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介護休業、
15日以上で同僚への手当補助を加算
厚労省
2025/02/12 17:44
日経速報ニュース

【さこしんの所見】
「介護休業の申請、なぜ1割しか実現しないのか?1.6%の取得率に隠された介護休業の壁とは制度の認知度不足!」
はじめに
介護福祉分野では、「介護はチームワークが大切だ」という考えることがあります。
介護職員同士が協力し合いながらケアを提供することで、社会的なニーズに対応しています。
この理念は、企業の介護休業制度にも応用できると思います。
特に、介護をしている従業員が長期間休業する際、企業としてどのようにサポートし、労働力の流出を防ぐかが大きな課題です。

介護休業の現状と課題
介護休業の現状
厚生労働省の調査によると、介護をしている雇用者のうち、介護休業を利用した人は1.6%に過ぎません。
また、介護休暇や短時間勤務を含めても、その利用者は11.6%にとどまっています。これは、介護休業が取得しづらい環境が影響しているためです。
介護離職は年間約10万人に達しており、そのうち40%以上が「両立支援制度が整備されていない」や「制度が利用しにくい雰囲気があった」と回答しています。
制度があっても実際に活用されないケースが多く見受けられます。
介護休業取得を妨げる要因
介護休業が取りにくい理由として、以下の点が挙げられます。
制度の認知度不足
介護休業制度が十分に周知されておらず、利用方法がわからない。
取得しづらい職場環境
企業内での理解が薄く、同僚や上司から反対されることがある。
突然の介護支援の難しさ
介護は予期せず必要になることが多く、仕事との両立が困難です。
これらの課題に対して、厚生労働省は2025年度から介護休業を取得しやすくするために補助金増額を行い、企業が従業員に代わる人員を補充したり、代替業務を行う同僚に手当を支給するなどの支援を強化します。
これにより、中小企業の負担を軽減し、従業員が介護休業を取得しやすくなることが期待されます。

介護休業を取得しやすい環境を整える方法
1. 企業側のサポート体制の強化
介護休業を取得する従業員に対して、企業側ができるサポートは多岐にわたります。
以下のような体制を整えることが求められます
制度の周知徹底
従業員が介護休業制度を理解しやすく、いつでも相談できる環境を整える。
業務の代替措置
介護休業を取得する従業員の代替者を早期に決定し、スムーズに業務が引き継げるようにする。
柔軟な勤務形態の導入
短時間勤務やフレックスタイム制度を取り入れ、介護をしながらでも働き続けられる環境を作る。
2. 介護支援金制度の充実
介護休業を取得した従業員に代わって業務を行う同僚や新規雇用者に対する支援金の増額は、企業の負担を軽減するだけでなく、介護休業を取りやすくするための大きな一歩です。
業務代替者への手当
介護休業を15日以上取得した場合、業務を代替した同僚には10万円、新規雇用には30万円の補助が支給されます。
この仕組みによって、同僚や新規従業員が安心して業務を代替できるようになります。
復帰支援
介護休業後、従業員が復帰する際には40万円(15日以上の場合は60万円)の補助が支給され、復帰後のサポートが続けられます。
3. 従業員の意向を尊重した制度設計
従業員が介護休業を取得しやすくなるためには、企業が従業員の意向を確認し、必要な支援を提供する体制を整えることが重要です。
2025年度から施行される改正
育児・介護休業法では、介護に関する申し出があった場合に企業が制度説明や取得意向の確認を行うことが義務付けられます。
これにより、従業員は自分に最適なサポートを受けられるようになります。

介護者・高齢者・家族・地域の視点で考える
介護者視点
介護者は、家庭と仕事の両立に多くの負担を抱えています。
介護休業を取得できる環境が整えば、家庭の負担が軽減され、精神的にも余裕が生まれます。
制度の利用を促進するためには、介護者が安心して制度を利用できる環境が不可欠です。
高齢者視点
高齢者は、介護を受ける立場として周囲の理解と支援を必要としています。
家族が働き続けるためにも、介護休業制度が機能することが非常に重要です。
介護をする側も、される側も、制度をうまく活用してストレスを軽減できる社会が求められます。
家族視点
家族は、介護者を支える重要な役割を担っています。
介護休業が取得しやすくなることで、家族全体で支援しやすくなり、個々の負担が軽減されます。
地域視点
地域全体で介護者をサポートする仕組みを強化することが求められています。
介護休業の取得が進むことで、地域全体で理解と支援の輪が広がり、介護者が孤立しなくなる社会が築かれます。

結論
介護休業を取得しやすい環境を整えることは、介護者の生活の質を向上させ、企業の労働力の流出を防ぐためにも非常に重要です。
企業側は、適切なサポート体制を整え、従業員の意向を尊重した制度設計を行う必要があります。
また、介護者、高齢者、家族、地域が協力し合い、共に支え合う社会を築くことが、持続可能な介護社会の実現に繋がります。
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