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熱中症予防市場3%増の740億円に
25年、衣料素材や「飲む氷」
2025/05/16 19:16
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『放置すると命の危機!高齢者が水を飲まない4つの心理的理由』
はじめに
高齢者の脱水と水分補給不足が引き起こす熱中症は、見過ごせない社会課題です。
今、熱中症予防市場が拡大し、技術も進化していますが、その背景には高齢者の命を守るための切実なニーズがあります。
熱中症予防市場の拡大が意味するもの
結論
2025年の熱中症対策製品市場は前年比3%増の743億円に達すると見込まれています。
この成長は、単なる製品の売上拡大ではなく、「誰もが熱中症のリスクにさらされる時代」に対する社会的な対応を示しています。
理由
高齢化の進行により、体温調節機能や水分保持能力が低下する高齢者が増えています。
加えて、気候変動により夏の暑さが年々厳しくなっており、高齢者は熱中症のハイリスク層となっています。
具体例
「飲む氷」冷蔵庫
冷たいだけでなく、喉ごしの良さで水分補給がしやすくなります。工事現場だけでなく、介護施設や家庭でも活用可能です。
クーラー付きカート
高齢者が多く利用するゴルフ場で導入され、快適性と安全性を両立しています。
福祉車両などへの転用も期待されます。
高機能ウェア
断熱性と気化熱効果を組み合わせた衣類は、作業中の熱中症予防に有効で、屋外での介護や散歩支援でも有用です。

高齢者の身体と心理に潜むリスク
高齢者が水を飲まない理由
・加齢で体温調整機能が低下
・喉の渇きを感じにくくなる
・トイレの失敗への不安から水を控える
・「我慢こそ美徳」という戦後世代の価値観
これらが「身体のリスク」と「心理的なハードル」を同時に生み出しています。
介護現場での課題
・水分を勧めても断られる
・認知症の影響で飲んだことを忘れる
・職員不足でこまめな補水が困難
・光熱費を気にして冷房を使わない

視点別に見る課題と対策
介護者の課題
飲んでくれない/記録の負担
→ ゼリー飲料や「飲む氷」の導入、摂取管理のデジタル化
高齢者の課題
渇きに気づかない/冷房を嫌がる
→ 快適な冷感衣類や見える温度管理
家族の課題
見守りの困難さ/経済負担
→ スマート家電による遠隔見守り、冷感寝具などの初期投資で快適性向上
地域・施設の課題
熱中症対策の温度差
→ 地域単位での啓発、共同冷房費の補助制度の導入
現場で起きている現実
・毎夏、高齢者の救急搬送が続出
・冷房を使わず熱中症を発症
・扇風機だけの家庭が多い
・外出控えにより筋力低下が進み、より暑さに弱くなる
・水分提供のタイミングや回数にバラつきがある施設も存在

技術革新は介護現場にどう活かせるか
「飲む氷」
嚥下障害のある高齢者でも安全に飲める
クーラー付きカート
送迎車や介護タクシーでも有効
高機能衣類
リハビリ時や屋外活動時の安全性向上に

結論
熱中症対策は介護の第一歩
熱中症対策は、医療ではなく「予防」の領域です。
介護の現場で最も重視すべきは、日々の声かけと工夫です。
・「なぜ水を飲まないのか?」を理解する
・「どうすれば自然に飲んでもらえるか?」を考える
・「どのタイミングで声をかけるか?」を工夫する
これらの積み重ねが、高齢者の命を守る最大の武器になります。
技術や製品の進化も重要ですが、それを活かすのは私たち一人ひとりの「気づき」と「行動」です。
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