メークなんて無駄だった?家族が知らない…「化粧が介護を救う」事実

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横浜市と資生堂、

シニアの化粧教室で介護予防 

運動効果や外出促進

2025/04/29 02:00

日経速報ニュース

横浜市と資生堂、シニアの化粧教室で介護予防 運動効果や外出促進 - 日本経済新聞
横浜市と資生堂ジャパン(東京・港)は美容を通じた高齢者の健康づくりで連携する。3月に締結した介護予防に関する協定を生かし、市内で高齢者向けの化粧教室を1年間で約60回開く。化粧する際の運動動作や外出促進、参加者同士の交流による健康効果を見込...

【この記事の内容】

高齢者のADLが低下する見逃しサイン!化粧ごもたらす効果とは?

はじめに

化粧が介護予防になるとはどういうことか?

握力の低下は自立を遠ざけます。

箸を持つ力が弱くなると食事が一人でできなくなります。

それと同じように、化粧をする手の動きも、日常生活の機能を支える大切な運動です。

こうした考え方に基づいて始まったのが、横浜市と資生堂による「いきいき美容教室」です。

これは、美しさを追求するだけでなく、健康や介護予防、そして人とのつながりを支援することを目的とした新しい形の取り組みです。

取り組みの概要

美容教室が健康づくりの場に横浜市と資生堂は、年間約60回の「いきいき美容教室」を市内で開催しています。

1時間程度の教室では、以下のようなプログラムを体験できます。

軽いストレッチで体をほぐす

スキンケアで顔の筋肉や唾液腺を刺激する

誰でも簡単にできるメークの方法を実践する

男女問わず参加でき、専用の化粧道具も準備されています。

費用は資生堂が負担し、横浜市は施設の提供や参加者の募集を担当します。

3つの健康効果!化粧には意味がある

この教室には、主に以下の3つの健康効果が期待されています。

1. 運動効果 

化粧道具を持つ、腕を動かす、眉を描くといった動作は、意外と多くの筋肉を使います。

これは食事のときの2~3倍の負荷があるとも言われています。

2. 口腔機能の活性化 

スキンケアでは唾液腺を刺激する手技もあり、唾液の分泌が促進され、口の中を清潔に保つ効果があります。

また、唾液が増えることで食欲の向上にもつながります。

3. 社会的交流の促進  

教室では、参加者同士がリップの色を選び合ったり、感想を共有したりと自然な交流が生まれます。

こうしたコミュニケーションが外出のきっかけになり、孤立の予防にもつながります。

高齢者の気持ちに寄り添う

化粧で変わる意識高齢になると外出や人との接点が減り、気持ちが内向きになりがちです。

しかし、鏡の前でメークをするという小さな行為が、自信や喜びを取り戻す大きなきっかけになることがあります。

参加した80代女性の一言が、それを物語っています。

ここで鏡を見ながら笑っていたら、気持ちまで明るくなりました

介護者の視点

生活機能の維持につなげるには

化粧教室の参加は、介護現場で重視されるADL(=日常生活動作)の維持にも効果的です。

特に手先を使った細かな動きは、継続することで機能低下を防ぐことができます。

介護の現場で活用するには、以下の工夫が考えられます。

・デイサービスなどのレクリエーションに組み込む

・地域包括支援センターと連携し、広く情報を発信する

・家族に対して「美容は予防医療の一環である」と説明する

高齢者の視点

新しいことへの挑戦が自己肯定感につながる

年だからもういいわ」と言いがちな方にも、化粧という体験は自分を見直すきっかけになります。

重要なのは、「うまくできなくてもいい」「楽しんで取り組むことが大事」という声かけです。

香りや音を取り入れた演出も、感覚機能を刺激し、より深い効果をもたらします。

家族の視点

会話と絆を育てる小さなきっかけ

きれいになったね」と言葉をかけるだけで、家族との距離はぐっと縮まります。

送り迎えや買い物を通じて自然なコミュニケーションが生まれ、家庭内の雰囲気にも良い影響を与えます。

地域の視点

地域包括ケアと美容を結びつける

地域全体で高齢者を支える「地域包括ケアシステム」においても、こうした美容を切り口にした教室は非常に有効です。

内容が柔らかく、参加しやすいため、これまで支援に消極的だった方にも自然と関心を持ってもらえます。

現場の課題と対応策

現在、介護福祉の現場でよく見られる課題は以下の通りです。

孤立:人との接点が減り、心の健康が低下 → 地域イベントや教室で交流の場をつくる

ADLの低下:手足を動かす機会が減る → 手作業やメークなどで機能を刺激

自尊感情の低下:「迷惑をかけたくない」と遠慮する → 化粧によって外見と心の自信を取り戻す

まとめ:美しさは健康と社会参加への第一歩

結論として、化粧は見た目を整えるためのものではなく、「自分を大切にする行為」であり、「社会とつながり、健康を維持する手段」として位置づけるべきです。

介護者としてできることは、この意義をわかりやすく伝え、日常の中に取り入れられる機会をつくること。

そして、小さな変化を喜び、本人の前向きな気持ちを支えていくことです。

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