70代の7割が「旅行ゼロ」…高齢者が旅を諦める理由とは?

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70代以上の7割

「24年の宿泊旅行0回」、

地方は9割が国内客 

観光白書

2025/05/27 10:17

日経速報ニュース

70代以上の7割「24年の宿泊旅行0回」、地方は9割が国内客 観光白書 - 日本経済新聞
政府は27日、2025年版の「観光白書」を閣議決定した。インバウンド(訪日外国人客)に比べて伸び悩む国内旅行者について分析し、高齢層の取り込みが課題だと指摘した。地方部では延べ宿泊者のうち国内客が9割弱を占め、地方経済の活性化には重要になる...

【この記事の内容】

高齢者の宿泊旅行、なぜ69.3%が「一度も行けない」のか?介護福祉の視点で考える宿泊旅行の課題とその対策

はじめに

高齢者の旅行離れが進行中

長い人生を歩んできた高齢者にとって、旅行とは単なる移動ではなく、かつての自分を取り戻す貴重な機会なのです。

しかしその機会が、今、大きく失われつつあります。

2024年、70代以上の約7割の方が1回も宿泊旅行をしていないというデータが示されたのは、その象徴です。

なぜ高齢者は旅行しなくなったのか?

コロナ禍で生まれた「外出へのためらい」新型コロナウイルスの影響で、多くの高齢者は外出を控えるようになりました。

70代以上の方々は、感染リスクへの不安から、旅行どころか近所への買い物さえ控えるようになった方も少なくありません。

これは心理的なブレーキとなり、旅行のハードルをより高くしています。

体力的な不安と旅行環境のバリア

また、歩行や移動の困難、トイレの問題、薬の管理といった健康上の不安も旅行をためらう理由です。

宿泊施設や観光地のバリアフリー対応が不十分な場合、ちょっとした段差や長い移動距離が命取りになります。

介護者の視点

旅行を「難しい」で終わらせない

介護の現場では「安心・安全」が最優先事項です。

だからこそ、高齢者に旅行の機会を提供するには、旅行自体の設計を見直す必要があります。

たとえば、

・医療や介護スタッフが同行する安心ツアーの企画

・トイレや段差に配慮した宿泊施設の拡充

・地域包括支援センターと連携し、旅先での支援体制を構築すること

また、家族との連携も重要です。

介護付き旅行代行サービスを活用したり、事前に介護者と家族で旅行計画を練ることで、高齢者の不安を軽減できます。

高齢者の想い

「行けない」ではなく「行きたい」

「もう旅行には行けない」とあきらめる高齢者は多いですが、その心の奥には「孫と温泉に行きたい」「あの場所をもう一度見たい」といった強い想いがあります。

介護の現場では、昔訪れた場所の写真を見せるだけで目が輝く方がたくさんいます。

この反応は、認知症の予防や生活の質(QOL)の向上に直結します。

地域の視点

高齢者旅行者が地方観光を支える力に

地方では宿泊客の9割近くが日本人です。

その多くを占める高齢者の旅行需要が落ち込めば、地域経済も大きく打撃を受けます。

この課題を解決するためには、

・地域交通の整備(福祉タクシーや乗り合いバスなど)

・歩行距離が短く休憩を多く設けた観光プランの提供

・医療機関との連携による万が一の備えといった具体的な取り組みが求められます。

介護福祉から観光へ

現場の取り組みを応用する

介護福祉分野では、すでに旅行に近い取り組みが行われています。

例えば、

・デイサービスでは、日帰りの外出プログラムが一般的

・リハビリを兼ねた「リハビリ旅行」の実施

・家族カンファレンスを通じた事前調整

・ICT(見守りセンサー、位置情報)を使った移動管理

これらの取り組みを観光に転用することで、安心して旅行できる仕組みが整備されていくはずです。

結論

旅行は「生きがい」、介護者がその橋渡しを!

高齢者にとって旅行は娯楽以上の意味を持ちます。

自分らしく生きる、生きがいを感じる、家族と絆を深める、そうしたかけがえのない時間です。

「もう難しい」ではなく、「どうすれば行けるか」を考えること。

それが介護者の役割です。

そしてそれは、高齢者本人だけでなく、家族、地域、観光業界全体の未来にもつながっていきます。

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