高齢者が家で亡くなる!災害関連死が急増した理由

介護

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在宅避難者の「関連死」、

広がる予防策 

熊本地震教訓に

2025/04/16 02:00

日経速報ニュース

在宅避難者の「関連死」、広がる予防策 熊本地震教訓に - 日本経済新聞
9年前に起きた熊本地震では自宅で避難生活を続けた被災者が体調を崩し、「災害関連死」に至るケースが相次いだ。避難所以外に身を寄せる人の状況を行政が把握するのは難しく、近年の災害対応の課題になっている。国は在宅避難者を支えるための手引を作成。大...

【この記事の内容】

放置すると命の危険!在宅避難で起きる失敗とは?

はじめに

介護の現場では、「退院後の在宅生活を支える仕組み」がとても重要です。

これは、病院から家に戻った高齢者が再び体調を崩さないように支援する考え方です。

この発想は、大規模災害時に家で避難する「在宅避難者」の支援にも応用できます。

災害時、高齢者が避難所ではなく自宅を選ぶ理由は、「自分らしく過ごしたい」「知らない人と生活するのが不安」「トイレや移動が不自由」など、切実な思いからです。

しかしその選択が、結果的に命を危険にさらす「災害関連死」につながることがあるのです。

熊本地震ではまさにそのような事例が多発しました。

なぜ自宅での避難が危険なのか?

高齢者が自宅避難を選ぶ主な理由

・知っている家の中で落ち着いて過ごしたい

・避難所は人が多く、プライバシーが保てない

・要介護のため、避難所では日常生活が難しい

・感染症(特にコロナ)を避けたい

在宅避難のリスク

・周囲との連絡が絶たれ、孤立しやすい

・必要な物資が届かない

・医療機関が使えず持病が悪化する

・一人きりで精神的に不安定になる

熊本地震では、避難所での死者よりも自宅での災害関連死が多く、特に高齢者に深刻な影響を与えました。

4つの立場から見た課題と解決策

介護者としてできること

課題

・被災者の居場所がわからず支援が届かない

・避難後のケアが続かない

対策

・普段から避難ルートや連絡方法を共有しておく

・地域包括支援センターと連携を深める

・災害時に優先して安否確認する

対象者リストを整備

高齢者本人の視点での対応

課題

・避難所へ行く体力がない

・慣れない環境がストレスになる

対策

・自宅の安全対策を事前に確認

・医療や福祉の支援が早く届くような連絡体制を作る

・デジタル機器を使った見守りシステムの導入

家族の立場での備え

課題

・遠く離れていると連絡が取りづらい

・一時的に介護ができなくなる

対策

・個別避難計画を家族で話し合っておく

・近隣住民や地域の支援体制とつながっておく

・地域包括支援センターに相談しやすい関係を築いておく

地域として必要なこと

課題

・自宅で避難している人の存在を把握しにくい

・支援する人手が足りない

対策

・「地域の助け合いネットワーク」のような登録制度を活用

・民生委員や地域ボランティアが安否確認や物資支援を行う体制づくり

・NPOや行政と連携した支援拠点の設置

災害ケースマネジメントの重要性

災害は一時的なものではなく、「その後の生活」をどう支えるかが本当の課題です。

だからこそ、医療、福祉、法律、生活支援といった専門職がチームを組み、それぞれの事情に合ったサポートを考える「災害ケースマネジメント」が不可欠です。

すでに熊本市や杉並区、岡崎市などでは、実際に仕組みづくりが進められています。

こうした取り組みが広がれば、災害時の支援の「質と継続性」が大きく変わっていくでしょう。

介護福祉の現場から見える現実と課題

介護業界でも、災害時に向けた取り組みが課題となっています。

・自宅避難中の要介護高齢者を支援する仕組みがまだ弱い

・安否確認の方法が統一されていない

・認知症の進行や身体機能の低下が見過ごされがち

・福祉支援拠点が地域に整備されていない

・ケースマネジメントを担う人材の育成が遅れている

災害は「その日」だけで終わらず、生活の再建まで続くのです。

だからこそ、今の平時に備えておくことが鍵です。

おわりに

高齢者の命を守るために、今できること

災害が起きたとき、高齢者は非常に弱い立場に置かれます。

介護者である私たちは、以下の備えをしなければなりません。

・一人ひとりの避難計画を立てておく

・在宅避難者を見守る情報網を整える

・多職種で支える仕組み(ケースマネジメント)を作る

・家族・地域・行政と連携し、支援体制を整備する

熊本地震を「過去のこと」で終わらせるのではなく、次に活かす行動が必要です。

命を守るのは、私たち一人ひとりの備えと支え合いなのです。

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