刑務所が最後の居場所?高齢受刑者問題から見える介護の限界とは

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福祉ケア注力の女性刑務所、

東京・昭島に開設へ 

法務省が27年度に

2026/01/04 23:32

日経速報ニュース

福祉ケア重視の女性刑務所 東京・昭島に27年度開設 高齢者ら対象 - 日本経済新聞
法務省は2027年4月、知的障害があったり高齢でリハビリが必要だったりする女性受刑者を集中的に受け入れる新たな刑務所を東京都昭島市に設ける。受刑者に合わせたきめ細かい処遇を目指す拘禁刑が25年6月に導入されたのを踏まえ、刑務作業よりも福祉的...

【この記事の内容】

なぜ高齢受刑者は増え続けるのか?介護現場と酷似する現実とは

はじめに

介護分野では、「その人がどのような人生を歩み、今どのような生活機能を持っているのかに合わせて環境を整える」という基本的な考え方があります。

これは、介護サービスを提供する際に「年齢」や「病名」だけで判断せず、「その人らしい生活」を軸に支援を組み立てるという発想です。

この考え方を高齢受刑者の処遇に当てはめてみると、従来の刑罰を中心とした対応から、福祉を軸にした支援へと大きく転換する必要性が見えてきます。

つまり、高齢受刑者を「管理する対象」としてではなく、「生活に支援が必要な高齢者」として捉え直す視点が求められているのです。

とくに、介護や医療の支援を必要とする高齢受刑者に対しては、介護・医療・矯正をそれぞれ別のものとして扱うのではなく、生活全体を支える一つの仕組みとして再構築することが、現実的かつ持続可能な対応策だといえます。

高齢受刑者が増加する背景と心境の考察

高齢受刑者が増えている背景には、複数の社会課題が重なっています。

社会全体の高齢化が進み、独り暮らしの高齢者が増加する一方で、認知症や知的障害が早期に発見されないまま生活困窮に陥るケースも少なくありません。

さらに、家族や地域による見守り機能が弱まり、孤立した結果として犯罪に至ってしまう高齢者も存在します。

これらの背景は、私たちが日々向き合っている介護現場の課題と非常によく似ています。

在宅介護が限界を迎え、結果的に施設入所に至る高齢者と、高齢受刑者が刑務所に至る過程は、本質的には「支援が届くタイミングの違い」に過ぎないともいえます。

高齢受刑者本人が抱える心境

高齢受刑者の心境は、一般の高齢者と大きく変わりません。

周囲に迷惑をかけてしまった」という後悔や罪悪感、思うように動かない身体への不安、支援を受けることへの遠慮、そして社会から切り離されたような孤独感を抱えています。

刑務所という閉鎖された環境では、こうした感情がさらに強まりやすくなります。

この状態は、介護施設に入所した直後の高齢者が感じる不安や戸惑いと非常に近いものがあります。

環境の変化に適応できるかどうかが、その後の生活の質を大きく左右する点も共通しています。

福祉ケア重視の考え方を刑務所に当てはめる

ビジネス転用で「一律のマニュアル管理から、顧客ごとのカスタマイズ対応へ移行できた企業ほど成長する」と考えることがあります。

高齢受刑者の処遇も同様で、一律の管理を続ける限り、課題は解決しません。

福祉的な視点に立つと、処遇の軸は「管理」から「支援」へ、「作業」から「生活機能の回復」へと移ります。

これは介護分野で重視されている、国際生活機能分類(ICF)の考え方と一致します。

身体機能だけでなく、生活動作や社会参加まで含めて支援を考える視点です。

介護現場との共通点から見える具体的対応

介護福祉の現場では、利用者の状態に応じたケアプランを作成し、リハビリ職や医療職と連携しながら支援を行っています。

自立を促すために、できることは本人に任せ、必要な部分だけを支援するという姿勢も共通しています。

この考え方を刑務所に転用すると、身体介護が必要な人には専門的な介助を提供し、歩行や日常動作の訓練、認知機能への働きかけ、慢性疾患への継続的な医療対応が必要になります。

また、洗濯や掃除、金銭管理といった生活訓練を通じて、出所後の生活を見据えた支援を行うことも重要です。

不安や孤立感に対しては、傾聴を中心とした心理的支援が欠かせません。 

介護者視点で見た課題と対応

介護者の立場から見ると、受刑者という立場への心理的な距離感や、トラブルへの不安、認知症や精神疾患への対応力不足といった課題が想定されます。

これに対しては、介護福祉士や作業療法士など専門職の配置、矯正職員との役割分担の明確化、そしてチームで支える体制づくりが有効です。

これは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設で新人職員を育成する際の考え方と本質的に同じです。

家族と地域の視点から考える支援

家族は「なぜ支えきれなかったのか」という自責の念や、世間体への不安、出所後の生活をどう支えるかという現実的な恐怖を抱えています。

そのため、家族向けの相談窓口を設け、出所前から生活設計を一緒に考え、介護保険や生活保護といった制度につなげる支援が必要です。

地域においても、受け入れ先不足や住民の不安、支援の担い手不足といった課題があります。

地域包括支援センターや高齢者施設、民生委員、社会福祉協議会が連携し、出所後を見据えた支援体制を整えることが重要になります。

まとめ

介護者の視点で見ると、高齢受刑者への福祉的処遇は決して特別な問題ではありません。

それは、これまで支援が届かなかった高齢者に対する、社会としての最後のセーフティネットです。

刑務所を「罰を与える場所」から「再び生活を立て直すための場所」へと転換することは、介護福祉業界が直面している課題とも重なります。

高齢受刑者への処遇を考えることは、私たち自身の老後や、地域で高齢者をどう支えるかという未来の社会像を見直すことにつながっているのです。

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