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中山間地の訪問介護を支援
報酬加算の条件緩和、厚労省
2025/04/14 21:06
日経速報ニュース

【この記事の内容】
「なぜ崩れる?介護の現場で起きている異変と生き残る選択肢」
はじめに
中山間地では、高齢者の数は増えているのに対し、介護スタッフや施設は少なく、支援が行き届かない現実があります。
そんな状況の中、厚生労働省が打ち出した報酬加算の条件緩和は、この地域にとって一筋の光となる可能性があります。

中山間地における訪問介護の課題とは?
中山間地の訪問介護は、地理的な制約や人材不足により、都市部のような柔軟なサービス提供が難しくなっています。
主な課題
・一件の訪問に片道30分以上かかるなど、移動時間が長い
・訪問件数が少なく、事業として採算が取りにくい
・介護人材が不足しており、対応が追いつかない
このような条件では、小規模事業所ほど運営が厳しく、地域に根差した介護の持続が困難です。
報酬加算の条件緩和とは?
これまで介護報酬の加算対象は「前年度の1か月平均訪問回数が200回以下」の事業所に限られていました。
しかし、今後は「前年度のいずれか1か月で200回以下」でも対象になる見込みです。

緩和のポイントと効果
従来の条件:月平均200回以下
緩和後の条件:どこか1か月でも200回以下なら対象
期待される効果
・対象事業所の拡大
・地域密着型の継続支援
・経営安定化による人材確保
この制度緩和は、これまで「毎月安定して低水準だった事業所」しか救えなかった支援を、「一時的に困っていた事業所」にまで広げる、“助けの網”の広がりとも言えるでしょう。

介護者が訪問介護を選ぶときのポイント
訪問介護は「高齢者の暮らしを守る手段」であることを意識しましょう。
選ぶ際の視点として大切なのは、「その人の生活リズムに合っているか」です。
チェックリストサービス提供時間
日常生活の流れを妨げない訪問時間か?
担当職員の安定性
スタッフが毎回変わらず信頼関係を築けるか?
緊急時の対応体制
急な体調変化にも対応可能か?
地域理解の深さ
地元の文化や習慣を尊重してくれるか?
たとえば、農作業を終えてからケアを受けたい人に、朝早く訪問されても意味がありません。
こうした“暮らしのリズム”への理解が、良い訪問介護の条件です。

視点ごとの課題と解決策
介護の現場では、関わる立場ごとに見えてくる課題があります。
高齢者の視点
・孤独や不安、生活の乱れが問題。
→ 同じスタッフによる継続訪問で安心感を。
介護者の視点
移動負担と収益不足がネック。
→ 報酬加算制度を活用して経営の安定化へ。
家族の視点
情報が届かず不安になる。
→ アプリや報告会などの情報共有体制が必要。
地域の視点
サービスが偏在しやすい。
→ 地域包括支援センターと連携を強める。

私たちの現場で起きていること
現場では、以下のような深刻な問題に日々直面しています。
・一人の職員が複数の集落を回る過密スケジュール
・若い介護人材が都市に流出し、人手不足が加速
・高齢者の多くがスマホを使えず、情報共有が困難
・地域のボランティア頼みで、専門性が維持しづらい
それでも、例えば「昼食の配達と薬の確認を同時に行う」など、小さな工夫で支援の質を保とうと努力しています。

まとめ
制度を活かすのは“現場の知恵”
報酬加算の緩和は、単なるルールの変更ではありません。
これは、地域の介護を未来へつなぐ“道具”です。
大切なのは、この道具をどう使うかです。介護は、制度だけでは成り立ちません。
現場の判断、家族の支え、地域の理解、それぞれが力を合わせて初めて機能します。
訪問介護とは、高齢者の「いつもの日常」をそっと支える仕事です。
だからこそ、私たち一人ひとりが“暮らしの守り手”であるという意識を持ち続けることが大切です。
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