介護施設選びで99%が見落とす囲い込みの罠とは?

介護

老人ホームの関連記事

重度者向け老人ホームに登録制検討 

厚労省、質懸念なら参入拒否

2025/10/03 19:30

日経速報ニュース

重度者向け老人ホームに登録制検討 厚労省、質懸念なら参入拒否 - 日本経済新聞
厚生労働省は重度の要介護の人が入る有料老人ホームの一部に登録制の導入を検討する。現在は都道府県などへの届け出制で参入を拒めない。事業計画が不十分だったり、虐待などで行政処分歴があったりする事業者は開設を認めない判断ができるようにし、サービス...

【この記事の内容】

登録制がなければ危険!囲い込みで起きた問題とは?

はじめに

介護の現場では「サービスの個別化(パーソン・センタード・ケア)」という考え方が重視されています。

これは、高齢者一人ひとりの生活歴、価値観、身体・心の状態、置かれた環境などを尊重して、最適な介護サービスを提供するというものです。

ところが現実には、“囲い込み” の問題が目立っています。

施設側の都合を優先して、入居者の本当のニーズよりも施設側で提供可能なサービスを無理に使わせるような運用が散見されます。

この構造を自動車整備に例えれば、「ディーラーに行ったら不要な整備やオプションを強く勧められ、断りにくい状況に追い込まれるような状態」と言えるでしょう。

つまり、高齢者やその家族の“選ぶ自由”が奪われているのです。

この問題をどう改善できるか、介護者の立場、家族の立場、地域の立場から多角的に考察していきます。

「囲い込み」とは何か?

問題点の整理囲い込みの構造と背景

囲い込み」とは、有料老人ホームに入居するとき、施設が自社資本関係のある訪問介護や通所介護(デイサービス)を強く勧めたり、事実上強制したりする仕組みを指します。

囲い込みの主な課題

利用者の選択肢が制限される

他の介護事業者を自由に選べず、自分に合ったサービスが選べない。

過剰なサービス提供

利用者の実際のニーズを超えるサービスも提供され、それが介護報酬の不正請求につながる可能性がある。

サービスの質にばらつきがある

同一資本の事業者であっても、職員の能力・やる気に差があり、提供されるサービスにムラが生じる。

家族の不信感を招く

なぜ特定のサービスを使わなければならないのか説明が不十分で、家族が疑念を抱くケースが多い。

高齢者の視点 — 選ぶ自由と安心の確保

老人ホームを選ぶという行為は、高齢者にとって人生の重要な決断です。

その中で、サービスが過剰だったり、選択肢を奪われたりすれば、不安材料になります。

高齢者が感じやすいこと

・将来の暮らしや体調に関する不安を抱えて入居を決める

・自らの生活の主導権を持ちたい(サービスを選びたい)

・囲い込みが「強制」と感じられる(説明が不足していると感じる)

こうした不安や葛藤を抱えたまま入居している方に対して、介護者・家族・地域が果たす役割は非常に大きいといえます。

介護者視点 — 囲い込みは現場の負担にも直結する

囲い込みの結果、本来不要なサービスが提供されると、現場の職員にとっては負荷増、品質低下、倫理的ジレンマを招くことがあります。

現場で起きている主な課題

・ケアプラン範囲外の“指示”が上から降りてくる

・実質的には不要なサービスに時間が割かれる

・サービスの「回数」が優先され、質が後回しになる

・職員が「本当にこのサービスが必要か?」という疑問を抱きながら働くことが増える

登録制を導入して、質の低い事業者が参入できない仕組みを設けることが、職員の負担軽減につながる可能性があります。

家族視点 — 透明性と信頼性の再構築

家族は、施設に入居させた後も“介護のパートナー”です。

しかし、囲い込みによりサービス内容が不透明になると、不信感が強まります。

家族が抱きやすい悩み

・提案されたサービスが本当に必要か判断しづらい

・利用料金がかさみやすい

・サービスの変更や見直しがしにくい(契約上の縛りがある)

登録制を通じて透明性を確保すれば、家族と施設との信頼関係を回復しやすくなるでしょう。

地域視点 — 地域包括ケアの理念が揺らぐ

住み慣れた地域で最後まで暮らしたい」という地域包括ケアの理念は、囲い込みによって揺らぎかねません。

囲い込みが地域に与える影響

・地域内の介護資源が特定事業者に集中する

・公平な競争が阻害される

・地域住民の信頼が損なわれ、「この地域は囲い込みがひどい」という評判が広がる

登録制によって、事業者の質を“見える化”する仕組みを作れば、地域全体のケア体制の信頼性を高める一助となるでしょう。

介護福祉領域で顕在化している課題

現在、介護業界では以下のような課題が深刻化しています。

人手不足:特に夜勤や重度者対応の人員確保が困難

サービスの質のばらつき:同法人内でも施設によって提供品質に差がある

離職率の高さ:処遇や労働環境の悪さから退職する職員が多い

施設間連携の弱さ:医療機関や他施設との連携が不足し、入居者・家族の不安を増幅

監査・監督機能の弱さ:行政による監督が十分でないため、悪質な事業者が存続しやすい

登録制導入と囲い込み是正へのステップ

結論として、囲い込みを是正し、質を担保するには「登録制」の導入が不可欠と考えます。

登録制導入による期待効果

・行政が事業者の質を事前にチェックできる

・処分歴や経営情報を公開し、利用者が判断材料にできるようになる

・入居者・家族・地域の信頼性が向上

・不要な囲い込みを制限する法的根拠が整備される

介護者としての具体的提案

・サービス選択の自由を確保する契約内容を標準化する

・第三者評価機関を活用して透明性を高める

・職員教育を充実させ、倫理観を育てる

・家族や地域住民に対して啓発活動を行う

まとめ

入居者の「人生の質」を守る介護を目指して囲い込みを許してしまえば、介護は本来の目的から逸脱するリスクを孕みます。

それは要介護者の尊厳や暮らしを脅かすだけでなく、介護職員のやる気、家族の信頼、さらにはその地域のケア基盤全体を揺るがす可能性があります。

登録制の導入は、単なる規制強化ではなく、「本当に安心できる介護とは何か」を社会全体で問い直す契機になるはずです。

介護者一人ひとりが、入居者の人生の質(QOL)を支える視点を忘れずに、より良い制度と現場のあり方を目指していきましょう。

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました