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栄養不足招く口の衰え
「オーラルフレイル」
40代以下から備え
2025/10/31 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『噛まない生活があなたを老けさせる!放置すると10年後に後悔する口の衰えとは?』
はじめに
介護の現場では「予防の連鎖」という考え方が重視されています。
これは、小さな衰えを早めに見つけ、生活全体の機能低下を防ぐという考えです。
たとえば、歩く力が落ちる前に転倒予防運動を行うように、口の機能が衰える前に対策を取ることが重要です。
この「口の衰え」を示すのが、近年注目されているオーラルフレイル(oral frailty:口腔機能の虚弱)です。
オーラルフレイルは単なる「噛みにくさ」や「むせやすさ」ではなく、栄養状態や会話力、社会参加にも影響する“全身の衰えの入り口”とされています。
オーラルフレイルとは?
~小さなサインが大きな健康リスクに~
オーラルフレイルとは、口の機能が正常から低下へ向かう中間段階の状態を指します。
次の5項目のうち2つ以上に当てはまる場合、オーラルフレイルの可能性があります。
・歯が少なく、噛む力が弱くなった
・硬いものを噛むと顎が疲れる
・飲み込みづらい、むせる
・口が渇きやすい
・言葉がはっきり発音できない
これらは単なる「年齢のせい」ではなく、身体全体のフレイル(虚弱)の初期サインです。
40代から始まる「口の老化」
~若い世代も油断できない~
オーラルフレイルは高齢者だけの問題ではありません。
最近の調査では、18〜39歳の若年層でも約18%がオーラルフレイル相当の機能低下を示しています。
背景には、現代の生活習慣があります。
・柔らかい食事の増加(ファストフードやコンビニ食)
・会話機会の減少(スマホ・リモートワーク)
・悪い姿勢による顎の筋力低下
・ストレスによる唾液の減少
現代の「噛まなくても食べられる」食生活が、静かに口の老化を進めているのです。
介護者が知っておくべき「口の衰え」と栄養の関係
結論
口の機能低下は、栄養不足と生活機能低下を招く“負の連鎖”の始まりです。
理由
噛みにくさが原因で硬い食材を避けるようになると、肉や野菜などの摂取量が減り、たんぱく質・ビタミン・ミネラル不足を引き起こします。
その結果、筋肉が減少し「サルコペニア(筋肉減少症)」が進行。
やがて要介護や寝たきりのリスクが高まります。
具体例
介護施設では、「肉は硬いから食べない」という利用者に、体重減少や筋力低下が見られることがあります。
まさに、口の衰えが栄養不足の入口になる典型例です。

介護者・家族・地域が支える「口の健康寿命」
介護者の視点
介護者ができることは、「食べる」「話す」「笑う」機会を日常に取り戻すことです。
・食事介助では、できるだけ本人の咀嚼を促す
・食材を工夫し、噛み応えを適度に残す
・食後の口腔ケア(歯磨き・うがい)を習慣にする
利用者の滑舌や食事量の変化に早く気づくことも、フレイル予防の第一歩になります。
高齢者本人の視点
「食べにくい」「むせる」と感じるのはつらいことですが、軽いトレーニングでも改善できます。
たとえば「ガムを噛む」「うがいを5秒続ける」といった習慣で、口周りの筋力が回復します。
家族の視点
家族ができる最大の支援は「一緒に食卓を囲むこと」です。
食事と会話は、心の健康と社会的つながりの維持にもつながります。
「食べにくい」という言葉の裏には、不安や孤独が潜んでいることもあります。
地域・社会の視点
地域では、介護や医療機関が連携した口腔ケア活動の推進が大切です。
・定期歯科検診の推奨
・サロンや体操教室での口腔体操の実施
・地域全体での「食と健康教育」の普及
こうした地域ぐるみの取り組みが、介護予防の土台になります。
オーラルフレイル予防の実践ポイント
・硬い食材を意識して噛む(根菜・肉・ナッツなど)
・家族や友人との会話を増やす
・「パ・タ・カ・ラ」体操やうがいを毎日行う
・定期的に歯科検診を受ける
・水分をこまめに摂り、口内を潤す
これらを日常に取り入れることで、口の健康と栄養状態を維持できます。
まとめ
介護者として「口の健康」を生活の中心にオーラルフレイルは、全身のフレイルの最初のサインです。
介護者は、食事や会話の支援を通して「口の健康」を生活の質(QOL)の基盤として考えることが大切です。
オーラルフレイルは病気ではなく、日々の小さな習慣で改善できる状態です。
40代から「噛む・話す・笑う」を意識することで、将来の介護予防と栄養維持につながります。



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