高齢者の『死にたい』が示す隠された危険サインとは?心理背景と介護者の対応法

介護

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「早く死にたい」患者の真意は 

向き合い方、

自問繰り返すも結論出ず

2025/11/30 02:00

日経速報ニュース

「早く死にたい」患者の真意は 向き合い方、自問繰り返すも結論出ず - 日本経済新聞
こんにちは。皮膚科医・内科医の織田うさこです。訪問診療をしていると時々、心にずしんと響く言葉を掛けられることがあります。ある患者さんは、私が行くと毎回、「早く死にたい」「殺してくれ」と口にします。80歳代の独居の男性です。私が「こんにちは」...

【この記事の内容】

あなたの介護が間違っているかもしれない!死にたいを正しく受け止めるためのステップとは?

はじめに

介護の現場には、「パーソンセンタードケア(その人中心のケア)」という理念があります。

これは、単に患者の症状を治療するのではなく、患者一人ひとりの背景や価値観を理解し、その人に合った支援を行うという考え方です。

例えば、介護現場で「死にたい」という言葉を耳にすることがあります。

この言葉を単に死を望んでいると受け取るのではなく、生きる力が尽き、どう生きていくべきかがわからないという気持ちの表れだと捉え直すことが大切です。

他の業種思考の活用

この考え方を仕事に応用する場合、次の3つのステップに分けて考えます。

抽象化:患者が抱える根本的な問題を理解する

具象化:その問題が日常生活の中でどのように現れるかを把握する

転用:これを介護の実践にどう活かすかを考える

このように、抽象的な問題を具象化し、具体的なケアに繋げることで、患者の真意をより深く理解し、効果的な支援ができるようになります。

高齢者が「死にたい」と言う背後にある心理

介護現場では、次のような言葉をよく耳にします。

・「早く死にたい

・「こんな体じゃ意味がない

・「迷惑をかけてばかりだ

こうした言葉は、表面的には「死を望んでいる」と受け取られがちですが、実際には「生きる力を失った」という心の疲れや孤独感の表現であることが多いのです。

高齢者の心理背景に共通する点

高齢者が感じる「生きる疲れ」の背景には、以下のような心情がよく見られます。

役割の喪失:かつて家族を支えていたが、今はその役割を失った感覚

身体機能の低下:思うように体が動かず、自由を奪われた感じ

他者への遠慮:他人に迷惑をかけたくないという強い思い

孤独感:日常生活の中で孤独を感じることが多くなる

変化への抵抗:完璧主義や強い自己期待が、老いや病気を受け入れにくくする

これらは、元気だった頃の自分を知っている人にとって、老いがどれだけ辛いものかを示しています。

介護者としての適切な対応方法

介護者としての役割は、単に身体的なケアを提供することだけではありません。

心理的なケア、すなわち「関係性のケア」も非常に重要です。

高齢者が「死にたい」と言ったとき、最も大切なのはその言葉を否定するのではなく、その背後にある心情を理解し、寄り添うことです。

「聞く」ことの重要性

感情の安全地帯を提供:高齢者が自分の気持ちを自由に表現できる場所を作る

安心感を与える:話を聞くことで、本人が受け入れられていると感じる

信頼関係を深める:共感し、理解を示すことで、さらに深い話を引き出せる

介護者が避けるべき行動は次の通りです

・「そんなこと言わないで」と即否定すること

・「もっと頑張りましょう」と過剰に励ますこと

・「家族が心配しますよ」と相手を責めること

・話題を無理に変えること

これらは、一見正しいように思えても、高齢者にとっては自分の感情を封じ込められたと感じさせ、逆効果になることがあります。

高齢者が抱える生きる意味の喪失

高齢者が「死にたい」と感じるのは、単に身体的な不調だけではなく、人生に対する意味を見失うことから来るものです。

この意味の喪失は、次の3つのレベルで表れます。

外的な要因:社会の高齢者への期待や価値観、専門的な医療介護への依存が高まる

心理的な要因:役割の喪失、孤独感、自己価値の低下

具体的な生活:朝起きても目標がない、趣味ができない、身体的な不自由さから自信を失う

これらの積み重ねが、最終的に「生きる力を失った」と感じさせ、死にたいという言葉として現れます。

家族が抱える葛藤

家族は、介護者として高齢者の「死にたい」という言葉をどう受け止めるべきか、悩むことが多いです。

次のような感情が湧き上がることがあります。

・どう返答すればいいのか分からない

・励ますべきか、受け止めるべきか

・心の中でどんどん疲れていく

・自分の介護負担が評価されていないように感じる

このような家族の感情には、「罪悪感の軽減」や、介護負担を軽減する仕組み作りが重要です。

家族だけで全てを背負うのではなく、地域や専門家と連携しながら支援することが大切です。

地域でできる支援地域

社会にも大きな役割があります。

高齢者の「死にたい」という言葉は、孤立を感じているサインであることが多いため、地域全体で支える仕組みが求められます。

地域でできる支援は以下の通りです。

・高齢者の孤立を防ぐための見守り活動

・外出支援サービスの強化

・高齢者同士が交流できる場の提供(サロンなど)

・生活支援のコーディネートと相談窓口の設置

地域全体で高齢者を支えることで、孤独感を和らげ、生活の質を向上させることができます。

介護者の実務に役立つ対応方法

介護者は、日々のケアの中で高齢者が抱える感情に寄り添い、次のような対応を心がけることが重要です。

言葉を否定しない:高齢者が感じていることをそのまま受け入れる

感情の翻訳を試みる:例えば、「身体の不調が辛いのか?」と感情を言葉にする

小さな成功体験を作る:簡単な作業を共にやり、自己肯定感を高める

社会的つながりをつくる:地域やオンラインでの交流をサポートする

介護者自身の感情ケア:ストレスや疲れをため込まず、他の専門家や仲間と相談する

介護職は、単に身体的ケアをするだけでなく、心の支えを作る重要な役割も担っています。

まとめ

介護者としてできること

高齢者の「死にたい」という言葉は、生きる力を失った心のSOSです。

介護者として大切なのは、

・答えが一つでなくても寄り添い続けること

・気持ちの変化を共有し、聴き続けること

・生活に小さな工夫を加え、支え合うこと

介護者は、終盤の人生を共に歩むパートナーとして、その人の痛みに寄り添い、少しでも希望を感じられる環境を提供することが求められます。

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