高齢運転の関連記事
高齢運転者、
同乗者いると事故リスク低下
筑波大や東大
2025/04/19 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
「放置すると危険!“同乗なし”で増える事故数」
はじめに
介護現場で感じる「支えられている安心感」が行動を変える
介護現場では、ほんの少しの声かけや付き添いが、高齢者の行動に大きな影響を与えることがあります。
たとえば、認知症の方が薬を飲み忘れがちな場合でも、そばで「お薬の時間ですよ」と声をかけるだけで、服薬が習慣化します。
これは「見守られている」という安心感が、本人の意識や行動を自然に整えるからです。
運転も同じで、ただ誰かが同乗しているだけで、慎重さや冷静さが保たれやすくなります。
結論
高齢者は「同乗者がいると事故を起こしにくくなる」
筑波大学や東京大学などの研究では、高齢ドライバーが一人で運転するより、誰かと一緒に乗っている時の方が、事故を起こしにくい傾向があることが分かりました。
この結果は、介護や福祉の現場での支援にも役立てることができます。

なぜ同乗者がいると安全につながるのか?
1. 声かけが判断を助ける
「スピードを落として」「ここ危ないよ」といった一言が、判断の遅れやミスを防ぎます。
2. 誰かに見られている意識が慎重さを生む
運転中に他人がいると、「ちゃんと運転しよう」と自然と意識が高まります。
3. 安心感が焦りを防ぐ
一人だと不安になる場面も、同乗者がいることで落ち着いて対応できます。

高齢者の本音
「運転は続けたいけれど、不安もある」
高齢者の多くは、「自分で動けること」に誇りを持っています。
しかし一方で、「もう判断力が落ちてきたかも」と感じている人も少なくありません。
そのため、「運転を完全にやめて」と言われると、ショックを受けてしまうこともあります。
だからこそ、見守る形でのサポートが重要です。
それぞれの立場で考える課題と支援の形
・介護者の立場から 「本人の自立を尊重しつつ、安全も守りたい」という葛藤があります。
→ 一人での運転を避け、「誰かが同乗する」ルールをつくることが有効です。
・高齢者本人の立場から 「運転をやめると家族に迷惑をかける」「外に出られなくなる」といった不安があります。
→ 同乗者が「監視」ではなく「協力者」として寄り添うことで、自尊心を守れます。
・家族の立場から 「事故が起きたら…」という不安が常につきまとう。
→ 家族で交代制を組み、負担を分けながら支える体制を考えるのが現実的です。
・地域の立場から 高齢者の交通事故は社会全体の課題です。
→ 地域での「見守り同乗ボランティア」や、支援制度の整備が求められます。
介護の現場で今起きていること
最近では、介護の現場でも次のような変化が起きています。
・移動支援が「送迎」から「同行」に変わりつつある
・ドライブレコーダーやアプリで運転の様子を確認するケースが増えている
・地域包括支援センターに「運転を続けたい」という相談が寄せられることが増えている
・一方で、運転をやめた後の移動手段が不足しているという声も多い

これから求められる「第三の選択肢」
今後は、「運転をやめさせる」か「そのまま続けさせる」かの二択ではなく、「安全を見守りながら続ける」という中間の選択肢が必要になります。
具体的な取り組みとしては
・ケアマネジャーによる運転状況のチェック
・家族や近隣の人が交代で同乗する仕組みづくり
・介護事業所による「運転サポート」のボランティア制度導入

まとめ
「運転を取り上げる」のではなく、「一緒に支える」介護を高齢者の事故は、技術の衰えだけが原因ではありません。
「不安」や「孤独」も大きな要素です。だからこそ、同乗者の存在は、心理的な安定をもたらす大切な支えになります。
介護者としてできることは、運転を奪うのではなく、「安心して運転できる環境」をつくることです。
これからの高齢者支援では、「見守る同乗」が新しい支援の形になるでしょう。
コメント