように、高齢者をどう支えるかだけでなく、どう活躍してもらうかが問われています。
レンタルおばあちゃんが支持される背景には、人と人とのつながりを求める現代社会のニーズがあります。
介護者として大切なのは、高齢者を「支援が必要な人」として見るのではなく、「社会に価値を提供できる人」として見ることです。
超高齢社会の未来を考えるとき、本当に必要なのは介護サービスの拡充だけではありません。
高齢者が誰かの役に立ち続けられる社会をつくることです。
その環境づくりこそが、これからの介護福祉に求められる最も重要な役割ではないでしょうか。



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