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矢野経済研究所、
嚥下食・咀嚼困難者食・介護予防食
市場に関する調査結果を発表
2026/06/08 14:30
日経速報ニュース
【この記事の内容】
『高齢者の低栄養は静かに進行する…介護者が知るべき危険信号とは?』
はじめに
近年、高齢化の進展に伴い、嚥下食や咀嚼困難者食、介護予防食への関心が急速に高まっています。
日本の高齢化率は約29.1%(2024年時点)と世界でも最も高い水準にあり、鹿児島市においても高齢化率は約31%前後と全国平均を上回る状況です。
その背景には要介護高齢者の増加だけでなく、在宅介護の拡大や低栄養予防への意識向上があります。
介護者にとって食事支援は単なる栄養補給ではありません。
高齢者の健康寿命(日本平均:約72.6年)や人生の楽しみを支える重要な介護の一つです。
本記事では、高齢者を取り巻く食事の課題について、介護者視点、高齢者視点、家族視点、地域視点から詳しく考察していきます。
高齢者の食事支援が重要になっている理由
結論から言うと、高齢者の身体機能低下が「食べる力」の低下につながっているためです。
加齢によって筋力や身体機能が衰えると、これまで当たり前にできていた「噛む」「飲み込む」という動作が難しくなります。
例えば、日本では75歳以上の約30〜40%が嚥下機能の低下リスクを抱えているとされています。
具体的には以下のような変化が起こります。
嚥下機能の低下により食べ物や飲み物でむせやすくなります(誤嚥性肺炎は高齢者の死因上位で、肺炎死亡の約9割が65歳以上)。
咀嚼力の低下によって硬い食べ物を避けるようになります(80歳で自分の歯が20本以上ある人は約50%)。
食欲が低下し、食事量が減少します(在宅高齢者の約15%が低栄養リスク)。
独居生活や孤食によって食事への意欲が低下します(鹿児島市では高齢者単身世帯が約30%)。
その結果、必要な栄養が摂取できず低栄養状態に陥る可能性があります。
介護分野で注目されているフレイルやサルコペニアも、このような食事量の低下と深く関係しています。
日本ではフレイル該当・予備群は高齢者の約40%とされます。フレイルとは加齢に伴い心身の活力が低下した状態です。
サルコペニアとは筋肉量や筋力が低下した状態を指します。
これらが進行すると転倒や骨折だけでなく、誤嚥性肺炎や寝たきりのリスクも高まります(要介護原因の約13%が転倒・骨折)。
嚥下食とは何か
嚥下食が必要になる背景
嚥下食とは、安全に飲み込めるよう工夫された食事のことです。
高齢者の中には、水やお茶を飲んだだけでむせる方や、食事中に頻繁に咳き込む方がいます。
実際、要介護高齢者の約20〜30%に嚥下障害があるとされています。
もし適切な対応を行わず通常食を続けた場合、誤嚥性肺炎のリスクが高まり、日本では年間約4万人以上が関連して亡くなっています。
そのため、食材を柔らかくしたり、とろみを付けたりして飲み込みやすくした食事が必要になります。
高齢者が抱える本当の気持ち
介護者は安全面に意識が向きがちですが、高齢者本人の心理にも目を向ける必要があります。
好きな食べ物を自由に食べられなくなることは、大きな喪失感につながります。
「みんなと同じ食事がしたい」
「食事が楽しめなくなった」
「むせる姿を見られたくない」
「家族に迷惑をかけたくない」
このような思いを抱える高齢者は少なくありません(食事満足度が低い高齢者は抑うつ傾向が約2倍高いという報告もあります)。
だからこそ介護者には、安全性だけでなく食べる楽しみを維持する視点が求められます。
例えば、見た目を通常食に近づけた「ソフト食」の導入施設では、食事摂取量が約10〜15%改善した事例もあります。
咀嚼困難者食とは何か
噛めないことが引き起こす悪循環
咀嚼困難者食とは、噛む力が低下した方でも食べやすいよう工夫された食事です。
高齢者が噛めなくなる背景には、歯の喪失が大きく関係し、日本では75歳以上の約35%が部分入れ歯、約15%が総入れ歯です。
噛めなくなると肉類や野菜を避けるようになります。
すると栄養バランスが崩れます(たんぱく質摂取量が推奨の約80%未満になるケースも多い)。
さらに筋力低下が進みます。
筋力が低下すると活動量が減ります。
活動量が減ると食欲も低下します。
この悪循環によって心身の衰えが加速していくのです。
介護者が確認したいポイント
鹿児島市でも歯科受診率は都市部よりやや低く、定期受診者は約40%程度とされます。
一方、神奈川県横浜市では高齢者の歯科健診受診率が50%を超える地域もあり、口腔ケアの取り組みが進んでいます。
そのため介護者は以下を意識することが重要です。
食事中の違和感の観察
入れ歯の調整
定期的な歯科受診
嗜好の変化の把握
善策としては、歯科・管理栄養士との連携に加え、「噛める形状にする調理(圧力調理・酵素軟化)」の活用が現場負担を減らします。
介護予防食が注目される理由
介護予防食とは、介護状態になる前の段階で健康維持を目的として活用する食事です。
日本では要介護認定者が約690万人を超えており、今後も増加が見込まれています。
近年の介護現場では「治療から予防へ」という考え方が重視されています。
例えば、埼玉県和光市ではフレイル予防事業により要介護認定率が全国平均より約3ポイント低い水準を維持しています。
高齢者の健康管理も同じです。
要介護状態になってから対策するよりも、早い段階から栄養管理を行う方が健康寿命の延伸につながります。
特に重要なのは、たんぱく質(1日体重1kgあたり約1.0〜1.2g)、水分(1日約1,500ml目安)、ビタミン類、カルシウムです。
介護者視点で考える課題と対策
介護現場では人手不足が深刻で、有効求人倍率は約3〜4倍とされています。
食事支援の負担も増加しています。
食事形態の判断が難しい。
調理に時間がかかる。
栄養管理が複雑である。
誤嚥事故への不安がある。
鹿児島市でも在宅介護の割合が増え、配食サービス利用者は年々増加しています。
善策としては、冷凍完調品や地域配食(週3〜5回利用)を組み合わせることで、介護負担を約20〜30%軽減できるとされています。
またICT記録や多職種連携も有効です。
高齢者視点で考える課題と対策
高齢者にとって食事は人生の楽しみです。
しかし孤食は全国で約20%、鹿児島市ではそれ以上の地域もあります。
食べる楽しみを維持する工夫として、
週1回の共食機会
好きなメニューの導入
見た目改善(彩り・盛り付け)
これらにより食事量が約10%以上改善する事例もあります。
家族視点で考える課題と対策
家族の約60%が「食事に不安」を感じているという調査もあります。
地域包括支援センターの活用率はまだ十分ではなく、鹿児島市でも認知度は約70%にとどまります。
善策としては、
早期相談配食+通所サービス併用
専門職との定期連携
が介護継続の鍵になります。
地域社会が担う役割
鹿児島市では買い物困難者が高齢者の約15%とされ、地方ほどその傾向は強くなります。
一方、長野県などでは地域サロン参加率が20%を超え、フレイル予防に成果が出ています。
今後は、
配食サービス
地域サロン
栄養教室
災害備蓄(最低3日分→推奨7日分)
こうした取り組みを組み合わせることが重要です。
まとめ
介護分野では「食事は健康の土台である」という考え方があります。
嚥下食、咀嚼困難者食、介護予防食は単なる特別食ではありません。
それぞれが高齢者の命と健康、そして人生の楽しみを支える重要な役割を担っています。
これからの介護現場では、「食べられなくなってから支援する」のではなく、「食べ続けられる環境をつくる」という予防的な視点がますます重要になります。
鹿児島市のような高齢化が進む地域だからこそ、地域資源と専門職をつなぎながら、日常の食事を支える仕組みづくりが重要です。
高齢者本人、家族、介護者、地域社会が連携しながら、食べる喜びと健康を守る取り組みを進めていくことが、これからの超高齢社会に求められる介護のあり方ではないでしょうか。



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