冷房使わず命の危険!高齢者の“我慢”が招く見過ごせない理由

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東京都品川区、

高齢者の熱中症対策で戸別訪問 

75歳以上の全世帯

2025/05/16 16:10

日経速報ニュース

東京都品川区、高齢者の熱中症対策で戸別訪問 75歳以上の全世帯 - 日本経済新聞
東京都品川区は16日、熱中症対策として75歳以上の高齢者がいる全世帯を戸別訪問すると発表した。7月下旬から9月中旬にかけて2回、計4000円相当のスポーツドリンクなどの無料配布にあわせて実施し、エアコン使用などの熱中症対策を呼びかける。区に...

【この記事の内容】

高齢者がエアコンを使わない“本当の理由”とは?

はじめに

熱中症は静かに進行する危険な状態であり、特に高齢者にとっては命を脅かす重大なリスクです。

私たち介護現場では、気温そのもの以上に「室内環境」や「心理的な抵抗感」に注意を払っています。

たとえば、冷房を使わないのは「節約意識」や「昔の感覚」が背景にあります。

これは単なる暑さの問題ではなく、生活習慣や経済的不安、孤立といった要因が複雑に絡み合った社会的な課題なのです。

東京都品川区が実施する「高齢者熱中症見守り宅配事業」は、こうした背景を丁寧に拾い上げ、全国で初めて制度化された先進的な取り組みです。

高齢者の“我慢”が命を縮める背景にある心理と生活の現実

高齢者がエアコンを使わない理由とは?

多くの高齢者が冷房を控える理由には、以下のような事情があります。

電気代への不安:年金生活の中で節約を優先し、暑さを我慢してしまう

過去の価値観:「昔はクーラーがなくても平気だった」という思い込み

技術的なハードル:機器の操作が難しい、壊れていても修理費が出せない

孤立感:身近に相談できる人がいない

これらの要因が重なり、結果的に命に関わるリスクを高めています。

品川区の事業はなぜ注目されるのか

この取り組みでは、約3万6600世帯を対象に、夏の間に2度、戸別訪問が行われます。

訪問時にはスポーツドリンクなど約4000円相当の物品を配布しながら、熱中症予防を呼びかけます。

さらに、支援が必要と判断された世帯には、地域の介護支援センターなどが継続的なフォローを行う体制も整備されています。

見守り活動がもたらす4つの視点での価値

介護者の視点:リスクの早期発見と対応

・エアコン未使用の実態を把握できる

・必要な家庭へは迅速に追加支援が可能

・地域包括ケアとの連携が強化される

高齢者の視点:孤立の解消と適切な支援の導入

・人との接触で精神的な安心が得られる

・正しい熱中症対策が伝わる

・支援と情報が本人の状況に合わせて届けられる

家族の視点:離れていても安心できる仕組み

・遠くに住む家族にとって、戸別訪問は安心材料になる

・異常があればすぐに連絡

・対応してもらえる

地域の視点:共助の文化を育む契機

・地域内で高齢者支援への理解が広がる

・ボランティアや福祉従事者の活動機会が生まれる

・支え合いの街づくりへの第一歩となる

私たちの介護現場と共通する課題

介護現場でも、品川区の取り組みと重なる以下のような問題があります。

・訪問介護スタッフの不足

・一人暮らしの高齢者の増加

・認知症による暑さへの感覚鈍化

・在宅介護の負担が家族に集中

どれも、「日常の中で小さな異変をいち早く察知できるか」が鍵です。

品川区のようなモデル事業は、全国の介護現場にとっても学びの多い施策です。

結論

介護者として、熱中症対策を自分ごととして考える

介護職にある私たちは、単なる支援者ではなく、地域と家庭をつなぐ“情報のハブ”としての役割も担っています。

以下のような取り組みが、これからの対策には重要です。

・高齢者用の熱中症チェックリストを配布し、定期確認を推進

・冷房機器の使用状況を訪問時に確認

・必要に応じて冷房機器や電気代補助の制度を紹介

・地域で見守り活動をするチームやネットワークの構築

介護は、一人の力で完結するものではありません。

品川区のような自治体主導の取り組みをモデルに、私たち一人ひとりが支援の担い手として行動することが、真の熱中症対策になるのです。

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