災害対応の関連記
事能登地震１年、
故郷に戻れぬ高齢者
介護サービス足りず
2024/12/30 05:00
日経速報ニュース
【さこしんの所見】
「帰りたくても帰れない被災地！故郷に戻れない高齢者対策を考える。」
はじめに
日本は地震が頻発する地域に位置しており、今後も南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの発生が懸念されています。
特に、高齢者や要介護者への介護サービスの確保は、大きな課題です。
2023年4月末時点で、要介護や要支援の認定を受けた高齢者は696万人に達し、2000年の218万人から3倍以上に増加しています。
この記事では、能登半島地震を例に、災害時における介護サービス再建の課題とその対応策について考察します。
災害時における介護サービス再建の課題
能登半島地震から1年以上が経過した現在も、多くの高齢者や要介護者は故郷に戻れず、避難生活を続けています。
主な原因は、介護サービスの不足です。
地震により多くの福祉施設が被災し、職員の多くも自宅や職場を失いました。
その結果、介護サービスが提供できない地域も多く、避難先での生活が長引いています。
高齢者の心境と背景
避難生活が続く中で、多くの高齢者は体調が悪化し、日常的に介護を必要とするようになりました。
故郷に帰りたいという思いが強い一方で、地元には通える介護施設がないため、帰郷できないという現実に直面しています。
この状況は多くの高齢者に共通しており、災害後の生活再建において介護サービスの再建がいかに重要かを示しています。
介護者視点の課題と対応
介護者にとって、最も重要な課題は安定した介護サービスを提供し続けることです。
能登半島地震では、介護施設が被災し、福祉避難所の設置も難航しました。
福祉避難所は、特別な支援が必要な高齢者や障害者を受け入れる場所ですが、能登半島地震では開設された福祉避難所は計画の2割にとどまりました。
この状況では、介護施設が機能しないと、要介護者の生活に大きな影響が及びます。
自治体や介護事業者は、被災後も迅速に介護サービスを再建しなければなりません。
また、介護職員の不足も深刻な問題です。
職員の離職が多く、新規雇用が難しい中、現場で働く職員が増えなければ、サービス提供の規模が限られてしまいます。
高齢者視点の課題と対応
高齢者にとって、災害時に最も大きな不安は、住まいや介護サービスが失われることです。
特に要介護者や要支援者にとっては、移動や日常生活の支援が不可欠で、災害後に住み慣れた地域に戻れないことは心身に深刻な影響を与える可能性があります。
故郷に戻りたいという希望を持ち続ける高齢者は多いですが、介護施設が再建されていない、あるいは人手不足で受け入れ先が見つからない場合、帰郷の目処が立たず、心身共に疲弊してしまいます。
この状況を改善するためには、介護施設の再建を最優先に進め、地方自治体は支援を強化する必要があります。
家族視点の課題と対応
家族にとっても、避難生活が長引くことへの不安や、親の体調悪化への心配が大きな課題です。
家族は、被災地に戻るための支援を希望する一方で、介護施設の不足を痛感しています。
家族が求める支援は、施設の再建だけでなく、職員の確保や仮設住宅の提供などの支援も含まれます。
また、家族の心理的サポートも重要です。
地域視点の課題と対応
地域にとって、介護サービスの再建も重要な課題です。
能登半島地震では、介護人材の流出が顕著で、地元の福祉施設が再開できない状況が続いています。
地域自治体は、この問題を解決するために、仮設住宅の提供や生活支援を充実させる必要があります。
介護人材不足への対応
厚生労働省は介護人材を派遣しているものの、十分な人数を確保できていないのが現状です。
能登半島地域では、福祉施設の運営を支えてきた30〜40代の職員が大量に離職し、再雇用が進んでいません。
この状況を改善するためには、介護業界以外の人手不足を解消し、介護職の待遇改善が急務です。
今後の対策と課題
災害時の介護サービスの再建には、次のような対策が求められます。
介護施設の再建と支援
被災施設の早期再建と支援が最も重要です。福祉避難所の整備を進めることが急務です。
介護人材の確保
介護職員の待遇改善や仮設住宅の提供など、人手不足を解消するための支援が必要です。
地域住民との連携強化
災害時における地域協力体制を強化し、高齢者が安全に過ごせる環境作りを進めます。
結論
日本の高齢化社会において、災害時の介護サービス再建は非常に重要な課題です。
能登半島地震から得た教訓をもとに、今後の地震に備えて介護サービスの体制を強化することが求められます。
介護人材の確保、施設の再建、そして地域連携が、災害時における高齢者の生活を守る鍵となります。
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