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介護休業、
15日以上で同僚への手当補助を加算
厚労省
2025/02/10 05:00
日経速報ニュース

【さこしんの所見】
「介護休業を活用できない?支援策を知る前に気をつけるべきこと」
はじめに
介護福祉分野では、「介護離職」と呼ばれる問題が深刻化しています。
介護離職とは、家族の介護が原因で仕事を辞めなければならなくなる状況を指します。
特に日本では、介護が家庭内で負担として重くのしかかり、仕事と両立させるのが非常に難しいのが現実です。
こうした状況を改善するために、政府は介護休業を取得しやすくするための施策を進めています。
厚生労働省が2025年度に実施予定の計画もその一環です。

介護休業取得の重要性と新しい支援策
介護休業の現状と課題
介護休業は、家族が介護を必要とする場合、1企業につき最大93日間、3回まで分けて取得できます。
しかし、実際に介護休業を取る人は非常に少ないのが現状です。
2022年の調査によると、介護をしている雇用者のうち、実際に介護休業を利用した人はわずか1.6%に過ぎません。
また、介護離職者の多くが「制度が整っていない」または「利用しづらい雰囲気があった」と感じており、この点が介護休業を取ることを妨げる大きな要因となっています。
制度自体があっても、活用されていないケースが多いことが現実です。
厚生労働省の新しい支援策
厚生労働省は2025年度より、中小企業向けに介護休業の取得を支援する新しい施策を強化する予定です。
具体的には、介護休業を15日以上取得した従業員がいる企業に対して、業務代替を担当した同僚への手当を支給する補助金が増額されます。
新しい支援策の主な内容は以下の通りです。
・介護休業を15日以上取得した場合、業務代替を行った同僚に10万円、新規雇用者に30万円の補助。
・介護休業から復帰した従業員には最大60万円の補助。
・短時間勤務を15日以上利用した場合、同僚への手当として3万円を支給。
・申請できる従業員数は最大5人分。これらの支援策により、中小企業が従業員の休業取得による経済的負担を軽減し、介護休業の利用促進を目指しています。

介護休業を取得しやすい環境整備の必要性
高齢者視点
介護がもたらす負担
高齢者が介護を必要とする状況は、体力的な問題にとどまらず、精神的、社会的にも大きな影響を与えます。
介護が始まると、家族は生活の質や仕事とのバランスに悩み、介護者は身体的な負担に加え、仕事との両立が極めて難しくなります。
その結果、仕事を辞めるしかない状況に追い込まれることが多いのです。
家族視点
家族の負担と介護休業
家族が介護をする場合、仕事と介護の両立に苦しむことがほとんどです。
特に中小企業で働く従業員にとって、長期間の休業を取ることは経済的な不安を伴います。
こうした支援があれば、家族内での負担が軽減され、介護と仕事を両立させやすくなります。
地域視点
社会全体の負担軽減
介護の負担は家族だけでなく、地域社会全体にも影響を与えます。
介護離職が進むと、労働力の流出や経済的損失が生じ、地域の活力が失われる可能性もあります。
社会全体で介護を支援する体制を整えることは、地域経済の安定にもつながります。

介護休業取得の促進に向けた今後の取り組み
企業の意識改革と支援体制
企業が介護休業を積極的に推進し、サポートする姿勢を見せることが重要です。
介護と仕事を両立できる社会をつくるためには、企業内での介護休業の取得状況や活用可能な支援策を従業員に周知し、実際に支援を提供することが欠かせません。
制度の充実と柔軟性
介護休業は家族の介護が必要な場合に取得できる制度ですが、介護の度合いに応じて柔軟に休業日数を調整できる仕組みが必要です。
例えば、急な介護が必要になった場合に対応できるよう、短期間での休業取得が可能な制度を導入することが求められます。

結論
介護休業を取得しやすい環境を整備することは、労働力の流出を防ぎ、企業や社会、そして家族の負担を軽減するために非常に重要です。
厚生労働省の新しい支援策は、介護休業をより活用しやすい環境を作り出す第一歩となります。
今後、企業や地域社会が連携して、介護を支援する体制を整え、働く人々が安心して介護に向き合える社会を作り上げていく必要があります。
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