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認知症リスク、AIで予測
疫学調査など予防研究後押し
2025/04/12 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
「認知症リスクが3倍に跳ね上がる「NG行動」とは?」
はじめに
初期の生活習慣によって、その人の未来の健康状態が大きく変わってくるのです。
近年、AI技術の進化と疫学研究の成果によって、これまで「加齢によって仕方がない」とされてきた認知症が、「生活次第で防げる・遅らせられる」ものとして注目されるようになってきました。
本記事では、介護者として、そして地域の一員として、認知症リスクと生活習慣改善の重要性についてお伝えします。

AI技術がもたらす「予測」と「希望」
将来のリスクを血液から読み解く時代に名古屋大学と米国立衛生研究所(NIH)の共同研究により、血液中の25種類のたんぱく質からAIが将来の認知症リスクを予測する技術が開発されました。
この研究では、45~64歳の約1万5000人を20年以上追跡し、AIがそのデータから発症リスクを判定。
リスクが高いとされていた人が、生活習慣の変化によって「低リスク」へと分類が変わる事例も確認されました。
この結果は、介護現場でも「日々の積み重ねが未来を変える」という考えを実証するものであり、非常に心強いものです。

高齢者の心境
「どうせ年だから」から「まだできる」へ現場でよく耳にするのは、「年だから仕方がない」「認知症になったら終わり」という声です。
しかし、AIで将来のリスクが“見える化”され、「努力でリスクを下げられる」と分かれば、それは不安ではなく希望になります。
・「何をすればいいか」が具体的に分かる
・本人だけでなく家族にも生活改善の動機が生まれる
・将来への備えが、今の暮らし方を変えるきっかけになる

認知症予防に効く生活習慣とは?
以下は、認知症予防に役立つとされる生活習慣の一覧です。
主な生活習慣とその効果
食生活: 野菜や魚中心の地中海食、減塩 → 血圧・糖質の安定化
運動習慣: 散歩、ラジオ体操 → 血流改善、脳の刺激
睡眠の質: 規則的な生活、昼寝 → 脳の休息促進
社会参加: 地域活動や趣味 → 孤立の予防、認知刺激
聴力管理: 補聴器の早期装用 → 難聴による認知負荷の軽減
現場の事例
ある利用者様は認知症の進行が見られていましたが、家庭菜園活動を通じて笑顔が増え、会話量も明らかに増えました。
「役割を持つ」「楽しいと感じる」ことが生活に意味を与え、心身の活性化につながる好例です。

多視点で見る課題と対策
介護者視点
課題:認知症は防げないという思い込み、時間的余裕のなさ
対策:リスク予測の情報を共有し、ケア計画に予防を組み込む
高齢者本人視点
課題: 意欲の低下、正しい情報が届いていない
対策: 成功体験の提供(例:できたことを褒める)、情報の平易化
家族視点
課題:介護の不安と知識不足、生活改善への協力が難しい
対策: AI予測による可視化と家族の巻き込み、一緒にできる行動の提案
地域視点
課題: 高齢者の孤立、支援機関との連携不足
対策: スマホでのセルフチェック導入、自治体と連携した情報提供

社会全体の変化
「予防ファースト」への転換
抽象的にいえば、認知症予防とは社会の健康構造を「治療型」から「予防型」に再設計する取り組みです。
厚労省の予測では、将来の認知症患者数が従来の見込みより減少しています。
これは国民全体が健康意識を高め、生活習慣を改善し始めたことを示しています。
さらに、フィンランドや米国でも同様の傾向が見られ、世界的な「予防重視」の動きが広がっています。
現場で起きている変化
私たち介護福祉の現場では、以下のような取り組みが進んでいます。
・認知機能トレーニングを取り入れたデイサービスの導入
・AIを活用した予測型ケアプランの策定
・「自立支援」を軸にした制度改革
・地域での予防サロンや学習会の活性化
これらの動きは、「ケア(介護)」から「予防(自立支援)」への価値転換を象徴しています。

まとめ
未来は「今の習慣」で変えられる
介護者が意識すべきは、「いま目の前にいる高齢者の生活が、数年後の健康状態をつくる」という事実です。
AIによる予測がその道しるべとなり、生活習慣の改善がリスクを下げる鍵となります。
今日の小さな行動が、10年後の大きな安心へつながる。
そんな希望を持って、介護の現場から「予防の文化」を広げていきたいと考えています。
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