フレイルの関連記事
心身の衰え知らせるサービス続々
電力量データで分析も
シニアサポーター
2025/04/09 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
「80%が見逃す!高齢者のフレイル兆候!家族が後悔する初期サイン」
はじめに
心身の衰えを知らせる新サービス
電力量データが“見えない異変”を捉える高齢者介護の現場では、「小さな変化に早く気づけるか」が、その人の将来を大きく左右します。
これは、建物の土台にできた小さなひびに似ています。
最初は目立たなくても、放置すれば建物全体に影響を及ぼすように、フレイル(虚弱)の進行も、わずかな兆候から始まるのです。
この記事では、体の衰えを示す「身体的フレイル」、認知力の低下による「認知的フレイル」、そして孤立によって社会から切り離される「社会的フレイル」の3つの側面に注目し、それらを早期に察知するための最新サービスや社会的背景について解説します。

フレイルとは? 〜見えにくい衰えに気づくために〜
フレイルとは、加齢に伴って体や心の働きが弱まる状態で、健康と要介護の中間地点にあたります。
フレイルの3つの分類とその特徴
種類
身体的フレイル
主な特徴
筋力や体重の減少
具体的なサイン
食が細くなった、歩行が遅くなった
種類
認知的フレイル
主な特徴
記憶力・判断力の低下
具体的なサイン
物忘れ、話がかみ合わなくなる
種類
社会的フレイル
主な特徴
孤立や外出機会の減少
具体的なサイン
人との交流が減る、外出が少なくなる
とくに注意が必要なのが、社会的フレイルから身体的・認知的フレイルへと連鎖的に進行するという点です。
つまり、「最近あまり外に出ていないな」といった小さな変化が、複数のフレイルに繋がっていくのです。

本人の気づきにくい衰え 〜「まだ元気」でも変化は進む〜
介護の現場では、「自分はまだ元気」と思っている方ほど、フレイルの兆候に気づきにくい傾向があります。
たとえば一人暮らしの高齢者が、以下のような変化を自覚せずに過ごしていることがあります。
・外出頻度が週1回以下に減っている
・食事量が落ち、メニューも単調になってきた
・昼間でも部屋の電気がつけっぱなし(活動量の低下)
こうした“生活の小さな変化”を見逃さないことが、予防の第一歩です。

介護者としての課題 〜「人の目」×「データ」で守る時代へ〜
高齢者を支える介護者にとって、「変化に気づく力」は重要な資質です。
しかし、限られた訪問回数の中では限界があります。
そこで今、テクノロジーを使って“見えない変化”を補足するサービスに注目が集まっています。
「ワタミの見守りサービス」
日常の会話で異変を察知
宅配弁当を届けるスタッフが、高齢者に5つの質問をすることで、心身の変化をキャッチします。
質問例
・昨日はよく眠れましたか?
・食事はしっかり取れましたか?
・不審な電話や訪問はありませんでしたか?
同じスタッフが定期的に訪問することで、変化に“気づける関係”が築かれるのが強みです。
回答内容は、家族やケアマネジャーにリアルタイムで共有されます。
「eフレイルナビ」
電力量から生活の変化を数値化
中部電力が提供するこのサービスは、スマートメーターの電力量をAIが分析し、フレイルの兆候を見つけ出します。
・電力使用量の変動が少ない → 活動量が減っている可能性
・外出が少なくなる → 社会的フレイルのリスク上昇
実証実験では、分析結果と実際のフレイルの一致率が80%以上と高く、信頼性の高いシステムとして注目されています。

社会・地域・家族が連携して「孤立」を防ぐ
地域の視点
見守りは「仕組み」として作るもの昔のような“顔が見える関係”が希薄になっている今、電力や水道などの生活インフラデータを活用した見守り体制が求められています。
家族の視点
遠くにいても見守れる安心
・アプリで日々の様子がわかる
・異変があればすぐに通知が届く
こうした見守りサービスは、共働き世代や遠方に住む子ども世代にとって、大きな安心材料になります。
介護福祉の現場
データ連携と人的資源の課題現場では次のような課題があります。
・各自治体による対応のばらつき
・データの共有ルールが未整備
・人手不足と予算の制約
これらを解消するには、行政との連携や他自治体の事例共有が不可欠です。

結論
「人の目」と「データ」で、フレイルに先手を打つ高齢者のフレイルを早期に発見するためには、人による観察とテクノロジーによる数値分析の両輪が重要です。
今後求められるアクション
・宅配や訪問介護による日常的な接触
・電力・水道などの生活データを活用した見守り
・サロンや地域イベントへの参加支援
・家族とつながるアプリや通報システムの導入
フレイルは“目に見えにくい衰え”ですが、それを“見える化”できる社会的仕組みが整えば、早期対応が可能になります。
高齢者が安心して暮らせる地域づくりのために、私たち一人ひとりの関わりが問われているのです。
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