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札幌市、健康アプリで
高齢者の外出促進
医療費抑制めざす
データで読む地域再生
北海道
2026/07/17 11:00
日経速報ニュース
【この記事の内容】
『外出しない人ほど危ない…理由と健康アプリが救う介護予防』
はじめに
高齢者の外出には歩くことだけでなく、人と会話をする、季節を感じる、買い物を楽しむ、地域活動に参加するなど、身体・心・社会性を同時に刺激する多くの効果があります。
日本では65歳以上の人が全人口の約29%を占めており、高齢期の生活を「どう支えるか」だけでなく、「どう元気に続けるか」がますます大切になっています。
しかし、加齢とともに転倒への不安や体力の低下、外出する目的の喪失などが重なり、自宅で過ごす時間が長くなりがちです。
鹿児島市でも高齢化が進む中で、外に出るきっかけづくりや、日常の中で無理なく続けられる介護予防が重要なテーマになっています。
こうした課題を解決するため、近年は全国の自治体で健康アプリを活用した介護予防や健康づくりが進んでいます。
歩数や血圧、体重の記録だけでなく、地域ボランティアや健康イベントへの参加によってポイントが付与される仕組みも増えてきました。
国の資料でも、高齢者の外出や歩行は健康維持に直結し、移動や外出の機会を増やすことが生活機能の維持に結びつくとされています。
一見すると単なる健康管理アプリのように思えますが、介護者の視点では違います。
健康アプリは、「健康を記録する道具」ではなく、「外出したくなる理由をつくる介護予防ツール」です。
介護は、身体機能が低下してから支援を始めるだけでは十分ではありません。
健康なうちから外出習慣を育て、社会とのつながりを維持することが、将来の介護予防につながります。
本記事では、健康アプリが注目される背景をはじめ、高齢者・介護者・家族・地域それぞれの立場から見える課題と解決策を考察し、これからの介護に求められる新しい健康づくりについて詳しく解説します。
健康アプリが注目される背景
日本では高齢化の進行に伴い、一人当たりの医療費が増加し続けています。
だからこそ、多くの自治体では「病気になってから治療する医療」から、「病気になる前に予防する医療」へと大きく方向転換しています。
国としても、高齢者人口が約3,600万人規模に達する中で、予防と自立支援の重要性が高まっています。
具体的には、歩数を増やす健康アプリの導入、健康診断の受診率向上、AIを活用した受診勧奨、保健師による継続的な健康支援、地域ボランティア活動の促進など、多角的な介護予防政策が進められています。
これらの取り組みに共通している目的は、高齢者が健康で自立した生活を長く続けられるよう支援することです。
鹿児島市でも、介護保険事業計画の中で高齢者の健康維持や地域での支え合いが重視されており、自治体単位での予防施策が現実に動いています。
つまり、医療費を減らすことが目的ではなく、「元気に暮らせる期間」を延ばした結果として医療費の適正化につながるという考え方へ変化しているのです。
なぜ高齢者は外出しなくなるのか
介護現場では、「歩けなくなったから外出しない」と考えられがちですが、実際には「外出する理由がないから歩かなくなる」というケースも少なくありません。
高齢者の心の中には、転倒への恐怖、足腰の衰えへの不安、認知症への心配、一人で出掛ける寂しさ、暑さや寒さへの負担、家族へ迷惑を掛けたくないという遠慮など、さまざまな思いがあります。
このような心理が積み重なることで、外出する機会が減少し、運動不足や社会的孤立、筋力低下、フレイル、認知機能の低下へとつながる悪循環が生まれてしまいます。
国の調査でも、高齢者の外出頻度は健康状態や生活機能と強く関係しており、外に出る機会の確保が重要だと示されています。
だからこそ重要なのは、「歩けるかどうか」ではなく、「歩きたくなる理由」をつくることなのです。
健康アプリの効果
健康アプリの最大の魅力は、「歩かなければならない」という義務感ではなく、「歩きたくなる」という楽しさを生み出せることです。
たとえば、1日3,000歩を「今日は少ない」と感じる人でも、1週間で合計21,000歩、1か月で約90,000歩と見えると、積み重ねの意味が分かりやすくなります。
歩数がポイントとして可視化されることで、小さな達成感を積み重ねることができます。
また、血圧や体重などの健康状態を日々記録することで、自身の体調変化にも早く気付けるようになります。
さらに、地域イベントやボランティア活動への参加によってポイントが付与される仕組みでは、人との交流が増え、孤立防止や生きがいづくりにもつながります。
つまり健康アプリは、「運動」「健康管理」「社会参加」という三つの介護予防を同時に実現できるツールなのです。
介護者の支援
介護者が健康アプリを活用する際に最も大切なのは、歩数を競わせることではありません。
一人ひとりの体力や生活環境に合わせて無理のない目標を設定し、小さな成功体験を積み重ねられるよう支援することです。
たとえば、最初は「毎日1,000歩増やす」ではなく、「週に3回、買い物のついでに10分歩く」といった目標の方が続けやすいことがあります。
また、スマートフォン操作が苦手な高齢者には初期設定を手伝い、毎日の歩数を一緒に確認したり、「昨日より少し増えましたね」と声を掛けたりするだけでも継続しやすくなります。
介護者は管理者ではなく、「応援者」として寄り添う姿勢が何より重要です。
家族と地域の力
健康アプリは高齢者一人だけで続けるものではありません。
家族が歩数を話題にすることで会話が増え、「今日は何歩歩いたの?」という何気ない一言が、高齢者の意欲につながります。
たとえば、1日1回の声かけを続けるだけでも、外出や運動のきっかけは大きく変わります。
地域では健康イベントやボランティア活動を充実させることで、外出する目的を増やすことができます。
鹿児島市のように地域包括的な介護予防を進める自治体では、こうした「通う場所」「会う相手」「参加する理由」があるほど、継続率が高まりやすくなります。
さらに自治体がポイント制度や健康相談を組み合わせることで、高齢者の社会参加はより促進されるでしょう。
介護予防は、一人の努力だけでは限界があります。
介護者、家族、地域、行政がそれぞれの役割を果たしながら支え合うことで、より大きな成果が期待できます。
介護福祉の変化
現在の介護福祉分野では、デジタル技術を活用した介護予防が急速に広がっています。
健康アプリの普及、AIを活用した健康診断の受診勧奨、フレイル予防の強化、地域包括ケアシステムの推進、見守りサービスの高度化など、介護は「支える」から「予防する」へと大きく進化しています。
この流れは今後さらに加速し、高齢者自身が主体的に健康づくりへ参加する時代になっていくでしょう。
まとめ
健康アプリは、単に歩数を記録する便利なスマートフォンアプリではありません。
介護者の視点で考えると、外出・運動・健康管理・社会参加を自然につなげる「介護予防の入り口」といえる存在です。
日本では高齢化率が約29%に達し、鹿児島市でも高齢者を支える仕組みづくりが一層重要になっています。
歩く習慣が身に付けば、筋力や認知機能の維持だけでなく、人との交流が増え、生きがいや自己肯定感の向上にもつながります。
その積み重ねが、健康寿命の延伸や医療費の適正化、そして地域全体の活力向上へと広がっていきます。
これからの介護に求められるのは、支援が必要になってから介護を始めることではなく、健康なうちから「外出したくなる環境」を整えることです。
健康アプリは、その第一歩を後押しする新しい介護予防ツールです。
介護者・家族・地域が力を合わせ、高齢者が自分らしく安心して外出できる社会を築くことが、これからの介護の大きな使命ではないでしょうか。



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