介護者が追い詰められる理由…医療費の“見えない負担増”現実とは?

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「応能負担の徹底を」 

諮問会議の民間議員

2025/12/05 19:01

日経速報ニュース

医療・介護費「応能負担の徹底を」 諮問会議の民間議員 - 日本経済新聞
政府は5日、経済財政諮問会議で社会保障分野の2026年度予算編成方針について議論した。4人の民間議員は連名で、医療や介護など社会保障関係費に物価高や賃上げを適切に反映するよう提起した。高齢者を念頭に金融資産などを反映した応能負担も徹底し、現...

【この記事の内容】

家族が壊れる前に知るべき“医療費の落とし穴”危険サインとは?

はじめに

介護分野には「自立支援」という考え方があります。

これは「できることは自分で行い、できない部分は周囲が支える」という仕組みですが、医療費や介護費の負担の仕組みも本質的には同じ構造を持っています。

つまり、誰がどれだけ負担するかを能力に応じて調整する“応能負担”という発想は、自立支援を抽象化した先にある考え方といえます。

本記事では、介護者としての実感に加え、高齢者・家族・地域社会の視点も踏まえながら、「医療費窓口負担を年齢ではなく、能力に合わせて公平にするにはどうすべきか」を考察します。

年齢ではなく能力で負担を考えるべき背景

結論として、医療費窓口負担は“年齢”ではなく“所得や資産”を基準にすることが必要になっています。

その理由は、2026年度に向けた社会保障制度の見直しが進む中で、物価上昇、賃上げ、人口構造の変化など、さまざまな要素が同時に変化しているためです。

かつての「高齢者は一律で負担を軽くする」という発想が、現実の社会状況に合わなくなりつつあります。

背景としては、次のような状況があります。

・働き続ける高齢者が増え、70代の就業も珍しくない

・高齢者の金融資産は平均で約2,000万円と言われ、持っている人と持っていない人の差が大きい

・20~60代の現役世代の負担が限界に近づいている

・医療費は毎年1兆円規模で増え続けている

・市販薬に近い薬(OTC類似薬)や高額療養費制度などの見直し

議論が本格化しているこれらを俯瞰すると、「年齢が何歳だから負担を軽くする」という仕組みは持続できず、能力に合わせた負担へ転換することが不可避だといえます。

自立支援の構造から見る応能負担の意味

介護の自立支援には、次のような流れがあります。

① 抽象化:人によってできること・できないことは異なる

② 転用:できる範囲の努力や負担は自分で行う

③ 具象化:どうしてもできない部分は制度や他者が支える

この流れを医療費の窓口負担に置き換えると、次のように説明できます。

・年齢だけで負担を軽くするのは、「現状に合わせた支援」という自立支援の理念に反する

・所得の高い高齢者と生活が苦しい現役世代が同じ負担体系では不公平

・負担能力に応じて調整すれば、制度全体が長く続く

つまり、応能負担は“制度の自立支援”であり、社会全体で持続可能性を高めるための仕組みだと理解できます。

介護者の立場から見える課題とその向き合い方

【課題】

・家計が厳しく、医療費負担が生活費を圧迫する

・高齢者本人に資産があっても、実際に支払うのは家族というケースが多い

・医療費が増えることで介護サービスの利用を控えざるを得ないことがある

【対応策】

・世帯全体の所得・資産を踏まえた負担判定の導入

・医療費と介護費をまとめて見直す仕組みづくり

・家計が厳しい介護者に対する相談・補助制度の強化

高齢者の視点から見える課題と対応

【課題】

・「高齢者は負担が軽いはず」という心理的な前提が強い

・年金が減っており、負担増に対して不安が大きい

・自宅はあるが収入が少ないなど、資産を使いにくい場合が多い

【対応策】

・負担増だけを伝えるのではなく、支援拡充とセットで説明する

・リバースモーゲージなど、資産を生活に活かす仕組みを広げる

・健康寿命を延ばす取り組みを地域で強化する

家族視点の課題と対応

【課題】

・通院の付き添いに時間がかかり、働き方に影響する

・医療費の増加が家計に直結し、介護離職のリスクが高まる

・将来の医療費が読めず、長期的な家計計画が難しい

【対応策】

・医療費と介護費を予測できる仕組みを広げる

・在宅医療やオンライン診療で通院の負担を減らす

・介護保険サービスとの連携を家族が理解しやすくするガイドの充実

地域の視点から見える課題と対応

【課題】

・高齢者の多い地域では医療費が急増しやすい

・医療機関の負担が大きく、地域包括ケアが機能しにくくなる

・認知症高齢者の受診や服薬管理が地域課題になっている

【対応策】

・過剰受診を防ぐため、薬の見直しを進める

・ケアマネや訪問看護と医療機関の連携を強化する

・住民の予防活動を支援し、健康寿命をのばす取り組みを進める

介護福祉の現場で実際に起きていること

・介護職員の待遇改善は進むが、人手不足は続いている

・健康寿命は延びる一方で、認知症の増加により医療との連携ニーズが拡大している

・高齢者の通院回数が多く、付き添う介護者の負担も増えている

・服薬管理や栄養管理など、医療と介護の境界部分に課題が集中

・介護保険の利用者負担が増える可能性があり、負担調整の議論が進んでいる

・家族の介護力が低下し、地域で支える体制づくりが最重要課題になっている

これらはすべて、医療費窓口負担の改革と深くつながっています。

結論

年齢に依らない応能負担をどう受け止めるべきか

介護者として大切なポイントは次の2点です。

① 年齢ではなく「負担能力に応じた負担」にすることは公平性を高める

・資産や収入がある高齢者は一定の負担を担うべき

・現役世代の負担を軽くすることが、結果として高齢者自身の利益にもつながる

② 負担増だけでなく「支援の仕組み」を同時に整える必要がある

・医療と介護のつながりを強める

・介護者を支える制度を充実させる

・高齢者の生活を安定させる支援を増やす

・地域包括ケアを強化する

応能負担は“痛みを伴う改革”と言われますが、介護の視点で見れば「自立するための支援を適切に調整する」ことに近い考え方です。

介護者、高齢者、家族、地域が互いに支え合い、持続可能な医療・介護制度を築いていくこと。

それこそが、応能負担の本来の目的だといえます。

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