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東北大、
武士の礼法に基づく
しゃがんで立つ動作を用いた
トレーニングで
脚筋力が向上することを確認
2025/09/01 16:04
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『1日5分でもやらないと危険!高齢者の筋力が25%減る生活パターンとは?』
はじめに
介護分野には、「日常動作に機能訓練を組み込む」という重要な考え方があります。
リハビリのように特別な時間を設けるのではなく、普段の生活動作そのものを見直すことで、自然と筋力を維持・強化しようという取り組みです。
この考え方を体現するかのような研究成果が、東北大学から発表されました。
それは、かつて武士が日々の礼法として行っていた「しゃがんで立つ動作」が、高齢者の脚筋力を大きく向上させる可能性を秘めているというものです。
礼法を応用した動作で、脚の筋力が平均25%アップ1日たった5分、3か月で実証された効果東北大学の研究チームは、武士の礼法に基づいた「反動をつけずにゆっくりしゃがんで立つ動作」を3か月間継続して行うことで、脚の筋力が平均25%以上向上したと報告しました。
この動作は、小笠原流礼法をベースにしたもので、かつての武士が毎日行っていた所作を現代風にアレンジしたものです。
1日たった5分の実施で、ここまでの成果が出る点は、介護や地域の現場でも導入しやすく、大きな可能性を秘めています。
なぜ高齢者は脚の筋力が衰えるのか?
加齢に伴う自然な変化
70歳を超えると、誰でも年間1〜2%ずつ筋肉量が減少すると言われています。
特に脚の筋肉は、身体全体を支えるために重要で、衰えると以下のようなリスクが高まります。
・転倒・骨折の危険性
・寝たきりや介護状態への進行
・外出や趣味活動の制限
心理的なハードルも大きい多くの高齢者は、「運動=つらいもの」と感じがちです。
・膝や腰を痛めそうで不安
・続けられる自信がない
・何をすればいいか分からない
そんな方にとって、「武士の所作」という伝統的で誇りを感じられる動きは、心理的な壁を越えるための鍵になるかもしれません。

介護現場における実践のヒント
「歩行」よりも「立ち上がり」支援が多い
介護の現場では、「立ち上がり」の支援が特に多く見られます。
トイレ、ベッド、椅子…これらすべてに「しゃがんで立つ」動作が含まれています。
つまりこの動作を鍛えることは、自立度を高める最も重要な要素の一つと言えるのです。
視点別に見る課題と解決策
介護者の視点
負担の軽減と安全確保
・筋力がつけば転倒事故のリスクが下がり、介護の負担も軽減
・自立度が高まることで、精神的・肉体的なゆとりが生まれる
高齢者の視点
文化と健康の融合
・日本の文化的背景がモチベーションに
・所作としての動きなら、運動が苦手でも取り入れやすい
・筋力が戻れば外出や趣味が楽しめるようになる
家族の視点
自宅での実践と見守り
・自宅でも一緒にできる動作で、家族の関わりが増える
・簡単に取り組めるため、継続的な支援が可能
地域の視点
予防活動への応用
・地域包括支援センターの介護予防教室に導入可能
・和文化に親しみのある高齢者へのアプローチに最適
・地域全体の健康づくり施策として展開できる
ビジネスの視点で見る
所作=“生活の中のリハビリ”
ビジネスの現場では、「業務の中に学びを組み込む」という発想があります。
これは、研修や勉強会だけでなく、日々の業務そのものがスキルアップの場になるという考え方です。
これと同じく、介護においても「日常生活そのものがトレーニングになる」視点が重要です。
つまり、武士の礼法に学ぶ動きは、生活リハビリという形で現代に転用できるのです。
介護の現場で起こっている課題
・低介護度の高齢者でも筋力低下が早い
・運動の重要性が伝わらない、行動に移せない
・通所施設では運動の時間が限られている
・職員によってリハビリの知識や実践力に差がある
・家庭や地域でのサポートが乏しい
こうした課題に対して、「礼法を応用した動作」は、
・誰でも指導可能で、特別な設備が不要
・日本文化への親しみで参加意欲を引き出しやすい
・家庭でも地域でも継続可能という特徴を持っており、極めて有効な手段となり得ます。

まとめ
伝統の所作を、未来の介護に
結論
高齢者の脚筋力を維持
・向上させるには、「生活リハビリ」の視点で日常に取り入れられる工夫が必要です。
理由
東北大学の研究では、武士の礼法を活かした動作が、1日たった5分の実施でも脚筋力を25%以上改善する効果があることが明らかになりました。
具体例
介護現場においても、立ち上がり動作の質が改善されれば、転倒リスクが減り、介助者の負担も軽減されます。
そして何より、日本の伝統に触れることで、高齢者自身の誇りや喜びが生まれるのです。



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