75歳以上の高齢者が23万件!? 医師の往診が止まらない理由とは?

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医師の往診5年で4割増 

高齢者の利用拡大、

過剰提供の懸念も

2025/08/18 11:30

日経速報ニュース

医師の往診5年で4割増 高齢者の利用拡大、過剰提供の懸念も - 日本経済新聞
医師が患者の自宅などを訪ねる往診が過去5年で1.4倍に増えたことが厚生労働省の社会医療診療行為別統計で分かった。75歳以上の増加が目立つ。往診の普及は救急車の安易な利用が減るなどの利点があるが、診療報酬を目的とした過剰提供が広がっている可能...

【この記事の内容】

高齢者往診の闇…5年で1.4倍増、実は〇〇が目的だった!?

はじめに

高齢者の利用拡大と介護者としての向き合い方

高齢者の自宅に医師が訪れる「往診」。

このサービスの利用が、過去5年で約1.4倍に増加しています。

高齢化が進む中で、介護現場では往診の必要性とその価値が見直されています。

しかし同時に、診療報酬目当ての「過剰提供」への懸念も指摘されています。

本記事では、介護者としての視点から、往診のメリットと課題をわかりやすく解説します。

医師の往診が増えている理由

「医療が病院から生活の場へ」と移行する流れ

介護の世界には、「できる限り自宅で暮らし続けることを支える」という基本理念があります。

この考え方を医療に置き換えると、「医師が病院で待つのではなく、生活の場に出ていく」ことが必要になります。

それがまさに、今増えている「往診」です。

往診が急増している主な理由は以下の通りです。

・75歳以上の高齢者の増加・突発的な体調変化への対応ニーズ

・救急搬送を減らす政策的な後押し

・夜間・休日の対応を外部業者に委託する施設の増加

これらの要因が重なり、在宅医療の一環としての往診が再評価されています。

介護者視点

最大のメリットは「安心して任せられること」

介護者にとって、往診のもっとも大きなメリットは、いつでも医師に頼れるという安心感です。

なぜそれが重要なのか?

高齢者は、わずかな体調の変化でも大きなリスクにつながることがあります。

夜間や休日、病院に連れていけない状況で「医師が来てくれる」という体制があるだけで、介護者の心理的・身体的な負担は大きく軽減されます。

実際のケース

・認知症の方が夜に発熱し、不安で救急車を呼ぶ寸前に往診を依頼。

大事には至らず対応完了。

・寝たきりの高齢者が床ずれを悪化させるも、早期の往診で処置でき、入院せずに済んだ。

介護の質は、こうした「すぐに対応できる」仕組みによって大きく変わるのです。

高齢者視点

「通院の苦労」からの解放

高齢になると、通院そのものが心身の大きな負担になります。

バスや電車を使った移動、長時間の待ち時間、不慣れな病院環境。

すべてがストレスになります。

往診は、自宅にいながら医師の診察を受けられるため、高齢者にとっては大きな安心材料です。

高齢者の心境の変化

・外出がしんどくなった

・病院よりも自宅での診察のほうが落ち着く

・家族にも迷惑をかけたくない

介護現場でも「環境の変化が高齢者の健康に悪影響を与える」ことはよく知られており、往診はそうした影響を最小限に抑える手段として注目されています。

家族視点

「遠くにいても安心できる仕組み」

家族が遠方に住んでいる場合、日々の介護を直接支援できないことが多いでしょう。

そんなときに、「何かあっても医師がすぐ来てくれる」という体制は、家族にとっても大きな支えになります。

具体的に何が助かるか

・医師の訪問結果をLINEや電話で報告してもらえる

・ケアプランに医療の視点が入ることで、サービスがより適切になる

・往診結果がケアマネジャーや施設と共有されることで、チーム連携が強化される離れていても、医療と介護の連携が見える形で実現されるのは、家族にとって大きな安心です。

地域視点

救急医療の負担軽減と連携の強化

往診の増加は、医療機関や救急サービスにも良い影響を与えています。

特に、本当に救急対応が必要な人に医療リソースを集中できるという点は、地域にとって非常に大きな意義があります。

地域で見られる動き

・不要不急の救急車利用が減り、病院の逼迫が緩和

・医療と介護の「合同カンファレンス」などの連携が活発化

・小規模多機能施設や訪問看護との連携が進むことで、地域包括ケアの実現に近づく

介護と医療の「縦割り」ではなく、「横断的な連携」が地域全体の持続可能性を支えていくのです。

課題

すべての往診が必要とは限らない

一方で、「すべての往診が本当に必要か」という点については、慎重な見極めが必要です。

中には、診療報酬を目的として必要性の低い往診が行われているという指摘もあり、制度の見直しも始まっています。

想定される課題と対応

不必要な往診の増加

患者や家族の不安から、必要以上に依頼されるケースも。

→ 医療・介護の多職種連携での判断が重要。

診療報酬目的の利用

一部の医療機関が報酬狙いで深夜往診を乱用。

→ 報酬制度の適正化と透明性の確保。

医師不足・地域差

対応できる医師の数が地域によって大きく異なる。

→ 遠隔医療や民間委託による補完的活用が有効。

結論

往診は、介護者にとって「安心と信頼のインフラ」

医師による往診は、高齢者の命と生活を守る重要なサービスです。

介護者にとっては、自宅という環境の中で、医療がすぐ近くにあるという感覚は、ケアの質を飛躍的に高めます。

ただし、制度としての公平性や持続性も考える必要があります。

介護福祉の基本である「必要な人に、必要なときに、必要な支援を」という理念に基づき、往診も適切に使われるべきです。

適切な往診があれば、家族も地域も医療も安心できます。

介護の現場において、これからの医療連携の「要」として、ますますその価値は高まっていくでしょう。

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