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難病ALSと生きる
笑って人の輪へ
2025/08/08 15:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『9割が知らない!ALS介護に必要な“心のケア”とは?』
はじめに
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、筋肉が徐々に動かなくなり、最終的には呼吸にも支障をきたす進行性の難病です。
しかし、この病気を単なる医療的な「治療の対象」として見るだけでは、患者の人生を十分に支えることはできません。
年齢や病状に関わらず、「今をどう過ごしたいか」を中心に支援していく姿勢が、本人のQOL(生活の質)を大きく左右します。
難病ALSと向き合う高齢者の心の変化とは
ALSと診断された直後、ほとんどの方が大きなショックを受けます。
体が徐々に動かなくなること、家族に負担をかけてしまうこと、そして社会とのつながりが断たれていくことへの不安と恐怖は計り知れません。
しかし、あるALS当事者はこう語っています。
「仲間やつながりを増やすことが、生きる希望になった。」
この言葉の背景には、「何ができるか」よりも「誰とどう関わるか」が、自分の存在価値になっていくという心境の変化があります。
仕事や役割を失っても、人との関係性の中で自分を再発見することができるのです。
介護者視点での対応
ただの介助ではなく、心に寄り添う支援をALSの介護は、単に体を支えるだけでは成り立ちません。
日々変化する症状に対応しながら、本人の気持ちに寄り添ったサポートが求められます。
主な課題と対応方法
1. 24時間体制の見守りが必要
ALS患者は、吸引や体位変換など夜間を含むサポートが欠かせません。
対応策
地域の訪問介護との連携を強化するか、独自に介護ステーションなどの体制を整備することで柔軟な支援が可能になります。
2. コミュニケーションの難しさ
話すことが困難になる中でも、感情や意思を伝えたいという思いは変わりません。
対応策
透明文字盤や視線入力機器を活用し、「伝えたい気持ち」に耳を傾ける姿勢が大切です。
3. 介護者自身の疲弊
長時間の介助や精神的ストレスにより、介護者が燃え尽きるケースも少なくありません。
対応策
介護者の交代制導入や、ピアサポート(介護者同士の交流)を通じて、負担を分散する仕組みづくりが必要です。

高齢者視点
心が自由であることが希望になる
身体が不自由になっても、「心の自由」は誰にも奪えません。
ALSと共に生きる高齢者にとって、生きがいはごく小さな楽しみの中にあります。
たとえば、好きだったラーメンをミキサーで食べられる形にしてもらうことや、電動車椅子での散歩、若い世代との交流、日々の中で「ありがとう」「好き」と言える時間。
こうした経験が、明日を生きるエネルギーになります。
大切なのは「できないこと」に注目するのではなく、「まだできること」を見つけ続けることです。
家族視点
支え合う工夫が笑顔を生む
ALSの介護は、家族にとっても大きな負担です。特に配偶者が主な介護者である場合、その精神的・肉体的負担は計り知れません。
家族の支援に必要な視点
感情を安心して表現できる場の確保
・家族会やオンラインのコミュニティが、孤独や不安を共有する場になります。
レスパイトケア(休息)の提供
・一時的に介護を代替してもらえるサービスで、家族が自分を取り戻す時間を確保できます。
日常の中に「笑い」を取り戻す工夫
・映画、音楽、旅行といった「楽しみ」の時間が、心のエネルギーを充電してくれます。

地域視点
孤立させない仕組みが重要
ALSのように重度の介護が必要な病では、「家庭内のケア」だけでなく「地域全体での支援体制」が必要です。
地域に求められるアプローチ
・若者や学生の介護体験を促進
福祉教育の中で介護体験の機会を設け、将来的な人材確保につなげる。
・医療と介護の連携強化
在宅医療と訪問看護がスムーズに連携できるよう、地域協議体を整備する。
・社会参加の場を広げる
地域イベントや外出支援制度を整えることで、ALS当事者が「地域の一員」として暮らせるようにする。
笑顔と感謝が、人生を照らす力になる介護の現場では、「空元気でもいい、笑ってみせることで周囲が変わる」という言葉があります。
ALSとともに生きる人々は、苦しい中でも笑顔を忘れず、感謝の言葉を口にします。
その姿は、介護する側にも勇気を与え、「人とのつながりの輪」を広げる原動力になります。

結論
介護者としての在り方とは
ALSの介護は困難の連続です。
しかし、必要なのは技術以上に「その人の人生を尊重する心」です。
私たちが取るべき姿勢は、次の通りです。
・患者の心の変化に寄り添い、共に歩むこと
・意思を伝える手段を確保し、「伝えたい」を叶える支援
・地域や社会とのつながりを維持する環境づくり
・介護者や家族が孤立しないように、支え合うネットワークの構築
ALSとともに生きる方々は、身体が不自由になっても「人」としての尊厳を持ち続けたいと願っています。
その思いに応えることこそが、介護者の使命なのです。



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