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若年層の東京転出率など、
地方創生へ数値目標設定
政府が10年計画
2025/05/19 19:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『2040年、介護職が1.3倍必要に!地方に“人”が来ない現実』
はじめに
介護現場から見た10年後の地域の未来
政府が掲げる「地方創生2.0」という新たな施策を見つめると、介護現場が抱える課題と重なる部分が多くあります。
特に、若年層の地方回帰と介護人材の確保は大きな焦点です。
地方創生2.0が示す数値目標とは?
政府は、2025年6月にまとめる予定の「地方創生2.0基本構想」の中で、今後10年間に向けた明確な数値目標(KGI)を掲げています。
その中核となる項目は以下の通りです。
・東京から地方への若者の移住を促進する
・医療・介護サービスの維持・向上が図られた市区町村の割合を増やす
・地方で生産される工芸品や農林水産加工品の輸出を拡大する
・地域共生型の新たな住まい方「小規模・地域共生ホーム型CCRC」を全国に展開する
これは、単に「人を地方に戻す」ことだけが目的ではありません。
重要なのは、地域で生き続けられるインフラと人材を整備することです。

なぜ若年層の地方転出率が重要なのか?
介護職において、若者の地方移住は深刻な人材不足の解消に直結します。
現在、若年層の多くが東京圏に集中し、地方では介護・医療の担い手が減少しています。
その結果、地域では以下のような問題が広がっています。
・高齢者の増加に対し、介護職員が決定的に不足
・新しい介護施設の建設が計画倒れになる
・地域包括ケアシステムが機能不全に陥っている
ある地域では、介護職の求人倍率は体感で4倍以上に達しており、若者の就職希望は都市部に偏り、地元へのUターン希望は非常に限られています。

地方に住む高齢者が求める暮らしとは?
高齢者が望んでいるのは、「自宅で最後まで暮らしたい」「知っている人に囲まれて最期を迎えたい」という安心感です。
ですが、以下の背景がそれを難しくしています。
・地方の医療機関
・介護施設の統廃合が進行中
・都市に移住した子どもたちが戻ってこない
・医療・介護サービスの担い手不足が深刻
地域共生ホーム型CCRCへの期待と課題
政府が全国展開を目指す「地域共生ホーム型CCRC」は、高齢者・障害者・子育て世代が共に暮らす新しい居住モデルです。
これは、地域に雇用とつながりを生み出す可能性を秘めています。
たとえば
・小規模な介護や保育施設、地産地消の飲食店を併設
・高齢者が農作業や手工芸を通して地域貢献できる環境
・住民同士の支え合いにより、孤立の防止にもつながる
ただし、以下の課題もあります。
・介護職を地元で育てる体制の整備
・医療アクセスの確保(訪問診療や移動診療の強化)
・離れて暮らす家族の不安に応える見守りシステムの構築
・若年層が定着するための住居・働き方・生きがいの提示
介護現場から始める取り組み
・地元高校生向けの介護職体験プログラム
・地域包括支援センターを拠点としたボランティア活動の育成
・JAや診療所と連携した「地域支援フォーラム」の開催
こうした活動は、若者にとって「この地域で働く意義」を感じさせるきっかけになります。
そしてそれが、高齢者の安心できる暮らしの支えになるのです。

結論
介護の現場から見た地方創生の本質
介護者として、地方創生の本質は「人の循環」と「地域で暮らし続けられる仕組みづくり」にあると感じます。
若者が地域で生きる未来を描けるようにすること、それがひいては、高齢者が望む「最期まで安心して暮らす」社会の実現につながります。
これからの10年で、それをどこまで構築できるかが、真の意味での「地方創生」を決める鍵になるでしょう。
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