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管理職教育を充実
2025/03/23 11:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
「介護と仕事の両立が仕事の質を下げる!?気づかぬうちに陥る落とし穴、理由と企業がやるべき対策」
はじめに
介護と仕事を両立するためのカギ
介護福祉分野では、介護をしながら働く「ビジネスケアラー」の課題をよく見かけます。
例えば、親の介護をしながら仕事を続ける社員が、心理的にも肉体的にも限界を感じるという事例が多くあります。
これらの問題は、社員個人の苦しみにとどまらず、企業全体の生産性や経済成長にも影響を与えるため、介護と仕事の両立を支援する取り組みが企業には求められています。
今回は、介護をしながら働く「ビジネスケアラー」の課題に焦点を当て、介護離職を防ぐために企業が講じるべき対策について考察します。
これには、管理職教育や企業文化の変革が重要な役割を果たします。

介護と仕事の両立の現状
介護負担が増す中でのビジネスケアラーの現実
少子高齢化が進んでいる中、特に40代〜50代の働き手にとって、介護と仕事の両立は大きな負担となっています。
2030年には「ビジネスケアラー」が318万人に達すると予測されており、これは企業にとって深刻な課題です。
実際、ビジネスケアラーのうち、介護休暇や介護休業を実際に利用している人はわずか11%にとどまり、制度利用の難しさや職場の文化的な壁がその理由とされています。
介護休業や介護休暇が利用されにくい理由
多くの企業では、介護休業や介護休暇を法定日数以上に提供し、制度面で支援を行っています。
しかし、実際にはこれらの制度を利用しづらいという現実があります。
例えば、介護をしていることへの職場の配慮が不十分であったり、業務負担が増えることを恐れて制度利用を控えたりする場合が多いのです。
これを解決するためには、企業文化の改善が欠かせません。

介護離職防止に向けた企業の対応
1. 管理職教育の強化
企業が介護と仕事を両立できる環境を提供するためには、まず管理職の意識改革が不可欠です。
例えば、ハウス食品グループ本社では、全管理職に対して介護に関する知識を学べるeラーニングを提供しています。
このような教育を通じて、管理職が部下の介護状況を理解し、適切なサポートを行うことが求められます。
2. 介護を支援する社内文化の構築
社員が介護支援制度を気軽に利用できるよう、社内文化を整備することも大切です。
例えば、ソフトバンクでは社内SNSを活用し、介護の経験や情報を社員同士で共有する場を設けています。
これにより、介護者の不安が軽減され、仕事に対するモチベーションが向上します。
また、日立製作所では1対1の面談を通じて、働き手の希望を踏まえた柔軟な働き方を実現することも一つの方法です。
3. 介護支援制度の周知と利用促進
介護休暇や介護休業の制度が整備されていても、従業員が実際に利用しないケースがあります。
これを改善するためには、企業内で制度の利用方法をしっかり周知し、従業員が制度を利用しやすい環境を作ることが重要です。
また、政府が進めているように、企業は社員に対して介護支援制度の利用意向を確認し、その取得を積極的にサポートすることが求められます。

介護者視点、家族視点、地域視点での課題と対応
介護者視点
介護をしている本人にとって、最も重要なのは「仕事と介護の負担をどう両立させるか」です。
介護の現場は予測不可能な状況が多いため、柔軟な働き方が求められます。
例えば、企業が柔軟な勤務時間やテレワーク制度を導入すれば、介護者の精神的・肉体的負担を軽減できます。
高齢者視点
高齢者にとっては、介護を受ける側として、家族に負担をかけたくないという思いが強いものです。
しかし現実的には、介護を受ける側も不安や孤独を感じることが多く、家族の支援が必要不可欠です。
高齢者との適切なコミュニケーションを通じて、その心情を理解し、サポート体制を整えることが大切です。
家族視点
家族は、介護の負担と仕事のバランスを取ることが大きな課題です。
企業が家族支援制度を充実させることで、家族の負担も軽減されます。
また、介護に関する情報提供や支援を行うことで、家族が安心して介護に取り組めるような環境を整えることが求められます。
地域視点
地域社会においても、介護者を支援するための取り組みが進んでいます。
地域包括支援センターや介護サービスの充実を図ることで、介護者の負担を軽減し、仕事との両立を支援することが可能です。
地域全体で介護支援ネットワークを強化することが今後ますます重要になります。

結論
介護と仕事を両立しながら働く「ビジネスケアラー」が増加する中、企業はその支援に向けた取り組みを強化する必要があります。
管理職教育の充実、社内文化の改革、柔軟な働き方の導入といった多角的なアプローチが求められます。
また、介護者、家族、地域社会の視点を取り入れた支援体制を構築することで、従業員が安心して働き続けられる環境を整え、介護離職を防ぐことが可能となります。
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