老後に待つ“孤独のステージ”とは?頼れる人がいない現実と、1兆円市場の真実

介護

独居の関連記事

だれもが「おひとり様」、

身じまい市場1兆円 

企業は何ができるか

2025/10/23 05:00

日経速報ニュース

だれもが「おひとり様」、身じまい市場1兆円 企業は何ができるか - 日本経済新聞
日本総合研究所は10月、生前・死後の手続きなど「おひとり様の身じまい」に関する企業参加の研究会を設立した。関連市場は1兆円規模と試算する。単独世帯の増加で需要は急増しているが、民間サービスは不足しているという。おひとり様支援の現状と課題を、...

【この記事の内容】

「もう無理」と泣いた夜…介護者が語る“身じまい支援”の現場と限界とは?

はじめに

介護の現場では「自立支援」という考え方があります。

これは、介護を「してもらう」ことではなく、「自分らしく生きる力を支える」ことを目的とする理念です。

この考え方は、高齢者の「身じまい」(生前・死後の準備)にも応用できます。

つまり、「おひとり様の身じまい」とは、最期まで自分らしく生きるための自立支援でもあるのです。

介護における「自立支援」と、社会全体での「身じまい支援」は、どちらも“人生の主体性を守る”という点で同じ方向を向いています。

おひとり様が増える社会背景

なぜ「おひとり様」が増えているのか

現代日本では、単身世帯が急増しています。

その背景には次のような社会的変化があります。

・三世代同居の減少と核家族化の進行

・長寿化による「子どもも高齢者」という家庭構成の増加

・未婚や子なし世帯の増加

・地方から都市への移住による地域

・家族のつながりの希薄化

その結果、「家族がいても頼れない」広義のおひとり様が増えています。

たとえば、親が認知症を発症し、子が引きこもりや障害を抱えている家庭では、突然「3人のおひとり様」になることもあります。

つまり、おひとり様とは、特別な人の話ではなく、誰にでも起こり得る現実なのです。

おひとり様に「身じまい」が求められる理由

高齢期には意思決定が増える

高齢になると、人生の節目ごとに重大な判断を迫られます。

たとえば、延命治療を受けるかどうか、介護施設に入るかどうか、財産や葬儀をどうするかなどです。

かつては家族や地域が自然に支えてくれましたが、いまはその「身寄り力」が弱まり、本人が一人で決めなければならない場面が増えています。

介護現場でも、「保証人がいない」「相談できる家族がいない」というケースが年々増加しています。

支援の「はざま」に取り残される高齢者

公的支援の限界現在の制度には、明確な支援対象が定められています。

たとえば介護保険は要介護者が対象であり、生活保護は経済的困窮者を支援するものです。

しかし、「経済的には困っていないが、身寄りがない」高齢者はそのどちらにも該当せず、制度の“はざま”に取り残されています。

また、成年後見制度もありますが、申立ての手続きが複雑で利用しづらいという課題があります。

結果として、平均的な生活を送る高齢者こそが、最も支援が届きにくい層になっているのです。

民間企業に広がる「身じまい支援」の可能性

新たなビジネスチャンスとしての身じまいこうした状況を背景に、民間ではさまざまなサービスが登場しています。

たとえば、入院や賃貸契約時の保証人代行を行う身元保証サービス、葬儀や遺品整理を請け負う死後事務委任サービス、日常生活を支える見守り・送迎・買い物代行などがあります。

また、AIを活用したデジタル終活サービスも増えつつあります。

しかし、現状では小規模事業者が多く、サービスの質にばらつきがあります。

利用者側も「どのサービスが安全で信頼できるのか」が分かりにくいという課題を抱えています。

この「支援のはざま」にある約2500万人の高齢者を対象にした市場は、およそ1兆円規模と見込まれています。

介護者の立場から見た「おひとり様の身じまい」

介護者として実感するのは、「生前の準備ができている人ほど、介護がスムーズで質が高い」ということです。

現場で起きている課題

現場では次のようなトラブルが少なくありません。

・意思表示が曖昧なまま倒れ、治療や介護方針の判断を他者が迫られる

・保証人がいないため、施設入所や契約が進まない

・認知症発症後に金銭管理ができず、トラブルに発展する

・亡くなった後に葬儀・遺品整理

・相続などの手続きで施設が巻き込まれる

これらはすべて、「身じまい」が不十分なまま高齢期を迎えた結果です。

介護職員が本来業務外の手続きや事務まで行うことも増えており、現場の負担は年々重くなっています。

地域・企業・行政の連携が鍵

介護業界では、「地域包括ケアシステム」という考え方が広がっています。

これは「医療・介護・福祉・住まい・生活支援」を地域で一体的に提供する仕組みです。

今後は、この中に「身じまい支援」を新たに組み込むことが必要です。

具体的には、金融機関が信託や死後事務を支援したり、電気・ガス会社が見守りサービスを提供したりするなど、業界を超えた連携が求められます。

保険会社は終活保険を、不動産業は「終の棲家」の提案を通じて、身じまいのサポートに関わることができます。

結論

介護者として「おひとり様の身じまい」を支えるという視点

今後、介護現場では「おひとり様」支援が主流になることは間違いありません。

その中で介護者として意識すべき視点は次の3つです。

1. 身じまいは自立支援の延長線上にある

生き方の最終章を、本人の意思で整える支援。

2. 支援のはざまを埋める地域連携を意識する

行政・企業・地域が協働して「支え合う仕組み」をつくる。

3. 介護者は“人生の伴走者”であるという意識を持つ

最期まで本人の生き方を支える立場として寄り添う。

おひとり様の身じまい」は、誰か特別な人の問題ではありません。

介護者も、家族も、地域も、そして私たち一人ひとりも、いつか「おひとり様」になる可能性があります。

だからこそ今、生前・死後を見据えた“身じまいの自立支援”が求められているのです。

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました