終活サービスで人生を台無しにした高齢者の共通点とは?

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身寄りない人ら終身サポート

2025/08/23 02:00

日経速報ニュース

【この記事の内容】

終身サポートを信じた結果…避けるべき失敗例とは?

はじめに

介護の現場には、「人の尊厳を最期まで支える」という大切な考え方があります。

これは、単に身体の介助をするだけでなく、その人の生き方や価値観、そして亡くなったあとの過ごし方にも寄り添う姿勢を意味しています。

以前は、こうした支えを家族が当然のように担っていました。

しかし、現代では家族のあり方が多様化し、その役割を第三者のサービスに頼るケースが増えています。

この背景には何があるのでしょうか?

そして、私たち介護職に今、何が求められているのでしょうか?

この記事では、身元保証や任意後見、死後事務委任などの「終身サポートサービス」の実態を踏まえ、介護の現場でできる対応策について具体的に考えていきます。

高齢者を取り巻く孤立の現実とその背景

高齢者が抱える社会的な背景

現代の高齢者を取り巻く環境には、以下のような課題があります。

・一人暮らしの高齢者が増加

2020年の国勢調査では、65歳以上の単身世帯が全体の約25%に達しました。

・家族とのつながりの希薄化

子どもがいても遠方に住んでいたり、関係性が疎遠だったりして頼れないケースが多くあります。

・経済的不安

自分の老後資金を確保するだけで精一杯という人が多く、子どもに迷惑をかけたくないという心理も背景にあります。

このような状況から、「もしもの時」や「亡くなった後」のサポートを、家族以外の誰かに頼りたいと考える高齢者が増えているのです。

終身サポートとは何か?

終身サポート」とは、高齢者が人生の終末期まで安心して過ごすために、さまざまな支援を提供するサービスです。

代表的な内容には以下のようなものがあります。

身元保証:入院や施設入所の際に、保証人としての役割を果たします。

医療・福祉の現場では、いまだに保証人を求めるケースが多く見られます。

任意後見契約:認知症などで判断力が落ちたときに備え、信頼できる第三者に財産管理などを依頼する契約です。

死後事務委任:本人が亡くなった後の手続き(葬儀、納骨、住居の退去、遺品整理など)を第三者が代行します。

遺言書の管理・保管:本人の意思を法的に守り、相続などでのトラブルを防ぎます。

これらは、司法書士などの法律専門職と、介護・福祉の現場で働く専門職が連携して行うことが一般的です。

「家族のような存在」から「契約でつながるパートナー」へ

介護現場には「その人らしさを大切にする個別ケア」という考え方があります。

たとえば、グループホームでは、入居者一人ひとりの生活歴や好みに応じたケアを提供しています。

終身サポートもまさに同じで、利用者の人生観や価値観に寄り添った“オーダーメイドの支援”が必要です。

これは、「契約による家族代替」とも言える、新しい支援のかたちです。

一方で、私たち介護者が救急搬送をサポートする場面では、「保証人がいないから入院できない」といった壁に直面することがあります。

そうした時に身元保証サービスがあると、スムーズな医療対応が可能になります。

このように、家族に代わる存在としての「信頼」を、契約という形で築く時代が到来しているのです。

これは、家族の機能が社会の中で「外注」されつつあるという、社会構造の変化を示しています。

介護者視点での対応策と課題

利用者の不安と向き合うには

【課題】

利用者自身が制度の内容を十分に理解していない

【対応】

パンフレットだけでなく、ケア会議や面談などの場を活用し、なぜ今「終身サポート」が必要なのかを具体的に説明する必要があります。

高齢者の意思を尊重する支援体制の構築

・遺言や死後の手続きなど、話しづらい内容もあります。

しかし、「大切な思い出は捨ててほしくない」「静かに送り出してほしい」という本人の声に、私たちは真摯に耳を傾ける必要があります。

家族・地域視点の課題と対応

家族との関係が希薄なケース

【課題】

財産や死後の処理をめぐって、家族とのトラブルが起きる可能性があります。

【対応】

契約前に家族へ説明し、内容を共有することでトラブルの予防につながります。

地域との連携がカギ

・地域包括支援センターや民生委員などとの連携が必要不可欠です。

しかし、終身サポート事業者が地域に根付いていない場合、情報共有がスムーズにいかないこともあります。

契約時の注意点とリスク

終身サポートの契約には、いくつかの注意点があります。

・サービスの質に差があるため、実績や専門性を確認することが大切です。

・安価なサービスには、遺産を事業者が受け取ることを条件としている場合もあります。

葬儀が簡素化されるなど、本人の意思とズレが生じることもあります。

・契約内容が複雑な場合は、司法書士やケアマネジャーと一緒に内容を確認することをおすすめします。

今後の介護業界に求められる対応

現場では以下のような変化が進んでいます。

・身寄りのない高齢者の増加に伴い、入院や施設入所が困難になるケースが多く見られる

→ 身元保証サービスとの連携体制が必要です。

・認知症による判断力低下で財産管理が不安定になる

→ 任意後見契約に関する支援が求められています。

・死後の手続きに関する混乱が多発

→ 死後事務委任の制度周知と、地域との連携が重要です。

まとめ

介護者としての役割とこれから

結論

終身サポートサービスは、家族機能が弱まる現代において、高齢者を支えるために欠かせない仕組みです。

介護職としては、制度についての知識を持ち、利用者・家族に丁寧に説明する力が求められます。

今後の具体的対応策

・終身サポート事業者と連携できる体制を築く

・利用者や家族と定期的に話し合い、契約内容を共有する

・介護職自身も法的知識を学び、トラブルを未然に防ぐスキルを高める

人生の最期に寄り添う支援は、介護の本質です。

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