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高齢者の金融資産、
60代単身世帯の3割ゼロ
物価高響き二極化
2025/09/18 19:26
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『高齢者の介護サービス格差、収入で「5倍の差」とは?』
はじめに
介護の現場から見える、経済的な二極化とその社会的影響
介護現場で重視される「利用者本位」の視点と経済格差の関係
介護の分野では「利用者本位(パーソン・センタード・ケア)」という考え方が重視されています。
これは、高齢者一人ひとりの価値観や人生の歩みに寄り添い、その人に適した支援を提供することを意味します。
この考えを経済的な側面に置き換えると、高齢者の資産状況もまた個々に異なり、画一的な制度や支援ではニーズに応えきれないという問題が見えてきます。
つまり、資産のある人とそうでない人とで、受けられる介護サービスの内容や生活の質が大きく異なってしまうという、二極化の現実が介護の現場でも表れているのです。
60代単身世帯の約3割が金融資産ゼロという衝撃
2024年の調査によると、60代単身世帯のうち27.7%が金融資産ゼロと回答しています。
また、42%が200万円未満という非常に低い水準であり、一方で16.8%は3000万円以上の資産を保有しています。
このデータは、高齢者世代の中で「豊かな老後」と「切迫した老後」が同時に存在しているという厳しい現実を示しています。
なぜ資産格差が広がっているのか?
その背景とは
▼ 物価高が直撃する低資産層
日用品や食品、医療費、光熱費などの生活必需品の価格が上昇し、限られた収入で生活する高齢者に大きな打撃を与えています。
▼ 株高の恩恵は一部の資産家に集中
投資に余裕のある高齢者は株高やNISA(少額投資非課税制度)などの制度の恩恵を受け、資産を増やしています。
一方、投資に踏み出せない層は恩恵を受けられず、格差はさらに拡大しています。
▼ 低金利時代の副作用
長引く低金利の影響で、銀行預金ではほとんど利息がつかず、「貯めても増えない」状況に。
結果的に、日々の生活費に資産を取り崩す生活を強いられている高齢者が増えています。
資産格差がもたらす介護現場での深刻な影響
介護の現場では、資産の多寡が介護の内容や質に直結しているケースが増えています。
▼ 資産が少ない高齢者のケース
・デイサービスの利用頻度が少なく、孤独になりやすい
・自費の訪問介護や見守りサービスが利用できない
・自宅のバリアフリー化も困難で、転倒や事故のリスクが高まる
▼ 資産が多い高齢者のケース
・有料老人ホームや高額な在宅介護サービスの利用が可能
・ケアマネジャーとの相談の中で、より多様な選択肢が取れる
・リフォームや設備投資により、安全で快適な生活環境を確保できる

視点別に見る課題とその対応策
▼ 介護者視点:誰も取り残さないケアの提供が課題
課題
経済的に困難な高齢者に十分なサービスが届かず、身体的・精神的な衰えを早めるケースが多いです。
対応
・自治体と連携した無料・低額の福祉サービスの紹介
・地域のボランティア団体やNPOと連携した見守り体制の強化
▼ 高齢者本人視点:お金が尽きる不安が、支援の拒否につながる
課題
「迷惑をかけたくない」「まだ大丈夫」と、必要な支援を我慢しがちです。
社会との接点も失われやすく、孤立が進みます。
対応
・地域包括支援センターによる早期の相談介入
・サロンや健康教室を通じた社会的つながりの維持
▼ 家族視点:親の経済状況が家計や働き方に直撃
課題
親の介護にかかる費用を子世代が支えることで、家計が圧迫されたり、仕事を辞めざるを得ないケースも出ています。
対応
・介護休業制度や介護手当の利用促進
・経済的な負担を軽減する制度の周知とアクセス向上
▼ 地域視点:貧困高齢者の増加で地域資源が限界に
課題
支援が必要な高齢者が増える一方で、地域のマンパワーや財源が不足し、支援が行き届かない状態に。
対応
・助け合い活動への住民参加の促進
・地域ケア会議を通じた横断的な支援ネットワークの整備
介護福祉業界で起きていること
介護現場で現在進行中の課題は、以下のように多岐にわたります。
・介護職員の人手不足と離職の増加
・認知症や精神疾患など利用者ニーズの多様化
・制度改定によるサービス制限の影響
・経済状況によるサービスの利用格差
・在宅と施設の機能分担の不均衡
・地域包括ケア体制の整備と運用のばらつき
・家族介護者への支援不足と精神的負担の拡大
これらの課題は、すべて「高齢者の経済的な二極化」と無関係ではありません。
結論
経済格差と向き合うことが、介護の質を守る道
高齢者の間で広がる資産格差は、単なる家計の問題にとどまらず、生活の質や介護のあり方そのものに深く関わっています。
特に60代単身世帯の3割が金融資産ゼロという事実は、これからの高齢社会において、「貧困の中で老いる」人が確実に増えていくことを示唆しています。
介護者として、誰もが尊厳を保ちながら最期まで暮らせる社会の実現を目指すために、経済的背景を無視しない支援の在り方が求められています。
最後に
介護とは「支援」であり「社会との接点」
介護とは単に身体的なケアを行うことではなく、その人が社会の一員として最後まで人間らしく生きるための支援です。
そのためには、私たち支援者が「経済的な二極化」という背景に目を向け、公平な支援が届く仕組みを地域全体でつくっていくことが重要です。



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