2024年義務化なのに…まだBCP訓練してない介護施設が抱えるリスクとは?

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介護施設向けにBCP訓練、

MS&ADインターリスク

総研が講座販売

2025/08/29 05:00

日経速報ニュース

介護施設向けにBCP訓練、MS&ADインターリスク総研が講座販売 - 日本経済新聞
MS&ADインターリスク総研(東京・千代田)は介護施設向けに事業継続計画(BCP)の訓練プログラムの販売を始めた。地震の状況をシミュレーションし、経過時間に合わせて起こる課題を解決できるよう専門講師がプロセスなどを教える。災害時の対応力を向...

【この記事の内容】

やってなかった…介護施設が直面するBCP訓練ミスとは?

はじめに

介護の現場では、予期しない出来事に日々対応しています。

転倒、急変、突然の家族対応など、マニュアルどおりに進まないことがほとんどです。

このような不確実性への対応力は、災害時にも求められる力です。

たとえば地震や台風、水害など、いつ起きるかわからない自然災害も、「想定して動く」ことが重要です。

つまり、日常ケアに災害時対応を組み込む=事業継続計画(BCP)の視点を取り入れることが、介護施設にとって欠かせない取り組みなのです。

「BCP訓練」とは?

介護施設における意味と重要性

BCP(事業継続計画)とはBCPとは、災害や緊急事態が発生しても、介護サービスの提供を途切れさせないための計画です。

たとえ施設が被災しても、利用者の命と生活を守るためには、最低限のサービスを継続できる仕組みが必要です。

なぜ介護施設でのBCPが重要なのか?

高齢者は避難行動が困難であり、災害時の混乱に弱い存在です。

特に以下のような要素が、BCP訓練の重要性を高めています。

・要介護者は自力で避難できないケースが多い

・医療的ケアや服薬の継続が必要

・家族や地域との連携・情報共有が不可欠

つまり、BCP訓練とは、通常業務とは異なる「非常時の介護業務」を職員全員が体得するためのプロセスなのです。

訓練事例:MS&ADインターリスク総研のBCP講座

MS&ADインターリスク総研が提供する

介護施設向けのBCP訓練プログラムは、実践的で柔軟な内容が特徴です。

このプログラムでは、地震発生後の断水や物流ストップといった状況をシミュレーションし、実際に発生しうる課題への対応を学びます。

専門講師による指導付きで、施設ごとの実情に応じて内容のカスタマイズも可能です。

訓練のポイントは以下のとおりです

・所要時間:約2〜3時間

・費用:25万円〜

・カスタマイズ対応:可能

・内容:断水時の対応、物資不足、情報遮断時の行動など

・利用場面:自治体の合同訓練、施設内研修など

短時間で実践的なスキルを身につけられるため、忙しい介護現場でも導入しやすい内容です。

なぜ今、BCP訓練が求められるのか?

高齢者の不安

自分だけ取り残されるのでは?

高齢者の多くは、災害時に「助けが来ないかもしれない」「家族と連絡が取れないかもしれない」という強い不安を抱えています。

この心理的な負担を軽減するためにも、施設側が日頃から備え、安心感を提供することが求められます。

家族の不安

本当にこの施設に預けて大丈夫か?

家族にとっても、災害時に施設がどう対応するかは大きな関心事です。

訓練が実施されていることが明確であれば、家族の信頼獲得にもつながります。

地域社会の役割

施設は地域の避難先にもなりうる

災害時、介護施設は地域住民の避難所や一時避難先として活用されることもあります。

そのため、施設単体での備えではなく、地域と連携したBCPの視点が不可欠です。

介護者の視点で見るBCP訓練の意義

日常業務との接続がカギ

BCPは、日常業務から切り離された「特別なこと」ではなく、普段の介護の延長線上にあるべきものです。

以下のような日常との接続が大切です。

・避難経路の事前確認

・薬の在庫と配布リストの準備

・車椅子やストレッチャーでの避難訓練

・非常食・水分補給の手順

こうした内容を「実際にやってみる」訓練こそ、実効性のあるBCPに直結します。

外圧的背景:BCP義務化の流れ

2024年から、介護施設におけるBCPの策定・訓練は義務化されました。

これは以下のような背景によるものです。

・高齢化の進行により災害時のリスクが上昇

・過去の災害で介護施設が甚大な被害を受けた

・国や自治体が「福祉避難所」の整備を重視

このように、外部環境の変化に対応するためにも、BCP訓練の実施が急がれているのです。

現場の課題と対応策:BCP訓練で何が変わるか?

BCP訓練を導入することで、介護現場のさまざまな課題に対応できます。

介護職員の課題:人手不足で訓練時間が取れない

→ 短時間訓練・動画教材で対応

高齢者の課題:不安や混乱

→ 繰り返し説明し、安心感を提供

家族の課題:施設への信頼不足

→ 訓練実施報告を共有し、信頼構築

地域の課題:施設との連携不足

→ 自治体や周辺医療機関と訓練を通じて連携強化

結論

BCP訓練は「災害対応」ではなく「生活支援」

BCP訓練は単なる危機管理ではありません。

それは、災害時であっても「利用者が普段と変わらない生活を続けられるようにするための支援」です。

介護者として、私はこう考えます。

・「BCPは命をつなぐ技術

・「訓練は信頼関係を築く時間

・「備えることがケアの一部

BCPは災害時だけのものではなく、利用者の暮らしを継続するための“介護の質”そのものです。

これからの介護施設には、この視点が不可欠です。

【まとめ】

・BCP訓練は介護の延長線上にある命を守る手段

・短時間・実践的な訓練は導入しやすく有効

・介護者・高齢者・家族・地域、すべての安心につながる

・BCPの整備は義務ではなく責任・平時の備えが、有事の命綱になる

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