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「老年期のうつ」を甘く見ない
心の健康を保つ3カ条
2025/05/15 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『高齢者の3割がうつ病予備軍…見逃すと手遅れになるサイン』
はじめに
老年期のうつを見過ごさない
高齢者の心の健康を守るための3つの心得
高齢者介護に携わる立場として、「老年期うつ」は見過ごせない重要なテーマです。
心の健康は身体の健康と同じくらい大切であり、特に高齢者にとってはそのバランスが崩れると生活全体に大きな影響を及ぼします。
介護現場では、「うつは心の風邪」と表現されることがあります。
風邪のように誰にでも起こりうる一方、放置すると重篤化する
この比喩が示すように、早期の気づきと対処が必要です。
この記事では、老年期うつを防ぐための「心の健康を守る3つの心得」として、高齢者本人、家族、地域社会ができる対策を分かりやすくお伝えします。

老年期うつの背景と現状
日本は世界でも有数の長寿国ですが、長生きが必ずしも幸せとは限りません。
厚生労働省の調査によれば、65歳以上の高齢者のうち、約3割がうつ病などの気分障害を抱えているとされています。
老年期うつの背景には、以下のような要因が挙げられます
身体の機能低下
生活環境の変化
親しい人との別れ
認知症への不安
社会的な孤立
こうした喪失体験や環境の変化により、「生きがいを感じられない」「未来に希望が持てない」といった心理状態に陥ることが増えます。
これが孤立や引きこもりを招き、さらなる悪循環を生むのです。

心の健康を保つ3つの心得
1. ストレスを抱え込みすぎない
高齢者は「頑張らねば」という思いから無理をしがちですが、我慢はストレスの温床です。
自分を甘やかす勇気を持つ:時にはわがままに、自分の気持ちを優先することが心の余裕を生みます。
逃げることも選択肢:無理に乗り越えようとせず、「逃げてもいい」と思えることで、心が軽くなります。
2. 人間関係で自分をすり減らさない
人間関係はメンタルヘルスの大きな影響要因です。
苦手な相手と無理に関わる必要はありません。
適度な距離感を保つ:信頼できる人と心地よい関係を築き、負担になる関係は見直しましょう。
ネガティブな意見に左右されない:他人の言葉に振り回されず、自分の価値観を守ることが大切です。
3. 孤独を避け、人とつながる
孤独はうつ病や認知症のリスクを高めます。
意識的に人とのつながりを持つことが予防につながります。
旧友との再会を楽しむ:昔の友人と再びつながることで、安心感と楽しみを得られます。
SNSの活用も有効です。
地域に参加する:町内会や地域イベントなど、身近な場所から関わりを広げましょう。

介護者としてできること
介護者は、高齢者の心の変化にいち早く気づき、寄り添う存在であるべきです。
次の3点が重要です。
1. 話を「聴く」姿勢を大切にする
話すこと自体が高齢者の安心につながります。
2. 必要な情報を届ける
支援機関や相談窓口の情報を伝えることで、具体的な助けにつながります。
3. 人との関わりを後押しする
家族や地域とのつながりを介護者がサポートすることで、孤独の解消につながります。

まとめ
老年期は、人生の仕上げの時間ともいえる貴重な時期です。
この時期を穏やかに過ごすためには、心の健康を守ることが欠かせません。
ストレスを避け、健全な人間関係を築き、孤独から距離を置く。
介護者もまた、そのためのサポーターとして重要な役割を果たします。
「心の風邪」は早めの対処で予防が可能です。
今できることから始めて、自分も大切な人も守れる環境づくりを意識していきましょう。
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