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がん治療、心血管にも注意
薬物療法の副作用に早期対応
2025/05/10 02:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『高齢がん患者の7割が見落とす「薬の副作用」とは?』
はじめに
がん治療と高齢患者と介護者が知るべきこと
介護者として「ひとつの体調不良が全体に波及する」という“健康のドミノ現象”を考えることがあります。
たとえば、足腰の弱りから転倒、それが入院や認知機能の低下につながり、最終的には介護度の大幅な上昇を招く。
このように一つの不調が連鎖反応を起こすのです。
この考え方は、がん治療と心疾患の関係にも重なります。
高齢がん患者に求められる複眼的な医療対応
がん治療と心疾患のリスクは表裏一体
がん治療中や治療後に、心疾患によって命を落とすケースが増えています。
抗がん剤や免疫療法の一部には、心臓や血管に負担をかける副作用があるためです。
たとえば、ある乳がん患者は10年の生存を経た後、がんではなく心臓発作で亡くなりました。
こうした背景には、治療による血管へのダメージや血栓リスクの増加があるとされています。
高齢者ならではの医療的リスク
高齢のがん患者は、心不全や狭心症といった既往症を抱えていることが多く、がん治療による身体的ストレスが重くのしかかります。
これらの持病を無視してがん治療を進めると、命に関わるリスクが高まるため、循環器系の管理が同時に必要になります。

介護現場での気づきと実践的対応
がん治療を受ける高齢者の変化は、介護者にとって日常の中で最も早く気づけるポイントです。
たとえば、治療を始めてから血圧のコントロールが乱れたり、日常生活の動作が急に低下するケースが見られます。
倦怠感や息切れなど、日々の小さな変化を見逃さないことが重要です。
介護者としては、以下の点に注意を払うことが求められます。
・治療中でも降圧薬などの服用を継続する必要性を医師と確認する
・息切れや胸の違和感、著しい倦怠感はすぐに主治医に相談する
・がん治療を止める=安心ではないことを家族や本人に丁寧に説明する
地域や家族が支えるための仕組み作り
在宅医療や地域医療の現場では、がんと心疾患の両方を同時に管理できる体制がまだ十分に整っていません。
以下は実際に介護の現場で直面している課題です。
・循環器の専門医が在宅医療に関与できないケースが多い
・がん治療を優先するあまり、心疾患のフォローが後回しにされる
・看護師が異変に気づいても連携経路が曖昧で報告が遅れる
・家族が心疾患のリスクに対して十分な知識を持っていない
これらを改善するには、医師、看護師、介護職員が情報を共有しながら連携する“多職種連携”が欠かせません。

「治療する医療」から「支える医療」へ
がんの治療だけに焦点を当てるのではなく、心血管の健康を保ちつつ生活を支える医療が今後ますます求められます。
介護現場でも、「がん治療の継続のためには心疾患の安定が前提である」という考えが重要視されています。
このような複合対応の必要性は、認知症と骨粗しょう症を同時に抱える高齢者へのケアにも似ています。
片方にばかり注目していると、もう片方の症状が悪化しやすくなるからです。
だからこそ、介護計画も“複合疾患モデル”に進化する必要があります。
高齢のがん患者と介護者が知っておきたいポイント
今後、高齢のがん患者はますます増えていきます。
介護者や家族は、次のことを意識して日々の対応にあたることが大切です。
・がん治療の副作用は心血管にまで及ぶことを理解する
・持病のケアとがん治療を両立させる意識を持つ
・医療・看護・介護が連携し、情報共有を徹底する
・家族や本人にも、がんと心疾患の関係について丁寧に説明するがんは「治療して終わり」の病気ではなくなりました。
だからこそ、医療と介護がともに支え合い、高齢者が安心して暮らせる社会を目指していくことが、私たち介護従事者に求められているのです。

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