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有料老人ホーム「未届け」
なくならず
行政の目届かずサービスに懸念
2025/07/18 13:14
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『“届け出忘れ”では済まされない!無届け施設が全国に500超…その裏にある“地域格差”とは?』
はじめに
介護の現場では「地域包括ケアシステム」という考え方があります。
これは、高齢者が自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるよう、医療や介護、住まい、生活支援などを地域の中で一体的に提供する仕組みです。
この考え方を情報ネットワークに例えると、未届けの老人ホームは、行政の通信網につながっていない“孤立した端末”のようなものです。
外部とつながりがないため、問題が発生しても発見が遅れ、対策が取りにくいという大きなリスクがあります。
なぜ「未届け」の有料老人ホームはなくならないのか?
背景
施設が足りず、低所得の高齢者が行き場を失っている未届け施設が存在し続ける大きな理由は、特別養護老人ホーム(特養)の不足です。
特に介護が重度の「要介護3以上」の高齢者の中には、何ヶ月、何年と入所を待っている方がいます。
一方で、民間の有料老人ホームは初期費用や月額費用が高く、経済的に苦しい高齢者には手が届きにくいという問題もあります。
結果として、費用が安く、手続きが簡単な未届け施設に流れてしまう構造ができています。
さらに、自治体が設ける「総量規制」によって、新しい特養の開設が制限されているため、供給自体が追いついていません。
「未届け施設」が抱える主なリスクとは?
・建物や設備の基準が不十分で、安全面に問題がある可能性
・行政と連携していないため、サービスの質が把握できない
・虐待や医療ミスが起きても外部に発見されにくく、対応が遅れる

「囲い込み」問題とは?
介護サービスの過剰提供による弊害過剰なサービスは誰のため?
「囲い込み」とは、施設側が入居者に対して自社の介護サービスだけを利用させ、必要以上のケアを提供することで利益を上げる仕組みのことです。
高齢者の自由な選択が制限され、場合によっては不必要なサービスを押し付けられることになります。
判断力が弱まった高齢者を狙う“構造的な搾取”
認知症などで判断力が低下している高齢者は、自分に本当に必要なサービスを見極めることが困難です。
そうした人たちに対して過剰なサービスを提供し、報酬を得ることは、見方を変えれば「搾取」と言っても過言ではありません。
立場ごとに見る課題とその対応策
◆ 高齢者の立場:「安心して老後を過ごしたい」
課題:届け出のない施設では安全性に不安がある
対応:施設の情報開示を義務化し、第三者による評価を導入することが必要です
◆ 家族の立場:「信頼できる施設を選びたい」
課題:情報が少なく、「囲い込み」などの問題に気づきにくい
対応:家族向けの中立的な相談機関の拡充や、信頼できる情報提供体制が求められます
◆ 地域の立場:「地域全体で高齢者を支えたい」
課題:未届け施設が地域ケアの枠外にあるため、連携が取りにくい
対応:地域包括支援センターなどが積極的に介入し、情報と支援をつなぐ橋渡し役になることが重要です
◆ 介護者の立場:「倫理的なサービスを提供したい」
課題:利益優先の運営方針に現場職員が苦しむことがある
対応:内部通報制度の整備や、第三者の監査によって職員の声を反映できる仕組みが必要です
介護業界で実際に起きている問題
現在介護現場の中には、以下のような問題が顕在化しています。
未届け施設の放置
行政による監視が不十分なまま、高齢者が暮らしている
囲い込みの横行
本来必要のないサービスが提供されることで、利用者負担が増加
施設の倒産リスク
入居者の前払い金が保全されておらず、返金されない可能性がある
職員の離職
モラルジレンマや過重労働により、職員が疲弊している

介護者としてできること
すべきこと
① 「現場からの声」を社会に届ける
職員一人ひとりが「これはおかしい」と感じたことを共有できる環境が必要です。
内部通報制度やメディアとの連携を通じて、社会に対して問題提起していくことが求められます。
② 利用者が納得して選べるようにサポートする
ケアマネジャーや相談員は、中立的な立場でサービス内容や施設の実態を説明し、高齢者本人や家族が「納得して選ぶ」ことを後押しすべきです。
③ 行政と介護現場の協働体制を構築する
単なる「届け出」ではなく、運営の中身にも目を向ける文化が必要です。
行政と介護現場が同じゴールを目指して動けるよう、日常的な情報共有と信頼関係が不可欠です。
結論
介護の現場から社会全体へ、構造的な問題に立ち向かう時が来ている
有料老人ホームの「未届け」や「囲い込み」問題は、単に施設の数や運営方針だけの話ではありません。
高齢者が最も弱い立場で制度の谷間に落ちている現実がある以上、私たちはその構造そのものを変えていく必要があります。
介護者は単なる「現場の人」ではなく、社会を動かす一員です。
高齢者の命と尊厳を守るために、制度、運営、意識の3つの視点から、持続可能な改革を考え、行動していくべきときです。



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