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パーキンソン病とは
手足の震え、脳の神経細胞に異常
きょうのことば
2025/04/17 02:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
「認知機能が急低下!パーキンソン病高齢者が感じる動けない恐怖」
はじめに
パーキンソン病は、脳が体に「動け」と命令しても、その信号がうまく伝わらず、まるで配線の接触が悪くなった照明のように、思い通りに動けなくなってきます。
本人は動こうと努力しているのに、体がついてこない。
そんなもどかしさや葛藤が、パーキンソン病の患者さんには日々あります。

パーキンソン病とは?
発症のしくみ
パーキンソン病は、脳の奥深くにある「黒質(こくしつ)」という部分の神経細胞に異常が起きることで発症します。
この神経細胞は「ドーパミン」という物質をつくっています。
ドーパミンは、体をスムーズに動かすための“司令役”です。
この物質が不足すると、体の動きがぎこちなくなり、さまざまな運動障害があらわれます。
主な症状
・手足の震え(振戦)
・筋肉のこわばり(筋固縮)
・動作が遅くなる(動作緩慢)
・バランスを取りにくくなる(姿勢保持障害)
・排便や排尿の問題(自律神経症状)
・物忘れや気分の落ち込み(認知障害・うつ症状)症状が進むと、歩行や食事、入浴といった日常の動作も一人で行うのが難しくなり、介護が必要になります。

高齢者の心理と病気の影響
高齢になってからパーキンソン病を発症すると、「今までできていたことができない」という現実に直面し、心のバランスも崩しがちです。
背景にある心の変化
やる気の喪失:「何もできない自分」がつらい
人とのつながりの減少:外出を避けて孤立しやすくなる
うつ傾向の強まり:身体の変化が精神にも影響
精神的ケアは、体のケアと同じくらい重要です。

パーキンソン病が生活の質(QOL)を下げる原因
パーキンソン病によって生活の質が低下する主な理由は以下の通りです。
運動機能の低下:移動や身の回りのことが難しくなる
認知機能の変化:判断力や記憶力が衰える
自律神経のトラブル:便秘や嚥下(えんげ)障害、排尿の問題
心の健康の不調:不安、抑うつ、意欲低下
家族や地域とのつながりの希薄化:支援のバランスが崩れる
これらが複雑に絡み合い、本人だけでなく家族にも大きな影響を与えます。

介護者としての視点と対応
「できる」を引き出す介護が大切
介護者には、「できないこと」ではなく「できること」に目を向ける姿勢が求められます。
本人の自己効力感(自分でできるという感覚)を守ることが、心の安定にもつながります。
対応の工夫
・失敗しても否定せず、できたことを認める
・できる作業をリストアップし、日常の中で実践
・気分の変化や認知のサインを早めに見つけ、医療との連携を行う

家族視点での課題と支援方法
介護を担う家族も、知らず知らずのうちに心身の負担をため込みます。
特に介護の中心を担う方は「介護うつ」に陥るリスクも。
家族へのサポート
・「レスパイトケア」(介護者の休息)を取り入れる
・デイサービスや訪問介護の利用を前向きに検討
・家族会や相談窓口で思いを共有
・相談する機会をもつ
地域社会の支えが鍵
孤立を防ぐには、地域ぐるみの支援体制が欠かせません。
特に都市部の高齢単身者や山間部では、サービスの届きにくさが課題です。
地域でできること
・包括支援センターとの連携強化
・声かけ・見守り活動の促進
・病気理解を深める地域講座の開催

現場で見えている課題と対策
私たち介護現場では、以下のような課題に直面しています。
・医療と介護の情報共有が難しい
→ ICT活用で連携を円滑に
・慢性的な人手不足
→ チームケアと業務効率化の推進
・精神ケアの対応力不足
→ スーパービジョン(外部専門家の指導)導入
・QOL支援の方法模索
→ 音楽療法や回想法など、心に寄り添うケアの実践

終わりに「生活」を支えるということ
パーキンソン病の介護は、身体機能のサポートだけでなく、「その人らしさ」を守るケアが重要です。
「この人が、これからも笑顔で生きていけるには何が必要か?」 この問いを大切にしながら、私たちは一人ひとりの人生に伴走しています。
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