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「血管内皮細胞」が
病気のリスクと関連
2026/07/16 05:00
日経速報ニュース
【この記事の内容】
『9割が見落とす…血管の老化で認知症・脳卒中が近づく危険サイン』
はじめに
歩ける、食べられる、会話ができるという表面的な健康だけでは、本当の健康状態は判断できません。
その土台となるのが、全身へ酸素と栄養を運ぶ「血管」です。
血管は肌や髪のように目で見ることができないため、老化に気付きにくいという特徴があります。
しかし、その見えない変化は少しずつ進行し、血流が悪くなることで、疲れやすさや冷えといった身近な不調だけでなく、認知症、脳卒中、心筋梗塞、転倒、寝たきりなど、介護が必要となる病気の大きな原因にもなります。
実際に日本では、要介護になる原因の上位は、認知症が約18%、脳血管疾患(脳卒中など)が約16%を占めており、この2つだけで全体の約3分の1を占めています。
つまり血管の状態が、将来の介護リスクに直結していると言えます。
介護現場では、
「突然脳梗塞になった」
「転倒して骨折した」
「認知症が急速に進行した」
という場面によく遭遇します。
しかし、その多くは突然起こったわけではありません。
長年にわたる血管の老化という”見えない積み重ね”が背景にあります。
私は、介護とは「病気になった後に支える仕事」だけではなく、「病気にならない身体づくりを支える仕事」でもあると考えています。
この記事では、介護者・高齢者本人・家族・地域社会という4つの視点から、高齢者の血管の老化と介護予防について考察します。
高齢者の血管の老化とは何か
血管は、全身へ酸素や栄養を届け、老廃物を回収するライフラインです。
人間の体内に張り巡らされた血管の総延長は約10万kmともいわれ、その働きによって私たちの生命活動は支えられています。
しかし、加齢とともに血管にも老化が起こります。
例えば日本では、70歳以上の約6割が高血圧とされており、この段階で血管にはすでに大きな負担がかかっています。
血管は徐々に弾力を失い硬くなり、血液は流れにくくなります。
さらに、血管の内側を覆う「血管内皮細胞」の働きが低下すると、血管を健康に保つ力も弱まります。
その結果、動脈硬化が進み、全身へ十分な酸素や栄養が届きにくくなります。
この変化は目に見えず、自覚症状もほとんどありません。
しかし身体の内部では確実に進行しており、疲れやすさ、筋力低下、認知機能の低下など、さまざまな老化現象として現れてきます。
つまり、血管の老化は「病気」ではなく、多くの病気を引き起こす土台なのです。
血管の老化が介護へ与える影響
血管の老化は生活習慣病だけの問題ではありません。
介護が必要となる原因とも深く関係しています。
日本では年間約11万人が脳卒中で亡くなり、後遺症を含めると数十万人規模で生活機能に影響が出ています。
また、認知症高齢者は約600万人と推計されており、その背景にも血流低下が関与しています。
血流が悪化すると、脳卒中や心筋梗塞だけでなく、認知症の発症リスクも高まることが分かっています。
また、筋肉や骨への血流も低下するため、筋力が衰えやすくなり、転倒や骨折の危険性も高くなります。
転倒についても、日本では高齢者の約20%が年間に1回以上転倒するとされており、そのうち骨折に至るケースも少なくありません。
介護現場では、「転倒が原因で要介護になった」と考えられがちですが、本当の原因は、その前から進行していた血管の老化だったというケースも多くあります。
つまり、血管を守ることは、健康寿命を延ばし、介護予防につながる最も重要な取り組みの一つなのです。
なぜ血管は老化するのか
血管の老化は年齢だけが原因ではありません。
毎日の生活習慣が少しずつ血管へ負担をかけています。
例えば、日本人の平均食塩摂取量は約10g前後であり、推奨される6g未満を大きく上回っています。
鹿児島県も同様に塩分摂取量が高めの地域傾向があり、高血圧の一因となっています。
また、運動習慣がある高齢者は全国で約3〜4割程度にとどまり、過半数は十分な運動ができていません。
喫煙、睡眠不足、ストレスなども含め、これらが重なることで血管へのダメージは何倍にも大きくなります。
血管の老化は、一日で起こるものではありません。毎日の生活習慣が何年、何十年とかけて積み重なった結果なのです。
高齢者が生活習慣を変えにくい理由
介護現場では、
「好きなものを食べたい」
「今さら運動しても意味がない」
と話す高齢者は少なくありません。
鹿児島市でも高齢化率は約30%を超えており、単身高齢者世帯も増加しています。
このような環境では、「一人では続けられない」という声が現実的な問題として存在しています。
これは決して意欲がないからではありません。
人生の終盤だからこそ好きなように暮らしたいという思いや、病気になっていないから大丈夫という安心感など、さまざまな心理が重なっています。
つまり、高齢者に必要なのは知識だけではありません。
「続けられる環境」と「一緒に頑張ってくれる人」の存在こそが、生活習慣を改善する最大の支えになります。
介護者だからできる血管老化予防
介護職は病気を治療する専門職ではありません。
しかし、生活を支える専門職だからこそ、病気を予防するための支援ができます。
例えば、長野県は健康寿命が全国トップクラスであり、その背景には減塩(平均約8g台)や日常的な歩行習慣があります。
こうした地域差は生活支援の質の違いとも言えます。
毎日の食事で野菜350g以上、魚中心の食事、十分なたんぱく質(体重1kgあたり約1g)を意識することは、血管を守る第一歩になります。
また、1日20分の散歩を週3回行うだけでも、血流改善や認知症予防効果が期待されています。
さらに、地域サロンや通いの場に週1回参加する高齢者は、参加していない人に比べて要介護認定リスクが約半分になるという報告もあります。
介護者が日々の生活を少し工夫するだけでも、高齢者の将来は大きく変わる可能性があります。
介護者・高齢者・家族・地域が果たす役割
血管の健康は、一人だけでは守ることができません。
鹿児島市でも地域包括支援センターが市内約20か所以上に設置されており、相談や介護予防の拠点となっています。
介護者は日々の変化に気付き、小さな異変を見逃さない観察力が求められます。
高齢者本人は、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。
例えば「1日5分歩く」を1週間続けるだけでも大きな一歩です。
家族は伴走者として関わることで、継続率を高めることができます。
地域とのつながりは、孤立を防ぐだけでなく、認知症発症リスクの低下にもつながることが分かっています。
血管の状態を知ることも介護予防になる
血管の老化は自覚症状が少ないため、健康診断だけでは気付けないことがあります。
日本では特定健診の受診率は約50%前後にとどまっており、半数は十分なチェックができていない現状があります。
血圧、血糖、コレステロールなどを定期的に数値で把握することで、変化に気付きやすくなります。
数値で変化を確認できれば、生活習慣改善の継続にもつながります。
介護福祉分野で起こっている変化
超高齢社会を迎えた日本では、高齢化率は約29%に達し、世界でもトップクラスです。
鹿児島県はそれを上回る約32%前後とされ、より早く課題に直面しています。
そのため、「治す介護」から「防ぐ介護」への転換が進んでいます。
フレイル予防や地域包括ケアの推進も、こうした背景から生まれています。
血管の健康を守ることは、これからの介護福祉における重要なテーマになるでしょう。
介護者として著者考えること
私は、血管は人生を支える「道路」だと考えています。
どれだけ高性能な車でも、道路が壊れていては目的地へたどり着けません。
例えば、日本の健康寿命と平均寿命の差は男性で約9年、女性で約12年あります。
この差の多くは、血管に関わる疾患が影響しています。
人間も同じです。
だからこそ、介護とは”道路が壊れてから修理する仕事”ではなく、道路を傷めないよう日頃から維持管理する仕事でもあります。
毎日の小さな積み重ねが、この「約10年前後の差」を縮める鍵になります。
まとめ
血管の老化は静かに進行し、自覚症状がほとんどないまま介護リスクを高めます。
しかし、日本や地域のデータを見ると、生活習慣や環境によってその未来は大きく変えられることも分かっています。
介護者、高齢者、家族、地域がそれぞれの立場で取り組むことで、健康寿命は確実に延ばすことができます。
血管を守ることは、未来の介護を減らすことにつながります。
それは、本人だけでなく、家族や地域全体を守る行動でもあるのです。



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