がんになれば認知症にならない?逆相関研究で判明した高齢者の誤解とは

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生活習慣でリスク減らせる 

がんもアルツハイマー病も

がん社会を診る 

2026/06/03 05:00

日経速報ニュース

生活習慣でリスク減らせる がんもアルツハイマー病も – 日本経済新聞
がんとアルツハイマー病はいずれも最も恐れられる病気ですが、同時に発症することはめったにありません。アルツハイマー病の患者はがんを発症しにくく、がん患者はアルツハイマー病になりにくい、というわけです。特にアルツハイマー病の患者のがんのリスクは…

【この記事の内容】

『高齢者が最も恐れる2大疾病…実は同時発症しにくい驚きの理由とは?』

はじめに

がんもアルツハイマー病も高齢者が最も恐れる病気ですが、不思議なことに両方を同時に発症するケースは比較的少ないことが知られています。

日本では、がんは年間約100万人が新たに診断され、死亡原因の約25%を占める最大の疾患です。

一方、認知症は全国で約600万人(65歳以上の約6人に1人)と推計されています。

今回は介護者の視点から、がんとアルツハイマー病の逆相関について考察し、高齢者や家族がどのような対策を取るべきかを考えていきます。

がんとアルツハイマー病は「細胞の生き方」が正反対

なぜ逆相関が起こるのでしょうか。

現在も研究が続いていますが、有力な考え方の一つは細胞の働き方にあります。

がんは本来死ぬべき細胞が生き残り続け、異常に増殖してしまう病気です。

一方、アルツハイマー病は脳の神経細胞が少しずつ失われていく病気です。

つまり、「死なない細胞が増える病気」ががんであり、「死んでほしくない細胞が減る病気」がアルツハイマー病です。

細胞の運命が正反対の方向へ進むため、両者には逆相関が生じるのではないかと考えられています。

実際に海外研究では、がん既往者はアルツハイマー病発症リスクが約20〜30%低いという報告もあります(逆に認知症の人はがん発症がやや低い傾向)。

これはビジネスでいうところのトレードオフにも似ています。

企業が利益を追求しすぎると品質が低下することがあります。

逆に品質を極限まで追求すると利益率が低下することがあります。

人間の細胞もまた、絶妙なバランスの上で成り立っているのかもしれません。

高齢者が本当に恐れているもの

介護現場で高齢者と接していると、病気そのものよりも病気の先にある未来を恐れていることが分かります。

がんを恐れる高齢者は、

「家族に迷惑をかけたくない」

「痛い思いをしたくない」

「治療費が心配だ」

という不安を抱えています。

実際、日本のがん治療費は高額療養費制度があるとはいえ、月数万円〜10万円程度の自己負担が続くケースもあります。

一方でアルツハイマー病を恐れる高齢者は、

「家族の顔が分からなくなったらどうしよう」

「自分で判断できなくなったらどうしよう」

「周囲に迷惑をかけてしまう」

という不安を抱えています。

認知症になると、要介護認定を受ける割合が急増し、要介護3以上になる人も多く、家族の介護負担は1日平均約2〜4時間に及ぶというデータもあります。

つまり、がんは命を失う恐怖、 アルツハイマー病は自分らしさを失う恐怖 と言えるでしょう。

介護者は病気だけを見るのではなく、その奥にある本人の不安や葛藤を理解する必要があります。

介護現場で見えてくる共通点

興味深いことに、がん予防と認知症予防には多くの共通点があります。

介護現場を振り返ると、

長年喫煙している人(日本の喫煙率:約16%)

運動習慣がない人(運動習慣ありは約30%)

糖尿病や高血圧を放置している人(高血圧有病率:約43%)

社会とのつながりが少ない人(高齢者の約2割が孤立傾向)

健康診断を受けていない人(特定健診受診率:約55%)

ほど健康寿命が短くなる傾向があります。

鹿児島市においても、特定健診受診率は全国平均よりやや低めの水準(約50%前後)であり、生活習慣病の重症化が課題とされています。

一方、長野県のような健康先進地域では、健診受診率が60%以上、平均寿命も男性約82歳・女性約88歳と全国トップクラスです。

逆に、

よく歩く人(1日7000歩以上)

趣味を持つ人

地域活動に参加する人(参加者は要介護リスク約30%低下)

家族や友人と交流がある人

健康管理を続けている人

は心身ともに元気なケースが多く見られます。

これは介護現場で働く人なら誰もが実感していることではないでしょうか。

これからの介護は「治療」より「予防」の時代

介護福祉業界では、大きな転換期を迎えています。

これまでの介護は、病気になった後の支援が中心でした。

しかし今後は病気になる前の予防支援がますます重要になります。

日本では2025年時点で、

認知症高齢者:約600万人

独居高齢者:約700万人

介護人材不足:約30万人不足と推計

医療費:約45兆円規模

と、すでに限界が見え始めています。

鹿児島市も高齢化率は約30%を超え、全国平均(約29%)よりやや高い水準にあります。

そのため近年は、

フレイル予防(筋力低下は5年で要介護リスク約2倍)

社会参加支援

認知症予防活動

地域サロン(参加者は認知症発症リスク約40%低下という研究あり)

健康教育 ICTやAIを活用した見守り

などが重視されています。

介護の役割は「介助」から「健康寿命を延ばす支援」へと広がっているのです。

家族にできること 家族だからこそできる予防があります。

特別なことではありません。

日常の中で、

最近物忘れが増えていないか(年3回以上の同じ質問など)

歩く速度が遅くなっていないか(1m/秒未満はフレイル指標)

人との交流が減っていないか(週1回未満は要注意)

食事量が減っていないか(半年で体重2〜3kg減少)

を気にかけるだけでも大きな意味があります。

病気は突然始まるように見えて、実際には長い時間をかけて進行することが少なくありません。

家族の小さな気づきが将来を大きく変えることがあります。

善策としては、

「月1回の通院付き添い」

「週1回の外出同行」

「1日1回の会話習慣」

この3つだけでも発症リスクを確実に下げる行動になります。

まとめ

がんとアルツハイマー病は、高齢者が最も恐れる二大疾患です。

そして興味深いことに、両者には逆相関が存在すると考えられています。

しかし介護者として本当に注目すべきなのは逆相関そのものではありません。

重要なのは、どちらの病気にも共通する予防策があることです。

適度な運動(週150分以上)

禁煙

栄養管理

社会参加

感染予防

難聴対策(補聴器使用で認知症リスク約20%低下)

生活習慣病予防

こうした積み重ねが、がんや認知症のリスクを減らし、健康寿命の延伸につながります。

介護の本質とは、病気になってから支えることだけではありません。

病気になりにくい人生を支えることです。

鹿児島の地域特性(つながりの強さ)を活かしながら、長野のような「予防先進地域」の取り組みを少しずつ取り入れることが、これからの現実的な善策だと考えます。

がんとアルツハイマー病の逆相関という不思議な現象は、私たちに「長生きすること」ではなく、「元気に長く生きること」の大切さを教えてくれているのかもしれません。

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