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アサヒG食品、介護食を刷新
「ソーキそば」などご当地品も
2025/09/05 18:41
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『認知症リスクも関係?QOLを下げる食生活の兆候とは』
はじめに
介護における「QOL」の本当の意味とは
介護の現場では、「QOL(Quality of Life:生活の質)」という考え方が重視されます。
これは単に「生きているかどうか」ではなく、「どう生きるか」に焦点を当てるものです。
QOLとは、医療面だけでなく、食事、住環境、人間関係といった日常のすべてを含む広い概念です。
その中で、「介護食」も大きな役割を担っています。
たとえば、高齢者の方が「若い頃に沖縄旅行で食べたソーキそばが忘れられない」と話すことがあります。
この思い出に近い味を再現した介護食を提供できたなら、それは栄養補給以上の価値を持ちます。
過去の幸せな記憶とつながる「人生の彩り」となるのです。
こうした発想から誕生したのが、アサヒグループ食品の「まんぷく日和」シリーズです。
これは、ただの食事ではなく、“記憶”と“今”をつなぐ、新しい介護食のかたちです。
介護食の進化:「制限された食事」から「楽しめる食事」へ
■ かつての介護食が抱えていた課題
介護食には、以下のようなネガティブな印象がつきまとっていました。
・見た目が悪く、食欲がわかない
・味が薄く、楽しめない
・食べること自体が苦痛に感じる
・レトルト感が強く、家庭の温かさがない
■「まんぷく日和」が目指す介護食の新しいスタンダード
こうした課題に対して「まんぷく日和」は明確にアプローチしています。
・彩りと香りにこだわり、見た目と嗅覚から食欲を刺激
・ご当地料理や洋食など、食の楽しみを広げる多彩なメニュー
・噛む力に応じた4段階のやわらかさ表示で安心設計
・「思い出の味」を再現したレシピで心にも響く
ご当地料理や洋食が介護食に必要な理由
高齢者にとって、「食べる喜び」は単なる栄養補給だけではありません。
むしろ「記憶と感情を呼び起こす体験」が、食事の価値を高めます。
たとえば
ソーキそば:若い頃に沖縄旅行で味わった記憶
ポトフ:子どもと一緒に行ったヨーロッパ旅行の思い出
ナポリタン:昭和の喫茶店での青春の一コマ
こうした料理は、「その人の人生」を思い出させる“食の記憶”を呼び覚ます手がかりになります。
食べやすさの「見える化」:4段階の表示で介護者をサポート
介護現場では、「この人に合った食事はどのレベルか?」を判断すること自体が負担になります。
「まんぷく日和」では、以下の4段階表示を導入し、誰にでも分かりやすく食事のやわらかさを伝えています。
1. かまなくてよい:ゼリー・ペースト状(嚥下障害がある方)
2. 歯ぐきでつぶせる:柔らかく煮込んだ料理(噛む力が弱い方)
3. 舌でつぶせる:極めて柔らかい食感(噛むのが困難な方)
4. 歯でかめる:やや柔らかい通常食(噛む力がある方)
このように視覚でわかる分類は、介護者の不安や手間を減らし、選びやすさと安心感を提供します。
【視点別】介護食の課題と「まんぷく日和」の対応
■ 介護者の視点
課題
・毎日の献立に悩む
・食事準備に時間がかかる
・食欲がない利用者への対応が難しい
対応
・レトルトでも彩りと香りで食欲を刺激
・ご当地料理は会話のきっかけにもなり、食事が楽しい時間に
■ 高齢者の視点
課題
・食べる楽しみがなくなる
・噛めない
・飲み込みづらい
・食事が苦痛になりがち
対応
・思い出の味が「心の満足感」を提供
・食べやすさの段階表示で無理なく楽しめる
■ 家族の視点
課題
・適切な食事がわからない
・忙しくて手間がかけられない
・好みを把握できない
対応
・パッケージ表示で簡単に判断可能
・ご当地メニューで会話が生まれ、食卓が明るくなる
■ 地域・社会の視点
課題
・介護食への理解が浅い
・介護が家庭に閉じこもりがち
・高齢者の孤食(ひとりご飯)問題
対応
・地域イベントで介護食を体験できる機会の創出
・地元食材とのコラボで地域全体が介護を支える動きに
介護福祉の最前線で起きていること
現場の中には、こんな課題が日々起きています。
・利用者から「またこれ?」と食事への飽きが出ている
・若手職員が食事の工夫に悩んでいる
・誤嚥リスクを恐れて単調な食事に偏りがち
・「食べること」自体に意欲がわかない高齢者が増えている
こうした中で、見た目が美しく、香りも豊かな食事は、会話のきっかけになり、介助者と利用者の関係性も変えていきます。

結論
「介護食」は“制限食”から“人生を彩る食”へ
以前の介護食は「安全・食べやすさ」だけが重視され、味や見た目は後回しでした。しかし今、介護食は進化しています。
アサヒグループ食品のような企業が、「人生を語れる食事」の可能性を広げているのです。
・食事は人生の記憶を呼び覚ます大切な時間
・食事は「その人らしさ」を支える生活の柱
・介護食は、食べられる喜びと誇りを取り戻す手段
最後に:食事は「生きる」ためだけでなく、「生きがい」そのもの
現場で働く介護者として痛感するのは、「食べること」は命をつなぐ行為以上の意味を持つということです。
それは
・会話が生まれる時間
・自分らしさを取り戻す時間
・「明日もまた食べたい」と思える希望
私たち介護者は、この時間を支え、「食べる喜び」を守るパートナーでありたいと思います。



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