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高齢者の「栄養不足」に宅配食、
多彩なメニューで提供
シニアサポーター
2025/04/23 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
「高齢者の9割が知らない「食べない理由」要注意!高齢者が陥る“栄養不足”の兆候」
はじめに
食事はその人の人生を映す鏡
食べるものには、健康状態はもちろん、生活習慣やその人らしさが表れます。
しかし、近年はその“食”が危機に直面しています。
高齢者の間で栄養不足が進行しており、放置すればフレイル(加齢による心身の衰弱)や介護度の上昇、最悪の場合寝たきりにつながりかねません。
その中で注目されているのが「宅配食サービス」です。
本記事では、宅配食がこの社会課題にどう貢献できるのかを、介護者の立場から詳しく考えていきます。

なぜ高齢者は栄養不足に陥るのか?
高齢になると、「食べる力」が自然と落ちてきます。
・かむ・飲み込む力の低下で、やわらかい食べ物に偏りがち
・味覚の変化により、濃い味や塩分が好まれ、栄養バランスが崩れる
・買い物・調理の負担で、簡単な食事で済ませることが増える
・「面倒くさい」という感情が、食事の質を落とす大きな原因に
たとえば、ある男性高齢者は「最近、カップ麺と甘いパンばかり食べている」と言います。
手軽さに惹かれる一方で、「このままではいけない」という思いも抱えているのです。

宅配食の3つのメリットとは?
1. 栄養設計のプロが監修
・管理栄養士が献立を作成
・たんぱく質やビタミン、ミネラルをバランスよく配合
・減塩でも美味しい、スパイスや出汁の工夫あり
・飲み込みに配慮したムース状や刻み食も用意
2. “温めるだけ”でできる、手間のない自炊
・冷凍で届いてレンジでチンするだけ
・献立を考えるストレスからの解放
・「温かいご飯がある」ことが日々の活力につながる
3. 家族とのつながりや安否確認にもなる
・見守り機能付きで、体調異変にも対応
・遠方の家族もメールや報告で安心できる
・好みや健康状態に合わせたカスタマイズが可能

介護者の視点:「食」は最初の介護
介護現場では、食欲の変化が最初の“異変”として現れます。
だからこそ、食事の内容を把握することが重要です。
・食事内容をメモして変化を追う
・好みや体調を業者と共有し、内容を調整
・「今日何食べた?」が日々の観察と会話の入口になる
宅配食は単なる食事ではなく、健康のバロメーターであり、介護のスタート地点です。

高齢者の視点:「自分のための食事」が自尊心を育てる
高齢者は、自分の存在価値に不安を抱くことがあります。
そんな中、「自分のために選ばれた食事」が届くことで、「まだ大事にされている」「ちゃんと生きている」という気持ちが生まれます。
美味しさ・見た目・温かさに配慮された食事は、単なる栄養補給ではなく、“生きる楽しみ”につながります。

家族の視点:食卓でつながる心遠くに住む
家族が宅配食を手配することは、「見守り」と「交流」を両立させます。
・「ちゃんと食べてるかな?」という不安が解消
・共通のメニューで自然と会話が生まれる
・「次はこれ頼もうか?」という提案が交流のきっかけに

地域の視点:制度と連携体制の整備がカギ
現状の課題
・山間部など一部地域ではサービスが未対応
・補助金制度の有無や条件に地域差がある
・利用者情報の共有が不十分で個別対応に限界
必要な取り組み
・地域包括支援センターによる業者との橋渡し
・補助制度の周知徹底と拡充
・配達員による健康チェックの仕組み強化

まとめ
宅配食は“介護を始めるきっかけ”
見えづらい“栄養不足”という課題に、宅配食は有効な手段です。
自立支援、健康維持、家族との連携。すべてにおいてその力を発揮します。
介護者が今、できること「食べてるから大丈夫」ではなく、「何を、どう食べているのか」を見る視点が必要です。
・一緒にメニューを選ぶ
・定期的に感想を聞く
・地域のサポートと併用して総合的に支える
この小さな関心が、大きな安心につながります。
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