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「介護保険優先」と初判断
65歳障害給付却下で最高裁
2025/07/17 19:14
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『「家計が崩壊!?」介護と障害のはざまで直面する費用リスクとは?』
はじめに
介護の現場では、「ライフステージによる制度の区切りが、支援の連続性を断ち切ってしまう」という課題があります。
これは、バリアフリーに対応していない駅で、車いす利用者が電車を乗り継げない状況に似ています。
本人は“まだ乗っていたい”と思っていても、年齢という理由だけで乗り換えを強制されてしまうのです。
今回は、65歳以上になると障害福祉サービスから介護保険へと一律に移行させられる「65歳の壁」について考えます。
最高裁が初めて「介護保険を優先する」と判断したことを受けて、介護者や家族、そして地域社会がどのように備えるべきかを具体的に探ります。
「65歳の壁」とは何か?
障害のある人が65歳を迎えると、それまで利用していた障害者総合支援法による福祉サービスから、介護保険制度へと自動的に切り替えられます。
これは「制度の乗り換え」であり、以下のような問題が発生します。
・自己負担が増える可能性
・必要な支援内容が変わり、満足にサービスが受けられない
・支援者が変わることで利用者に不安や混乱が生じる制度間の違いも背景にあります。
障害者総合支援法
18歳以上の障害者が対象。
自己負担は原則1割(収入により軽減あり)。
介護保険
65歳以上(または特定疾病のある40歳以上)が対象。
自己負担は1~3割(軽減要件は厳格)。
最高裁の判断とそのギャップ
2024年、最高裁は「制度上、介護保険を優先するのが妥当」と初めて判断しました。
しかしこの判断は、現場の実態や利用者の心情とは大きくずれています。
・「慣れたサービスが使えなくなる」ことへの喪失感
・自己負担増による生活不安
・選択肢が奪われることへの抵抗感
制度は理屈でできていても、支援は感情にも関わるものです。

介護者の視点:混乱を避けるために
課題
・制度の切り替えによる支援体制の混乱
・利用者の費用負担が急増する可能性
・ケアマネジャーに専門的知識と判断が求められる
対策
・両制度の違いを事前に把握しておく
・65歳前後に、併用の可能性を専門職に相談する
・生活保護や福祉貸付制度など、公的支援策を活用する
家族の視点:生活への影響をどう乗り越えるか
課題
・サービスが減り、介護の負担が増える
・経済的・精神的なストレスが大きい
対策
・地域ごとのサービス内容や負担額を早めに調べる
・地域包括支援センターに定期的に相談する
・成年後見制度など、法的・制度的な備えを検討する

地域の視点:制度のはざまを埋める支援体制づくり
課題
・制度の移行により支援からこぼれ落ちる高齢障害者の増加
・地方では支援の選択肢が少なくなる傾向
対策
・地域包括支援センターが介護・福祉両制度を
・横断的に扱う体制整備
・地域ケア会議での柔軟な対応と個別検討
・民間やNPOによる繋ぎ支援の充実
現場で実際に起きている問題
筆者の体験で以下のような実例が確認されています。
・介護保険に切り替わると訪問介護の回数が減少(要介護認定に左右される)
・重度障害者が通所できる施設が見つからない(介護施設の受け入れに限界)
・書類手続きが煩雑で家族に大きな負担
・「65歳で自動的に切り替わる」という誤解により、突然支援が途絶えることも

結論:情報と準備が壁を越える力になる
「65歳の壁」は制度上のものであり、利用者の人生そのものに壁があるわけではありません。
その影響を最小限に抑えるためには
・65歳になる前に制度の違いと影響を理解しておくこと
・早期から専門職と連携し、備えること
・公的支援や地域資源をフル活用して負担を軽減すること
そして最も大切なのは、「制度を変える力は現場の声にある」という意識です。
家族、支援者、地域が連携し、制度の壁を超えていく取り組みが、未来のより良い支援環境をつくります。
「年齢が変わっても、支援の必要は変わらない」人生に“乗り換えの壁”があってはなりません。



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