「老い=衰え」が招く社会的損失!認識を変えるべき理由とは?

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「老い=衰え」だけなのか 

補い合う関係、

ポジティブな社会への道

2025/08/17 05:00

日経速報ニュース

「老い=衰え」だけなのか 補い合う関係、ポジティブな社会への道 - 日本経済新聞
大阪・関西万博で未来をのぞいてみた。まず大阪ヘルスケアパビリオンで「25年後の自分」と向き合う。カメラの前で健康データを測定した後、目の前に現れたのは80歳を超えた自分のアバター。不思議な時空の旅のようだ。次はシグネチャーパビリオン「いのち...

【この記事の内容】

脳が老化する人の共通点とは!知らないと手遅れになる?

はじめに

介護者として日々感じるのは、老いが単なる衰えではなく、人生の深みや知恵を積み重ねた成熟の過程であるということです。

もちろん老化に伴う身体的な機能低下は避けられませんが、それを社会や周囲がどう捉え、どのように補い合っていくかで、老いの価値は大きく変わります。

人生100年時代においては、老いの時間が長期化するからこそ、より豊かで肯定的な意味づけが求められているのです。

なぜ老いをポジティブに捉えられるのか?

理由①:認知予備力

積み重ねがもたらす余力

加齢に伴う脳の機能低下は避けられませんが、教育や仕事、趣味などを通じた生涯の活動が、認知機能の「予備力」として蓄積されていることが分かっています。

これはビジネスにおける“リスク分散”に似ています。

資産を分散して守るように、人間も多様な経験を持つことで老化の影響を分散できるのです。

理由②:感覚の相互補完

一つが弱れば、他が支える

視力や聴力が衰えても、触覚や嗅覚など他の感覚が補完するように働き、生活の質を維持できるケースもあります。

これはチーム経営に似ています。

一人の弱点を他のメンバーが補うように、人間の身体も集団も「補い合う力」が自然と働く構造を持っています。

理由③:テクノロジーと共に広がる

生き方の選択肢

最新技術を活用することで、身体機能を補うだけでなく、働き方・生き方そのものを柔軟に選べるようになってきました。

たとえばアバターやロボットによる遠隔活動などは、物理的な限界を超えた「第二の人生」の可能性を切り開いています。

これはまさに「身体という制約を外した働き方改革」とも言える変化です。

多様な立場から見た老いと支援

以下は、介護に関わる主要な立場ごとに見た課題と、それに対する具体的な支援の方向性です。

介護者視点: 高齢者の機能低下をどう支援するか。

→ 認知予備力を高める支援プログラム、運動や学びの習慣化を通じて、残存能力を最大限に引き出す支援が必要です。

高齢者本人の視点: 自らの変化をどう受け入れ、どう生かすか。

→ 生きがいづくりや、地域での役割獲得がカギ。趣味活動や知識の伝承などで、成熟した力を活かす機会が求められます。

家族の視点: 介護と日常生活をどう両立するか。

→ 一人で抱え込まず、地域資源や専門職と連携しながら「見守る支援」へと意識を変えることが重要です。

地域社会の視点: 高齢化が進む中でどう共生を実現するか。

→ 多世代交流、ボランティア活動、ITの活用などにより、高齢者の持つ価値を地域資源として活かす取り組みが進んでいます。

介護の知恵は社会全体にも活用できる

介護の現場で使われる「認知予備力」という概念

これは高齢者の“脳の貯金”のようなもので、使えば使うほど耐久性が上がる知的資産です。

教育、仕事、趣味などを通じて積み上げた経験が、老化をゆるやかにします。

ある高齢者の実例

Aさんは70代ですが、読書と地域の会合への参加を継続しており、同年代と比べても非常に活発です。

日常会話も明瞭で、判断力も保たれています。これが認知予備力の成果です。

この考えを社会全体に拡張する

企業や組織でも、日々の経験や学びの積み重ねが組織力の“予備力”になります。

これは「企業の持続可能性=人の成熟力」とも言える視点で、老いに関する考え方を広く社会設計にも応用できるのです。

介護福祉分野で見られる取り組み例

1. 高齢者と若者の世代間交流による相互理解の促進

2. ロボット技術を活用した移動支援や生活補助

3. 音楽・アートを通じた認知機能の刺激

4. 家族向けの介護学習ワークショップの開催

5. アバターやVRを使った遠隔参加の導入

6. 高齢者が講師となる“人生の学び舎”型コミュニティの創設

最後に

「老い=衰え」からの認識転換

老いをただの衰えと捉える時代は、すでに終わりを迎えつつあります。

むしろその時間は、人生の集大成としての「成熟の季節」と捉えることができます。

介護者、高齢者、家族、地域それぞれが「補い合い、認め合う関係性」を育てることが、これからの共生社会のカギとなるでしょう。

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