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KDDIロボでオフィス便利
買い物代行・掃除、
システム外販で海外開拓
2025/08/19 17:58
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『ロボじゃ無理?介護現場で“任せてはいけない仕事とは』
はじめに
トータルケアの考え方とKDDIの事例
介護の現場では、「身体の介助」だけでなく、「生活環境の整備」や「心のケア」など、暮らし全体を支える“トータルケア”が求められます。
これは、一人ひとりのQOL(生活の質)を守るために欠かせない視点です。
この「トータルケア」の考え方を、意外にもオフィス向けのサービスで体現しているのがKDDIです。
ロボットだけを導入するのではなく、通信環境や建物の設計、スマホアプリなどを連携させて、「人の手を借りずに自然に機能する支援の仕組み」を作り上げています。
介護業界にこの発想を応用できれば、支援の在り方そのものが変わる可能性があります。
なぜ「一体提供」が介護で重要なのか?
結論
ロボットと周辺環境を一体で設計・提供することで、介護はより自然で、効率的で、利用者に優しいものになるからです。
理由
・高齢者は「できる限り自分の力で生活したい」という願いを持っています。
・介護者は、限られた時間とリソースの中で複雑な業務をこなしており、ツールがバラバラではかえって手間が増えます。
・ロボットと建物、通信、操作の仕組みが連動していれば、誰にとってもストレスのない支援が可能になります。
具体的な応用例(KDDI→介護)
KDDIのロボットは、オフィスで商品を席まで届けたり、清掃や警備を自動化したりする機能を持っています。
これを介護に応用すると、次のようになります。
・食事や薬の自動配達で、移動の負担を軽減
・見守り・安否確認・清掃などの支援業務をロボットで自動化
・設計段階からロボットが動きやすい住宅づくり
・入浴・食事スペースの混雑状況を可視化し、スムーズな誘導を実現視点別に見る、課題とロボによる解決の可能性

高齢者視点
課題
移動が大変、自分で選択する機会が減る
解決
自動配達などの仕組みにより、外出せずに自ら選んで行動できる環境が整う
介護者視点
課題
業務が多岐にわたり、効率化が難しい
解決
一部の支援をロボが担うことで、時間にゆとりが生まれ、ケアの質が向上する
家族視点
課題
離れて暮らすと安否確認が難しい
解決
通信と連動した見守りロボが、状況をリアルタイムで通知
地域視点
課題
介護人材の不足、支援の偏り
解決
公的スペースにもロボットを導入し、地域単位での支援体制を強化
介護業界で起きている現実
介護現場には、以下のような深刻な課題がみられます。
介護人材の不足
2025年には38万人の人手が足りないと予測されていますICT(情報通信技術)の活用
不足
介護記録がいまだに紙で管理されている施設も多い
サービスの画一化
個別のニーズに応える柔軟性がない
家族の高齢化
老老介護・認認介護など、家庭内でも支援が限界に近づいている
在宅ケアの限界
訪問回数や緊急対応に限界があり、孤立リスクもある
・このような背景から、部分的な改善ではなく、「仕組み全体」を再設計する必要があるのです。
KDDIの取り組みを介護にどう応用できるか
KDDIが手がけるのは、ロボットだけではありません。
「ロボット×通信×建物設計」が一体となったシステムです。
これを介護に応用すると、次のような可能性が見えてきます。
配送ロボ→ 食事や薬の自動配膳に
警備ロボ→ 見守り・転倒検知・安否確認機能として
通信インフラ→ 遠隔での体調チェック、緊急時の通報
操作性→ 音声やジェスチャーでの簡単な操作を導入し、高齢者のハードルを下げる
重要なのは、これらが単独で導入されるのではなく、最初から一体として設計されていることです。
KDDIの強みが、介護業界で活きる理由
KDDIには、介護業界でも活かせる以下のような強みがあります。
・全国に広がる通信インフラを活用した支援システムの構築力
・40万社以上の法人顧客とつながる強力なビジネスネットワーク
・建物の設計段階から支援システムを組み込める開発力
・アジア市場を視野に入れた国際展開の実績と視点
これらを組み合わせれば、以下のような展開も可能です。
・高齢者施設向けの統合型介護ロボサービスの導入
・在宅介護者のためのパッケージ型IoT×ロボ×AIの支援システム
・日本発の「ケア・テック」モデルとして、東南アジアなどへの展開

まとめ
介護の未来は「連携型ロボットサービス」が切り拓く
介護の現場では、「人が行うべきケア」と「機械に任せられる作業」をどう分けるかが日々の課題です。
KDDIのように、ロボットと建物、通信、操作システムがあらかじめ連動していれば、この“線引き”がもっと柔軟になります。
これは単なる効率化ではなく、高齢者が自分らしく暮らすための支援であり、介護者の負担を減らし、家族や地域の安心につながる革新的なアプローチです。
ロボットは、ただの道具ではありません。支援の「パートナー」としての可能性を秘めています。
そして、その価値を最大化するには、ロボットを“単体”で考えるのではなく、周辺の環境やサービスごと“連携”させて導入することがカギなのです。



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