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RIZAP、認知症予防に向け
神奈川県立がんセンターと
共同研究を開始
2025/05/14 14:30
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『運動不足や怠慢が認知症を呼ぶ!高齢者が陥る運動の誤解』
はじめに
介護の現場で、「予防は最大の介護」という考えが浮かびます。
つまり、要介護状態になる前に予防できれば、本人の生活の質が守られ、家族や地域への負担も軽減されるという考え方です。
このたび発表されたRIZAPと神奈川県立がんセンターによる認知症予防に関する共同研究は、まさにその“予防介護”を科学的に進めようというものです。
これは介護業界にとって大きな転換点になるかもしれません。
認知症高齢者が抱える課題とは?
現在、高齢者の約3人に1人が認知症か、またはその前段階である軽度認知障害とされています。
私たちが日々向き合っている現場では、以下のような問題が頻発しています。
・食事や入浴など、日常動作に支援が必要になる
・不安定な感情や徘徊などによる家族のストレス増大
・地域での孤立と、それに伴う見守りの難しさ
これらの問題の背景には、加齢とともに運動量が減少し、身体だけでなく脳の働きも低下していくという現象があります。
運動不足は、認知症の進行を加速させる要因の一つなのです。
RIZAPのリソースと研究の特徴
今回の研究では、RIZAPの持つフィットネス施設「chocoZAP」や、ユーザーの生活データ(ライフログ)といった資源を活用し、神奈川県立がんセンターの医療知見と組み合わせています。
この研究は「前向きコホート研究」という手法で行われます。
これは、今後の生活習慣や遺伝情報をもとに、どのような人がどのような要因で認知症になるのかを追跡調査するものです。
予防医学における最先端のアプローチと言えるでしょう。

介護現場で応用できる実践例
介護職の立場で今回の研究をどう活かすかを考えると「運動」「科学的根拠」「生活習慣」の3つを組み合わせた支援が鍵になります。
以下のような取り組みが効果的です。
・デイサービスでの軽運動メニューの導入
例:認知機能を意識したリズム体操やウォーキング活動
・ライフログを基にした個別ケア計画の見直し
睡眠・食事・活動量のデータをもとにした支援の最適化
・地域にあるchocoZAPと連携
高齢者向けにプログラムを調整し、誰でも安心して通える運動環境を整備
高齢者自身の心理と向き合う
「もう遅いのでは?」「体を動かすのが怖い」といった思いは、多くの高齢者が抱える本音です。
こうした気持ちに寄り添いながら、「できた」という成功体験を重ねていくことが大切です。
具体的には、少人数のグループ活動での仲間づくりや、専門職による個別の声かけ支援が効果的です。
家族が抱える負担と希望
介護を担う家族
いわゆる「ケアラー」にとって、仕事と介護の両立は非常に大きな負担です。
彼らには次のようなサポートが求められます。
・ウェアラブル機器などによる見守りの簡素化
・地域包括支援センターとのつながりによる相談体制の強化
・科学的データに基づいた対策がもたらす安心感
地域全体としての未病対策とは?
地域として認知症を予防するには、以下のような構造的なアプローチが必要です。
・chocoZAPなどの施設を介護予防の拠点として活用
・介護人材と地域ボランティアの協働体制の構築
・地域の健康データを活かしたオーダーメイド型の予防施策の開発

介護業界で起こっている変化と新しい発想
私たちの業界では今、次のような動きが加速しています。
・認知症高齢者の急増により施設が飽和状態に
・ICTやAIを活用した見守り技術の普及
・単なる支援ではなく「自立支援」を目指すケアの推進
こうした流れの中で、RIZAPの取り組みは「介護=後手」というイメージを覆す、“攻めの介護”への転換点になると考えられます。

まとめ
介護×予防×テクノロジーの新しい形へ
今後の介護は、従来の「支える」役割から、「予防によって守る」役割へと変わっていくべきです。
RIZAPと神奈川県立がんセンターの共同研究は、その未来像を具体的に示す取り組みです。
介護者として私たちは、高齢者の運動への関わりや、ヘルスケア資源を活かした科学的な予防アプローチを積極的に取り入れていく必要があります。
それが、これからの持続可能な福祉の鍵となるでしょう。
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