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多過ぎ?歯科医、
初の減少
偏在で高齢者の受診困難に
-Inside Out
2024/12/29 05:00
日経速報ニュース
【さこしんの所見】
「耐えられない歯の痛み!その時歯科が受けられないとしたら…そんなちょっぴり恐い話」
はじめに
近年、国内の歯科医師数が初めて減少に転じ、虫歯治療が遅れる可能性が指摘されています。
これは、歯科医師の高齢化と引退、そして歯科医師の地域的な偏在が進行していることが原因です。
さらに、65歳以上の高齢患者数が今後増加することが予測されており、予防的な対策が求められています。
本記事では、歯科医師不足の現状や、高齢者が直面する課題、そしてその解決策について詳しく見ていきます。
歯科医師の減少とその背景
国内の歯科医師数が減少
2024年、厚生労働省の調査によると、国内の歯科医師数は前回調査(2020年)よりも2000人以上減少し、10万5267人となりました。
1954年の統計開始以来、歯科医師数が初めて減少したことになります。
この減少の主な原因は、1970年代に大量に育成されたベテラン層が引退し始めたためです。
1970年代に大量育成された歯科医師
高度経済成長期、虫歯患者の急増に伴い、政府は歯科医師の増加を目指した政策を実施しました。
その結果、1970年代には歯科医師数が大幅に増加しましたが、現在、その世代が高齢化し、引退しています。
このことが、歯科医師不足の主な原因となっています。
高齢者の歯科診療を取り巻く課題
高齢者の虫歯治療とその遅れ
65歳以上の高齢者は、虫歯や歯周病が進行しやすく、放置すると口腔内の健康だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼします。
特に高齢者の場合、歯科医師へのアクセスが難しく、治療が遅れるリスクが高くなります。
高齢者が抱える課題
高齢者にとって、歯科医院への通院は大きな負担となります。
脚力の衰えや車の運転が難しくなることで、歯科医院に行くこと自体が困難になる場合があります。
そのため、訪問診療や在宅ケアの重要性が高まっています。
地域による歯科医師の偏在
歯科医師の数は地域によって偏りがあります。
東京都などの都市部には歯科医師が多い一方で、山陰地方や北陸地方では歯科医師が不足しています。
この地域差が、高齢者が必要な歯科診療を受けることを難しくしています。
介護者、家族、地域の視点から見る課題と対応
介護者視点
歯科診療の重要性:介護者にとって、高齢者が虫歯や歯周病を予防するためには、定期的な口腔ケアが重要です。
しかし、歯科医師が不足している中で、介護者が歯科診療を依頼しやすい環境を整える必要があります。
訪問診療の充実や、地域での歯科医師ネットワークの強化が求められます。
高齢者視点
歯科診療の受けにくさ:高齢者は、歯科医師不足に加え、移動手段の確保や体力の問題から、歯科診療を受ける機会が減少しています。
訪問診療が十分に整備されていない地域では、必要な治療を受けられず、食生活の質が低下し、最終的には誤嚥性肺炎などのリスクが高まります。
家族視点
歯科医師不足の影響:家族にとって、親が歯科治療を受けるための支援は重要な課題です。
しかし、歯科医師が不足している地域では、治療を受けることができない状況が増え、家族にとって大きな負担となります。
訪問診療が受けられる地域では、家族も安心して介護を行うことができます。
地域視点
歯科医師不足の解決策:地域で歯科医師不足に対応するためには、歯科医師の育成枠を増やす試みや、奨学金制度を提供することが進められています。
また、複数の歯科医師で輪番制を採用するなど、地域内での協力体制が重要です。
今後の予防的アプローチ
虫歯予防の重要性
現在、虫歯の治療だけでなく、予防が非常に重要視されています。
特に高齢者では、歯周病予防や食べ物をかんだり飲み込んだりする機能を維持するための診療が求められています。
定期的な歯科チェックや、フッ素を活用した予防治療が効果的です。
歯科医師不足を解決するために
歯科医師不足は、単に数が足りないという問題だけでなく、その偏在が大きな障害となっています。
地域間で歯科医師の数に差があるため、地方の歯科医師不足を解消するためには、歯科医師が地方で働くための支援策が求められます。
例えば、歯科大学が地方で働く医師を支援する制度や、歯科医師不足を補うための政策の見直しが必要です。
結論
予防的な取り組みと地域支援がカギ
歯科医師数が減少する中で、65歳以上の患者数は今後増加します。
高齢者が虫歯や歯周病を予防するためには、定期的なケアと早期の診断が重要です。
また、歯科医師不足の地域では、訪問診療を強化するための支援策が急務です。
国や自治体は、歯科医師の偏在を解消するために、予防的なアプローチを含めた長期的な戦略を立てるべきです。
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